不立文字
半紙
禅宗の根本的立場を示す語。悟りの内容は文字や言説で伝えられるものではないということ。仏の教えは師の心から弟子の心へ直接伝えられるものであるという以心伝心の境地を表したもの。(デジタル大辞泉)
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いわゆる「禅語」です。松原泰道師はこう言います。
不立文字──文字を立てないとは、煮つめていえば、師弟のいのちのふれあいが、禅の本質なのです。立は〈とどまる〉とも読みますから、文字が不要というのではなく、文字や言語には限界があって、それだけでは十分の表現できないものであることを言います。(松原泰道「禅語百選」祥伝社)
近年の国語教育では、自分の思いや意見をいかに的確に表現するか、というようなことばかりに心を砕いているようですが、言葉には限界があるという前提はどこかに忘れられているのではないでしょうか。言葉の限界を超えて、先生から生徒へと伝わる「なにか」があること。それを信じることでしか、教育は成り立ちません。