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Zapf 2004-2011

2000年代の暮らし。自転車・ゴルフ・Yセツ・城・リコーダー....
今に続くいろんなことが芽吹いた季節

戦時中の人

2010年08月28日 | book
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意図した訳ではありませんが、昭和初期、戦争の前から戦時中を舞台にした
物語を続けて読みました。

どちらも戦争を、離れた場所から見る女性が主人公です。

素晴らしくよくできた作品だとお勧めできます。


船に乗れ!  藤谷治

2010年05月19日 | book
一番楽しかった自分の高校・大学時代の記憶が薄いんです。

もちろん、大まかな出来事(オーケストラ部に所属して、何年にどの曲を弾いた)みたいなことはだいたい覚えています。そこそこ写真も残っているので、別に問題はないのですが、いまひとつそのころの日常生活の中の「愉快なエピソード」的な記憶の残り方が普通の人より足りない気がしています。

その頃の友人と久方ぶりに再会したりすると、楽しい昔話に花が咲くことは咲くんですが、どうも私の方があまり話せる思い出がなく、友人達が語る「あの時」をもっぱら聞くだけになることが多いです。そして話の半分くらいは、言われても実感として記憶の風景が蘇ってこない。

ああ、そうか、そこでそんな風に生きていた自分がいたんだなあと、人の記憶から過去の自分を構築する感じ。

わがままで、やんちゃで、人と違うことを言いたくて、ちょっとナイーブ(笑)な私が、私でない別の人の記憶の中で息づいています。なんか不思議だね。



さて、そんな記憶の薄い私の記憶の殻を叩き割ってぐずぐずの想い出を引きずり出したのが、この三冊。



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ちょっと他人より自分が賢いように勘違いしている自意識まみれの高校生のチェロ男子が、音楽と恋愛の波間に翻弄されつつ苦悩する青春小説。

あまりにも30ウン年前のオノレとかぶる部分が多くて、ちょっと参ったなあと思いながらも、一気に3冊読みました。

室内楽(メンデルスゾーンのPf Trioの1番)や、オーケストラ曲(リストの『レ・プレ』)なんかの譜読みから練習風景が、かなり克明に、かつ無駄にリアルに描かれていて、それも一般の人が普通使わない音楽用語が特に解説もなく普通に使われているので、これって一般の人にどこまで伝わるんだろうと心配になるくらい。

それが筋書きに大いに関係するかというと、まったくそうではないので、別に心配することはないんだろうな。とは言え、オケ経験者はこのあたりの描写は面白いんじゃないでしょうかね。
私は途中から書かれている曲のスコアを出してきて、小説に出てくる「○○小節のホルンのソロからアードゥアに転調して」みたいな台詞を、楽譜と確認しながら読みました。(やらしい?)

バイオリンの少女との恋バナも、途中までは甘酸っぱくていいんですよ。

お互い惹かれあっているのに、不器用に音楽の話しかできない喫茶店。

主人公が彼女をオペラに行かないか誘う場面のウブなやり取りは、読んでいて恥ずかしくてうれしくて、思わず奇声を発してしまうほど。(1巻の最後のところだ。読んでくれ)

この辺までが、私にとってのこの小節のピークかな。

2巻の途中からは、私にはつまらなかったです。
つまらないんじゃないな。展開が気に入らない。好きでないお話。

うれし恥ずかし甘酸っぺーは、もう最後まで出てきません。

「青春もの」なんで、挫折や苦悩はつきものなんだけど、1巻がキラキラしていただけに、中盤以上のぐだぐだ感や、どうにも共感しずらい各登場人物の想い、一番いけない偽善的で饒舌な哲学薀蓄教師。

書き手にはいろいろ思惑もあってのことでしょうが、私にはなぜこういう面白い設定の中で暗い話を書きたいのか。意味わかんなかったです。たぶん書きたかったから書いたんだろうけど。


とはいえ、そこそこ読者にも恵まれたようで、わりかし評判いいですよね。
おめでとうございます。

盗難された作者のチェロも一昨日発見されたみたいで、まあ終わりよければすべて良しかな。

オケ経験者、オケ内恋愛経験者は(こんだけ貶しておいてなんですが)一読をお勧めします。
練習や譜読みや嫌味な指揮者って物語になるんだよ。





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関係ないけど僕のチェロ。


小説に出てくる「レ・プレリュード」は、大学2年の春の定期演奏会、だったかな。
何考えて弾いてたのかな。



姫の俳道一直線 けらえいこ

2008年06月06日 | book

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けらえいこ 幻のデビュー作と言われております。

1987年から88年にかけて「Youngマガジン海賊版」という週刊か隔週のマンガ雑誌の欄外にちょこちょこっと書いていたらしいものを集めて単行本にしたもの。

ヤフオクのオークション・アラートにいれ続けて○年。本当に何年に一度出るか出ないかの幻ぶり。

今回は、ちょっと財布に余裕があったので、マジメに落としてみようかなあと思っていたら、それほど競り合うこともなく4100円で落札。とはいえ、こんな値段でマンガを買ったことは過去になかったぞ。

内容は、まあ週刊誌の欄外の遊びマンガ。まだ未来の見えない漫画家のタマゴが、これを毎週どんな気持ちで書いていたのか想像してみたりする。

とりあえず一度は読みたかったものを一度読んだので、ほとぼりが冷めたらまたヤフオクで売っぱらおう。非常に珍しいものには違いないので、借りて読んでみたい人は早めに連絡下さい。


神様がくれた指

2008年02月28日 | book
神様がくれた指 (新潮文庫) 神様がくれた指 (新潮文庫)
価格:¥ 860(税込)
発売日:2004-08

作者が自分の生み出した登場人物を自分自身で心底かっこいいと思い込んでしまった場合、言葉を尽くしてそのかっこ良さを語り続けることがある。多くの場合読者は置き去りで。

我が家ではこの現象を「竹宮恵子現象」もしくは「水島新司の妄想」と称している。

この本では、主人公の天才的な技術を持つスリ、女装すると美しくなる占い師(司法試験崩れ)、病弱で一途な幼馴染件恋人の3人に対して、作者が過剰な美辞麗句を並べ続ける。

本の厚さの1/3は形容詞で埋まっていた。


くらしのいずみ 谷口史子

2008年02月04日 | book
くらしのいずみ (ヤングキングコミックス) くらしのいずみ (ヤングキングコミックス)
価格:¥ 570(税込)
発売日:2008-01-28

半蔵門線の渋谷駅のところに昨年引っ越したブックファーストの陳列棚に、このマンガがものすふごい物量で並べてあった。知らない漫画家でしたが、量に驚いて買ってしまった。ブームなのかと思って。

90年代りぼん→コーラスあたりの人。
いわゆるりぼん伝統のオトメちっく路線の人でした。21世紀の陸奥A子。本人が好きな漫画家は清原なつのだそうです。だろうな。


ララピポ 奥田英朗

2008年02月02日 | book
ララピポ ララピポ
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2005-09

カバー真っ黒で、鍵穴型の型抜きがされていて、その穴から表紙の印刷の一部分が見えているという仕掛け。
普段カバーや帯がガサガサするのが嫌いなので、装丁をはずして持ち歩くのですが、このカバーははずすと中の浮世絵春画風イラストが顕わになるので、困ります。
「陰日向に咲く」のカバーを裏返しにして被せて持ち歩きました。

帯の煽り文句が「イヤ~ん、お下劣」。
満たされない社会の底辺に近いところの性欲が満載の連作。
登場人物が連鎖していて、前の話の脇役が次の話の主役という構成は「陰日向に咲く」と同じ。ちなみにどちらも同じ幻冬社で、奥付に見城徹の名前が。

軽いエロチックコメディを期待していたのだが、それよりはちいとフルボディ。タンニン強めでアスファルト臭あり。ゴミ屋敷のおばさんのセックスなど、あまりの汚い描写にかなり引いたが、一晩たって全体の印象を振り返ると、かなりいいかもと思えるようになった。ヘンなの。

半蔵門線で読みながら渋谷に着いて、センター街を歩いてNHKに向かう途中、うろうろしている女子高生が全部売春婦に見えた。(そういう話が載っている)


いっぽん桜

2008年01月31日 | book
いっぽん桜 (新潮文庫) いっぽん桜 (新潮文庫)
価格:¥ 500(税込)
発売日:2005-09

相変わらず、読む本はほとんど妻が買ってくるものをそのまま読んでいます。
これは、なかなか良かったですね。職人っぽくて。
江戸時代はいろいろと理不尽な世界に見えますが、別の世界の人から見れば今いる私の世界(ゲンダイのニッポンのフツーのサラリマン)もやっぱし相当理不尽なんだろうなあ。


対岸の彼女 角田光代

2007年12月17日 | book
対岸の彼女 (文春文庫 か 32-5) 対岸の彼女 (文春文庫 か 32-5)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2007-10

他人とうまくやっていけない、自分の気持ちを正しく伝えられない。

読んでいる本にはそんな人間ばかり出てくる。
そっちの方がブンガクっぽい。

が、正直言って私にはそういう人たちがよく分からない。人間関係においてはあまり悩みのない人生を送ってきたから。(ようするにバカ?)

読み始め、またそのような人が主人公のようで途中でやめそうになりましたが、最後まで読めばそれほど悪い小説ではなかったです。


さよならバースディ

2007年12月06日 | book
さよならバースディ さよならバースディ
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-07

荻原浩。
類人猿研究所で猿(ボノボ)に「言語」を習得させる研究の周囲で、関係者の自殺が。恋人にしなれた研究者がその謎を解く。みたいな話なんですが。謎解きが始まる終盤まではたいへん面白いのですが、いかんせん最後の設定が無理無理で・・・・。惜しい。惜しくないか。

キャラ者 1 新装版 (1) (アクションコミックス)
価格:¥ 1,600(税込)
発売日:2007-07-17

キャラ者 2 新装版 (2) (アクションコミックス)
価格:¥ 1,600(税込)
発売日:2007-07-17

キャラ者 3 (3) (アクションコミックス) キャラ者 3 (3) (アクションコミックス)
価格:¥ 1,600(税込)
発売日:2007-07-17

印刷業界的にけっこうとんでもない装丁が話題の3冊。
1巻はもともと旧い版で持っていたのですが、2-3巻は今回初めて。すごく面白い。
とんでもない装丁をした装丁者の事務所で原稿遅れの迷惑料がわりに3冊もらってきました。