ちょっと冷ッとする梅雨空のもと、友人Aさんの誘いで「狭山丘陵」を歩いてきた。
狭山丘陵は、東京都民の水がめである狭山湖と多摩湖一帯に広がる。
山林、草原、湿地、せせらぎなどが手つかずの状態で残り、多少の起伏のある地形をのんびりと歩くのに素晴らしい環境である。
深い森を抜けると、小雨の煙るなか、のびのびとした草原が広がる場所もある。
ホッと一息入れるのに最適である。
足もとには「ホタルブクロ」が咲いている。
いつも見るものより鮮やかなピンクが印象に残った。
一人では迷ってしまいそうな山道を3時間ほど歩き、お昼時となる。
昼食の場所としたのは、林の中に静かなたたずまいを見せる「さいたま緑の森博物館」の案内所。
「博物館」とはいえ、自然環境そのものが展示物となる、85haもの広さの博物館とのことである。
気持ちの良いベンチで、弁当のおにぎりを取り出す。
梅雨時でもあり人の数はまばらであり、案内所のスタッフが雑談に応じてくれる。
近くに、珍しい「ひめざぜんそう」が咲いていると、わざわざ、そこまで案内していただいた。
始めて知り、もちろん、見るのも始めての貴重な花である。
尾瀬などの雪融けの水辺に咲く「ザゼンソウ」とは異なる種類のようだ。
散り積もった枯れ葉のなかにひっそり咲いていて、教えられなければとても気が付く存在でない。
パイナップルの様な形をしたのは実(?)で、やがて割れて中からいくつかのタネがこぼれ出るというお話であった。
予報では雨の予想が出ていて、その通りになった一日だった。
梅雨寒の気温に、途中からウィンドブレーカを羽織ることになった。
それでも、大した雨ではなく、風もなく、人も少なく、かえって静かな山歩きを楽しむことが出来た。