『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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2009年11月12日(木)

2009年11月12日 00時00分01秒 | Weblog
昨日は、学校のほうの万葉集講座。
巻十二の、問答歌に入り、また、面白い。

男女の歌の掛け合いである。

交わされる、二つの歌を見ることで、
男と女の、機微、微妙な心理のすれ違いが、
立ち上がってくるのであった。

だいたい男の言うことは、
女のがわから見ると、どれも下手な、言い訳っぽくて、
ちょっぴり、ちっちゃいのである。

当時の恋は、
人に知られないようにするものであった。

知られてしまうと噂が広まって、
だいぶ大変なことになるようであった。

それで、恋人たちは、
誰にも知られないように、会ったりするわけであるが、
そのあたり、問答歌では、だんだん、
男のほうが主に、人目やら噂やらを気にしはじめて、
女が、それにつっこんだり、ちくりとやったりするのである。

問答歌そのものが、わざとそれを楽しむように、
作られている、ようにも思えるが、
その、だいたい、男が、
あれこれ、言おうとしているところに、
女が、まさに真理、というか現実というかを、
さらっと言ってしまう。

男にしてみると、
それを言っちゃあ、みもふたもない、っていう、
最終的には、どうも、
男がこてんぱんに見えるところが、かわいそうで、また、楽しい。

たとえば、男が、
明日から旅である、長く会えない、
せめて今夜は、はやくから、紐をほどいておくれ。
といえば、
女は、
いまさら、共寝などできましょうか、
これから毎晩、かかさず、私を思って、夢にでてきてください。
などと。
ま、旅先で、別のことを、考えるな、というようにも取れるのである。

あるいは、
女が、
私がこんなに思っているのを、夢にでも見てくれましたか。
などと歌に詠んで、使いをだせば、
男は、
今、夢にあなたの姿を見たから、
急いで着替えて、あなたのところへ出かけようとしてたところに、
あなたの使いが来たよ。
と。
催促されたか。

と、書いているところで、今朝は、もう一つの万葉集の講座に、
出かける時間に。

今、また返って書き足しているところ。

今日の講座も、とっても面白くて、大声で叫びたいところであるが、
また、それはいつか。

洋司