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自閉症とグループプロジェクト

2013-01-22 20:49:39 | 自閉症アメリカ教育事情

息子が受講している高校の化学の授業で、あるテーマについて調べそれをビデオに作成するというグループ・プロジェクトが課される。

息子の役目は、ビデオの編集。ビデオ編集の経験はまったくないが、インターネットで調べまくり、編集方法のtutorialを youtube動画で閲覧しながら、自学。1日かけて、どうにか作成。

その動画を、チームメートにメールで送ったのが夕方の5時。その彼が最終的に編集し、その夜に先生にメールで送るという約束だったが、息子はだんだん心配になる。

そのチームメートが、本当に責任を持って先生にプロジェクトを提出してくれるのかどうか、懐疑的になり、彼に何度も電話、テキストメッセージを送るがまったく反応なし。

息子はいてもたってもいられなくなり、だんだん彼のことをののしり始める。このチームメートも、一度ぐらい電話に出てくれてもいいと思うが、息子に対応するのが面倒なのか、相手の立場をあまり考えないのか、結局一晩、ほうっておかれる。

課題プロジェクトは、学期の課題物中での点数配分も高く、もし遅れて提出したならば、成績への大きなダメージになるので余計心配になるらしい。

心配でたまらない息子がかわいそうになり、先生にメールを書けばとアドバイス。

メールの中で事情を説明。万が一今夜プロジェクトを彼から受け取らなかった場合には、このビデオがありますので、これを使って採点してください、というような内容。そして自分が編集したビデオを添付。そこで息子は少し安心したらしく、別の宿題にどうにか取り掛かる。

次の日、息子に事情を尋ねてみると、結局このチームメートは、その夜のうちに先生にビデオプロジェクトを提出したらしい。息子の取り越し苦労だったということ。結局先生にメールを送る必要はなかったのだが、息子にとっては万が一の場合には、こういう手もあるという逃れ道が与えられただけでも随分気持ちが楽になったようだ。

学校では、このような共同作業が求められることがあるが、自閉症の息子にとっては相手のリズムや都合に合わせて課題をこなすということは大変らしい。クラスメートを信頼することは勿論、回りの空気を読み取りながら、適切な判断をし、自分のできることを貢献するというのは、普通でも難しい。息子の苦労を思うと胸が痛む思いだが、社会に出て行くためにも必要な経験なので、ぜひ多く学んで欲しい。

 

 

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