このところ雨の日が多かったが、
背の高い赤やピンクのコスモスが、
爽やかな秋晴れの陽ざしに輝いていた。
汗もかかなくなり足取りも軽く、
今の朝晩のその涼しい季節は、
半袖シャツで街路を闊歩する。
秋の空の高い空に向かって、
薄や狗尾草や背高泡立ち草が伸び、
その中にすっぽりと僕は隠れてしまう。
今日は25度を超える夏日になって、その空を仰ぎ見るだけで目が醒めた。そして、清々しい大気が半袖の素肌にふれ、砂浜から地平線に続く海を見ると、コロナ禍から平穏な海に戻っていくように思えた。僕の腕に彼女が腕をまわし、厚い入道雲が煌めく青い海をおおい、カモメがその海の上を旋回していたのを思い出す。
黄金色に染まる夕日の中で海岸線の人波は駅に向かい、彼らの背中をその色に染める景色は鬱陶しさを忘れさせてくれた。