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一日一書 1252 五月の貴公子・萩原朔太郎

2017-08-08 20:10:48 | 一日一書

 

萩原朔太郎

 

五月の貴公子

 

半紙変型

 

 

  五月の貴公子

 

若草の上をあるいてゐるとき、

わたしの靴は白い足あとをのこしてゆく、

ほそいすてつき(「すてつき」に傍点)の銀が草でみがかれ、

まるめてぬいだ手ぶくろが宙でをどつて居る、

ああすっぱりといつさいの憂愁をなげだして、

わたしは柔和の羊になりたい、

しつとりとした貴女(あなた)のくびに手をかけて、

あたらしいあやめおしろいのにほひをかいで居たい、

若くさの上をあるいてゐるとき、

わたしは五月の貴公子である。

 

 

二回目の「若くさ」を「若草」と書き間違えたけど、

まあ、いいや。

 

8月に5月の詩というのも何ですが

妙に忙しくて、ええい、もう! って思うとき

「ああいつさいの憂愁をなげだして わたしは柔和の羊になりたい」って

フレーズがつい出てくるのです。

それだけ、この詩に惚れ込んでいるのかもしれません。

 というか、朔太郎に。

 

「柔和な羊」ではなくて

「柔和の羊」ってところがミソ。

 

そして、この詩を読むたびに

「あやめおしろい」って何? っていつも思うのです。

 

昔、「あやめおしろい」というエッセイを書いたことがあります。

この詩についてです。

 

 

 

 

 


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