薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

救命病棟24時(初期シリーズ)

2005-05-24 | ド ラ マ
■ 黄金週間から『救命病棟24時(初期シリーズ)』のビデオを借りて、第1話から特別編まで通して見てみました。いや~、“大人のドラマ”って感じで、実に面白かった。今更ながら(2002年の作品?)、作品の完成度の高さに舌を巻きました。

■ 一部には“ERのパクリ”という冷めた見方もあったようだけど、どうしてどうして、一話ごとに物語もちゃんとそれなりに完結していて、毎回とても楽しく見てしまいました。ストーリー展開、脚本、演出、俳優の演技、カメラワークなど、どれをとっても最近まれに見る秀逸なドラマだと思いました。

■ たとえば第1話では、松雪泰子がハイヒールを履いて病院内を闊歩している。仮にも女医が病院内でハイヒールなんて履くか?と思っていたら、第2話で江口洋介が松雪泰子のハイヒールを見て(カメラがアップで映して)「お前、そんな格好で仕事するのか?」と突っ込みを入れていた。そのとき松雪泰子は「私の勝手でしょ」と悪ぶれるが、それ以後、ちゃんと踵の低い靴を履いている。こんな繊細で視聴者の心理を見透かしたような演出をされて日には、もう「一本とられました」ってな感じで脱帽してしまう。そんなシーンが随所に展開する。

■ そのほかの場面にしても、そう。あれっ、このセリフは目の前にいる○○サンに言っているの?と思わせる思わせぶりな(曖昧な?)セリフが随所に配置されていたり、あえて言葉ではなく沈黙を置いてみたり、目の動きや息遣いだけで気持ちを表現して見せたり。まるでちがう複数の患者を取り扱っても、それとなくどこかで通じる部分が垣間見えたりするなど、布石のおき方や設定が実に心憎い。

■ 唯一「なんでやねん」と思ったのは、松雪泰子がひとり屋形船でヤケ食いをしている場面。がしかし、そんなわけないだろ!と思いつつも、つい浴衣姿に免じて許してしまった。癌に冒された高齢者がなくなると同時に、それまで意識不明だった女の子の意識が回復するなどという、宇宙戦艦ヤマトにも見られた古典的な手口であっても、無理のない展開に最終的には涙うるうるしてしまう。

■ あ~、それだけにこの前の『救命病棟24時part2』はいったい何だったの?と思ってしまいます。天と地、雲と泥ほど、到底同じテレビ局で製作したとは思えないほどの差があるような気がします(じつは最近まで、私はずっと松嶋奈々子が研修医の頃のシリーズがあると思っていたが、なかったのね)。Part2の製作者にもpart1の半分でもいいから視聴者に対する繊細な心配りがあれば、松島菜々子のシリーズももっと楽しめたのにと思えてなりません。

<photo:春の常念>

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