昨夜は一晩中雨が降り続いたが、天気予報で言っていたような雪にはならなかった。朝5時には、透き通るような大気に朝日が昇ってきた。
いつもより少しだけ早くテオの散歩に出ると、山は白く変わっていた。ゴールデンウイークを前にして山頂に少しだけ雪を残していた安達太良山は、再び白い峰々を見せている。四月も終わりだというのに、やはり東北は北国なのだ。ちなみに四月に雪が降ると、僕の頭にはプリンスの曲が流れる仕組みになっている。「四月に時々雪が降るように、人生にも時々辛いことがある」。
気温は低いものの、太陽を浴びている頭はポカポカと温かく、お日様の偉大さを実感する。天気がいいのでカメラを持って出たが、手袋をしてこなかったので凍りつきそうになる。
ソメイヨシノが終わり、代わりに八重桜があちこちで満開だが、意外と知られていないのがウワズミザクラだ。毛虫のような細長い花の房をつけている姿は、あちこちの雑木林で見ることができる。こんなにあったのかというくらい、森や雑木林はウワズミザクラで溢れているのである。
いつもリスを見かけるクルミの木を観察していると、リスではなく赤い小さなクルミの花に気がついた。木はでかいが、花はなんとも可憐だ。下の方に何やらブラリと下がっているのがあるが、こちらも花だ。クルミの木は雌雄の両方の花が咲く。まずブラリと雄花が下がった後に、赤い雌花が顔を出す。というのは、後で調べて分かった。
赤い花を咲かせていたカラスノエンドウは、今朝見るとすでにたくさん豆ができていた。子供の頃はこの豆のフサの端っこを切り、草笛を作ってブーブー鳴らしていた。別名「ピーピー豆」と呼んでいたが、決してピーピーとは鳴らず、ブーブーベーべーとしか鳴らない。
そんなこんなでのんびり1時間ほど歩き回って家に帰ると、朝日を浴びてアンが窓辺で日光浴をしていた。
「ただいま」
「遅い、ニャー」