薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

憲法論争

2005-09-29 | 本  棚
■ NHK編『憲法論争』日本放送出版協会。もう、20年ほど前に出版された本ですが、最近復刻されているようなので、実家の本棚から引っ張り出し、もう一度読んでみました。

■ 本書は、昭和58年5月3日、NHKが憲法記念日の特集番組として、2時間20分にわたる論争番組を企画し、その内容をまとめたもの。出席者は、林修三(元内閣法制局長官)、小林直樹(憲法学者)、色川大吉(歴史学者)、江藤淳(作家)の4人。

■ 討論は、①憲法制定過程、②憲法第九条、③国民の権利と義務の3つに分かれています。これらを非常に荒っぽく要約すると、①憲法制定は占領下による押し付けであったのか、それとも日本国民に好意的に受け取られたのか、②憲法第九条は戦後有意義であったのか、そして今後自衛のための軍隊を持つべきかどうか、③国民の権利ばかり強調されて、義務(自国を防衛する義務、公共の福祉等)の規定が足りないのではないか、といったところでしょうか。

■ さて、20年ぶりくらいに読み返してみて・・・。いちばん説得力を感じるのは林修三氏でしょうか。若いころは非武装中立論などに傾倒し、護憲の立場に立っていたのですが・・・。核の時代に軍備は無意味とはいえ、実際世界各地では非核兵器による武力紛争が起こっているわけですし、吉田茂の『回想十年』などを読んでみると、とても占領下で憲法制定について自由な討論が行われていたとは思えない。

■ 自民党が絶対安定多数をとり、民主党の党首も刷新し、憲法改正が議題に上るのももう時間の問題だと思われます。あんな翻訳調のおかしな日本語に拘束されずに、日本人自らの手で世界に冠たる憲法を創ればいいと思うのですがね。

<photo:朝日に映える(?)穂高連峰>

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