4.12月4日の市議会一般質問で前田議員がこの問題を取り上げた
事前に通告した事項 1.天皇皇后両陛下八王子奉迎実行委員会とは?
(1)行政との関係
(2)町会自治会連合会との関係
(3)学校教育との関係
ア.保育園児、幼稚園児、小学生が沿道で出迎えをした経緯
イ.外国籍の子どもへの配慮
ウ.国際社会を生きる、子どもたちの未来のために
質問の冒頭、前田議員は大日本帝国憲法下の天皇と日本国憲法下の天皇の違い、戦前と戦後の教育の違いについて、八王子の子どもたちが使用している教育出版社中学校歴史教科書から抜粋して紹介し、現憲法は天皇の退位即位を国事行為とは定めていないと発言。加えて、萩生田光一文科大臣(4月当時は自民党幹事長代行)のブログを読み上げ、質問に移った。
①議員:なぜ天皇に敬意を払うべきなのかを、学校はどう教えているのか。
教委:学習指導要領に「敬意」を教えるよう書いてある。学習指導要領に則った指導をしている。
議員:学習指導要領に記載されているのは承知している。ルールだからというのでは子どもたちが納得できる答えになっていない。生徒から「なぜこれが校則なのか」と訊かれて「ルールだから」と答えるのと同じだ。
②議員:八王子奉迎会実行委員会(結成)を呼びかけた主体はどこか。
市:八王子奉迎会実行委員会。
議員:八王子奉迎会実行委員会の構成メンバー、会の目的、期間はどうなっているか。
市:市は把握していない。
議員:八王子奉迎会実行委員会から市は呼びかけられたと認識していいか。
市:町会自治会連合会から呼びかけられ、同席した。
議員:市からは誰が同席したか。
市:市民活動推進部長と都市戦略部長。
議員:4月9日付け「八王子奉迎会実行委員会結成について」の秘書課から発信された文書が手元にある。(文書を読み上げたうえで)連絡先は町会自治連合会と八王子市都市戦略課となっている。4月9日付け文書は市から発信されたと認識するが。
市:奉迎活動を市は呼び掛けてはいない。市はむしろ、控えている。
議員:萩生田議員も来ていたか。
市:同席したが、出席者も含めて実行委員会の内容については、市は報告する立場にない。
③議員:沿道に立たせた学校は小学校3校とのことだが、保育園・幼稚園で沿道に立たせた園はどのくらいあるか。
市:保育園が9園、幼稚園が5園と聞いている。
議員:この14園には「奉迎」の情報がどこから行ったか。
市:交通規制もあるので、安全面から市が情報提供をした。市民活動推進部の協働推進課長→子ども家庭部→私立保育園協会、私立幼稚園協会
議員:5歳の、人格形成途中の子どもたちに一つの考えを押しつけることは問題と思うが、いかがか。
市:各施設が決定したことであり、尊重したい。
議員:森友学園の幼稚園が教育勅語を暗唱させたのは驚きだが、私立園・学校にはそこの独自の考えがあってのこと。しかし、公立の小学校が沿道に立たせたのは、私立とは違う。なぜ、情報提供をしたのか。
市:安全管理から。
議員:昨日(3日の即位の報告に関して)は沿道に立った小学校はあったか。
市教委:各学校から報告の義務もないが、沿道に出たという学校については確認していない。
議員:ということは、情報提供をしなかったということか。
市教委:道路交通部からの情報を全小中学校に流した。
議員:市教委が言うには4月23日のときは協働推進課からの情報だった、昨日は道路交通部からの情報だというが、変わったのはなぜか。
市:4月には(奉迎会)実行委員会があったが、12月はなかったことによる違い。
議員:4月23日については、情報提供のメール文に市教委が〈参加の可否 参加人数 小旗の希望〉を書いたが、小旗はどこから受けたのか。
市教委:70本あると、協働推進課から聞いた。
議員:協働推進課はどこから受けたのか。
市:奉迎会実行委員会が申請して入手したと聞いている。配布は町自連。
議員: D校(浅川小)は市(教委)からの情報提供ではなく、町会自治会から情報を得たということで、校長の判断で行ったとのこと。コミュニティ・スクール構想が出された時、このことを懸念した。校長が判断できればいいが、それができていないのだから。「思想・信条の自由」の観点からの文書を、市教委から町自連に情報提供しても良かったのではないか。
市教委:「思想・信条の自由」を侵すことはない。
④議員:八王子には13000人の外国籍の人が在住し、427人の外国籍の子どもが市立学校に通学している。かつて、日本が侵略したり植民地にした国のお子さん、また、日本にも天皇制を肯定できない・肯定しない子どもがいる。そうした子どもへの配慮が必要ではないか。
市教委:外国籍であっても、我が国の公立学校に在籍すれば、等しく学習指導要領に基づいた教育をする。
議員:近頃、若い世代では東アジアとの交流がされているが、相手の国の文化や受けてきた教育を知らないと、理解に悪影響が生じる。一事例をあげると、知人が韓国のお子さんを多摩御陵に連れて行ったら、その子が泣いて怒ったという。学校教育で日本による侵略の歴史を学んでいたから。
人格形成の過程にある子どもに、天皇についての一つの考えを教え、政府見解や国家イデオロギーに沿って子どもたちを動かしてはならないと考えるが、教育長の考えを聞きたい。
教育長:憲法1条に規定するのだから、天皇退位や即位に祝意を示すことは当然。学習指導要領にも「敬意」を書く。中立・公正を担保するためにも教えるのは当然。
議員:憲法が示す国事行為の中には、今回の祝い、儀式に関することは含まれていないと私は理解する。
市長に聞きたい。政治的に中立でなければならない市として、奉迎会実行委員会の呼びかけ主体になっていないとの答弁だったが、奉迎会実行委員会が設置されたのは問題ではないか。
市長;奉迎会実行委員会は任意団体の活動。地域住民自らの意思で歓迎行動を行うことは、当然あってよいこと。
議員:市最大の任意団体は町会自治会連合会。こういったところの活動を市が積極的にフォローしていくことに問題がないのか。私は問題があると考える。
5.今後の活動
市や市教委、萩生田大臣に対して追及や働きかけをしていきたい。
また、オリンピック聖火リレーの際に再び子どもたちが沿道に立たされないよう働きかけと監視をしていきたい