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自閉症子育ての回想:自閉症を否定すること

2012-07-30 07:21:45 | 自閉症アメリカ教育事情

今までで出会った何人の人たちから

「えっ、自閉症だなって知らなかった」

「自閉症に見えない」

「自閉症じゃないんじゃないの」

などとの言葉をいただいてきました。

「えっ、自閉症だなって知らなかった」や「自閉症に見えない」は、親や本人にとって励ましの言葉でもあるのですが(療育がうまく進んでいる、など)、「自閉症じゃないんじゃないの」は、言ってはいけない言葉じゃないかと思うのです。

親の立場として、「自閉症じゃないんじゃないの」と言われ、かちんとくることがありました。先生や専門家はそういうことは言いません。特にまだ出会ったばかりの人にそう言われると、どうして自分が見聞きしたわずかな情報でそのような言葉を軽く言ってしまうのだろうと思うのです。

そのような言葉を言ってくださった人にとっては、励ましの意図があったのかもしれません。しかし、親にとっては自分たちの判断が軽視され、これまでの苦労や思いを覆されるようなきもちになるのです。

軽度の自閉症は、本人の容貌、言動からは見えにくいのです。それが利点になる場合もあれば、そのために本人や家族が抱える苦労を想像しにくいというマイナス面もあります。

また家族にとっては、子どもの自閉症で苦労しながらも「自閉症」というレッテルがあるからこそ、本人や自分たちを守る術を得ているというところがあります。手短な例で説明すると、外で誤解されるような行動をとった時、「自閉症なので。。。」と相手に説明することができるからです。

先行研究の中では、「自閉症」と診断してもらったことで、自分の子育てが悪かったのでは、というような自責感から解放されたというような事例が報告されています。

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