Zapf 2004-2011

2000年代の暮らし。自転車・ゴルフ・Yセツ・城・リコーダー....
今に続くいろんなことが芽吹いた季節

月のパルス(1)(2)

2005年05月31日 | book

4-08-865235-5読んだ本を全部記録するのがめんどくさくなってきたので、何か言いたいやつだけ書くようにしてます。

くらもちふさこ。αの後、2004年から2005年はこんなのを書いていたようです。少女マンガ界では、おそらくは「長老」と呼ばれていいくらいの人なのに休みなくよく書く。ちなみに私の好きな漫画家5人言えと言われたら、この人は絶対入れます。

さて、この作品はいろいろと変種でした。
まずは絵が変。この30年で時代とともに絵の変遷はありますが、ここまで突然今までと印象が変わったのって過去にはなかった。ぶっとくで硬いペン。筆圧による太さの変化。もちろん今までもあったのですが、それは万葉の細筆のような描線で、今回のみたいに書いているときにガリッと音がしそうなものではなかったはずです。
それから瞳の表現。内容がめずらしくオカルティックなものでしたので、それに合わせたと思えないこともないのですが、様々な虹彩入りの瞳。そして、手癖になってしまったかのような顎下、首の部分の黒ベタ。小さい面積なんだけど、執拗に塗りつぶすその訳は?

ストーリーもヘン。最初読み終わったときは、あまりのブツ切れな終わり方に驚いたけど、読み返してみるとこれはこれで完結してると思うようになった。奇妙な背景設定だけど、終わってみれば「運命のBoy meets girl」。くらもちの基本ラインに変化なし。変わったことといえば、出会うべき少女が主役でなかったことだけ(それはそれですごいけど)。かといって失恋の話でもない。サクッと切り落とされたようなラストの読後感は「おばけたんご」に近い気がする。

ということで、作品としては2回読んで「これもありかな」と思えたのだけど、でもこの絵は今回限りにして欲しいなあ。試し読みはこちら