頂いたグロリオサの球根から出た二本の茎に花が付きました。イヌサフラン科の多年草、旧分類ではユリ科、キツネユリ(狐百合)という和名もあります。
名前の由来はラテン語の「gloriosus(見事な)(栄光)」で、華やかで燃えるような姿にぴったりです。
よく見ると、受粉しやすい位置にあるべき雌しべが、まるで避けるように直角に曲がっている面白い咲き方なので、調べてみました。
蕾はユリのように下向きです。葉の先が巻きひげ状になっていて、支柱などに絡んで伸びてゆく半蔓性の植物です。
下向きの蕾が開いて、だんだん花が反り返る様子をまとめてみました。
花が開くと燃え上がる炎のような花弁と雄しべ6本は上に反り返り、下を向いた雌しべの子房から雌しべの花糸がまるで雄しべを避けるように直角に飛び出しています。
やがて花は全開して平らな状態、もう受粉能力は弱まっているかもしれません。
三つに分かれた雌しべの柱頭、その花柱はそれぞれ3つの子房に繋がっているように見えます。
花の色も移りにけりな…やがて萎んできた花弁は初めて下向きになります。
この時期になっても、雌しべはまだそっぽを向いています。
さてその答えは、日本植物生理学会「植物Q&A」に出ていました。
一つの花に雄しべと雌しべを持つ両性花では、均一な遺伝子組成の自家受精より、他家受精によって多様な遺伝子組成をもつ方が種を維持するのに有利なため、雄しべの葯と雌しべの柱頭が離れて自家受粉が起こりにくくなってると出ていました。
また、南アフリカの野生のグロリオサの受粉の生態学的な研究結果によると、花糸は周囲のより開けた方向を向いており、蝶もその方向から飛来するようで、花糸の屈曲が他家受精を促進すると考えられるそうです。
確かに写真の花粉の付いた雄しべは一定方向を向いているように見えます。
このグロリオサは花期の長い華やかな花が下から順番に咲いていくので、長持ちする花材としても人気があります。
ネット通販では、1本500円以上の値が付いていました。
生け花では、ユリと同じように花粉が衣類などに付くと落ちないので、葯は取ってしまうこともあるようです。
なお、原産地はアフリカと熱帯アジア…、そのアフリカ南部ジンバブエの国花にもなっています。
ジンバブエはザンビアとの国境にあるビクトリアの滝で有名です。
※世界遺産オンラインガイドより写真をお借りしました。
鮮やかな花が咲き乱れる遠くの熱帯の国へ暫し思いを馳せました。
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