1冊の本を青春時代を共にして同級生に「次はYちゃんに回して」と
言って送った。
今朝、その友達から電話があって
「一気に読み上げたよ。また犬を飼いたくなった。良い本だね。
これからYちゃんの家に持っていくからね」と連絡が来た。
昼ご飯を食べていると、またその友達から電話がかかった。
「Yちゃんの家に行ってきた。家に上がってというのでお邪魔して
ゆっくり話すことができた。お家もとてもきちんとしていて
あちこちお花も生けてあって、Yちゃんらしいなと思った」
と言う。
Yちゃんは、私が人生で出会った人の中で一番心が清らかで献身的で
聖母マリアのイメージに一番近いと思う女性だ。
会わずともお家の中がどこまでも整然としているだろうと思える女性。
「いろいろおしゃべりして、ご主人は、どの部屋で過ごしているの?
と尋ねたら、先月…8月上旬に亡くなったって言ったの。びっくりした。
老人性うつ病を患っていてYちゃんがいろいろ気を配っていたらしいけど
買い物から帰ってみたら自殺していたって。遺書もあったそうよ。
でもYちゃんはとても気丈で、落ち着いていろいろ話してくれた」と言う。
予期せぬ報告にかなり衝撃を受けた。
「行って良かったね。Yちゃんも心に溜まっていたことを
あなたに打ち明けることができて少し気持ちが軽くなったかも
しれないね」というと
「私もそう思う。あの本を持って行って良かった。ゆっくり話を
聴くことができた。Yちゃんあの本を知ってた。
きっと読んで癒されると思う」と友達は言った。
突然、1冊の本を回し読みすることを思いついたが、Yちゃんの
ところに行きつくべく働いた目に見えない力だったのでは
ないかという気さえする。
献身的で心が清らかなYちゃん、きっとご主人は感謝していると思う。
(遺書にもそのようなことが書かれてあったとのこと)
これからは自分の時間を楽しみながら生きていってほしい。