キキ便り

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息子、第一希望の大学に合格

2015-03-31 11:06:00 | 自閉症アメリカ教育事情

先週、息子が嬉しい顔で帰宅する。

第一希望のテキサス州立大学オースティン校に合格したというメールが届いたらしい。

第一希望の工学部では補欠合格だったが、その他の学部を選択するならば入学を許可するということだった。

前にもブログに書いたが、テキサス州の事情を少し説明すると、教育の機会を公平に与えるためにそれぞれの高校の上位10%(テキサス州立大学オースティン校の場合7、8%)が希望する州立の大学へ自動入学できる仕組みになっている。ところが息子が以前在籍していた高校(才能教育プログラム、Academy of Science & Technologyのキャンパスになっている高校)や、現在在籍しているマグネットや国際バカロレアプログラムのある高校などでは、この上位7,8%に入るのがなかなか難しい。というのは、学区の優秀な学生がそのプログラムに在籍するために別の高校から入学してくることになり(マグネットプログラム)、上位ランキングに位置するのが難しくなる。今息子が在籍している高校は、非常に多様性をもつ学校で、生徒間の学力のレベルに大きな差がある。マグネットプログラムの生徒が約40%、それ以外の60%生徒は居住地区により在籍している高校生。また在籍生徒の70%がマイノリティ(少数民族)。50%が貧困家庭の子どもたち。しかしマグネットプログラムに在籍する子どもの多くは、地元の大学や医大関係に勤めている教職員で、いわゆる教育熱心な家庭の子どもたち。そのような環境で息子が合格できたのは、大学共通試験のスコア(ACT)と高校の成績の平均得点(GPA)が高く、さらには自分の自閉症を振り返ってのエッセイがあったからなのかもしれない。

詳しいエッセイの内容はまた別の機会に紹介するが、一部を紹介すると、小学校の時に州の標準テスト(合格しなければ次の学年に進めない)で他のクラスメートより劣った成績であることを知りショックを受けたことがきっかけで、自分の人生はこうあってはいけない、自分を変えなければならないと努力することに決意したという経緯が書かれている。

Through my dedication and hard work to do well in school, I was able to change from failing state tests in elementary school to being at the top of my class senior year of high school.  When I was in elementary school, I struggled with learning and doing subjects that other people can normally good.  In fact I remembered coming home on the bus and looking at my state testing scores and seeing that I got 2’s (out of 4) while my other friends got 3’s and 4’s. I felt like I was inferior to my classmates.  I then realized I couldn’t spend the rest of my life below normal and I need to work hard to change myself.   Indeed a few years later in middle school, I was making straight A’s and had exemplary state testing scores.

社会・感情面でも、自分の精神面の幼さや社交性のなさに気づき、そうではなく努力して自分を変えていかなければならないと、勇気を持って努力した結果、今では自分が自閉症であることを殆ど回りの人が気づかないまでに成長したということがさらに書かれている。自閉症は治らないものであり、今でも精神的に落ち込んだり、社会性の面ではぎこちないことはあっても、成熟した大人として成長していっている自分を認め、これからの人生を前向きに希望を持って歩んでいきたいという意思が息子のエッセイから伝わってくる。

日本では米国南部の大学はあまり知られていないが、テキサス州立大学オースティン校はいわゆるパブリックアイビー大学であり、テキサス州だけでなく州外から学生が入学してくる。昨年息子と娘は大学を見学し、キャンパスと洒落た大学町であるオースティンが随分気に入ったようだが、とりあえず息子は地元の大学からスタートする予定で、本人も納得。

息子は、18歳の今日まで何度かIQテストを受けてきたが、知能指数が決して高いわけではなく平均あるいは平均よりやや上。家庭教師がいたわけでもなく、塾や特別スクールに通ったわけではなく、自分で問題集を解き、宿題をまじめにコツコツやってきただけの高校生活だった。3歳で10語足らずしか語彙がなく、5歳までおむつをしていた息子の幼少期を考えると、ずいぶん成長したものだと親としては感動する。まさに努力をすれば報われるということが、本人だけではなく親としても実感できる嬉しいニュースだった。

 

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