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それが一番の問題

概要は後からついてくる

サイゴン・ピックアップ 藤沢 周

2010年12月04日 | 小説
サイゴン・ピックアップ (河出文庫―文芸コレクション)
藤沢 周
河出書房新社


藤沢周の小説は3冊目かな。
この作品は最後まで読み終えなかった。

池波正太郎のエッセイ集と同じタイミングで読んでいた。
環境が悪かったのか、、、。

藤沢周の小説の主人公の行き詰まり感はなぜか共感することができる。
「僕もいづれこうなるかもしれない」という危機感に襲われる。

今やその危機感が当たりそうな予感に変わり、
怖くて読み進めることができなくなったのかも知れない。

などと考えてみる。

県庁の星 桂 望実

2010年10月20日 | 小説
県庁の星 (幻冬舎文庫)
桂 望実
幻冬舎


前例踏襲ってやっぱ楽だけどつまんないよね。
オグルビーも言ってたな、昨日言ったことなど関係ないと。

人にはそれぞれ事情がある。
それがわからないのは、大抵の人が自分のことで手一杯だから。

自分が変わればみんな変わる。

そんな当たり前だけど大切なことをしっかりリマインドしてくれる素敵な小説。

県庁さんと二宮さんの視点の書き分けも読みやすい。
心の中での突っ込みが簡潔・的確で共感できる。

金曜日の夜から読みはじめて、土曜日の午前中に読了。
長さも手軽で良い。

このうゆう小説は好きです。

トゥルー・ストーリーズ ポール オースター

2010年10月18日 | 小説
トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)
ポール オースター
新潮社


個人事業主ってのは、大変なのだ。
サラリーマンも大変だが危機感では事業主にはかなうまい。

「その日暮らし」を読んでいて、水木しげるの自伝を思い出した。

僕は空調が効いた部屋でページをめくっていたが。

今の僕にとって一番恐いのは、つまらない現実に慣れてしまうことだ。
この本は、その意味において優れたリマインダー。

お人好しで生きていても、いざというとき上司は助けてくれない。
そこを勘違いしないように毎日を生きよう。
それは、回りの人に迷惑をかけるどころか、お互いにとって有益な姿勢であるはずだ。

半島を出よ 村上 龍

2010年10月17日 | 小説
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)
村上 龍
幻冬舎


久々に文字数が多い小説を読んだ。

「ネット脳」といって、長時間集中できなくなったのではないかと恐れていたが大丈夫だった。
おもしろければ読めるね、今のところ。

どれだけ現実的にあり得る設定かは知らんが、大きな違和感は感じなかった。
それどころか、現実に起こったところを空想するとワクワクした。
不謹慎だと言う人もいるだろうが事実は事実。
僕が退屈しているだとか、未来が明るくないだとかそんなことじゃなくて、
非日常とは、自分が直接被害を受けない限り人をワクワクさせるものだ。

「自分には書けない」と思った。当たり前だ。
村上龍が10年ほど考え続け、取材を重ねて書いたのだ。
素人に書けそうな気がしてたまるか。

もっと村上龍の文章が読みたくなった。

日本の国力は衰退するだろう。
その中でも幸福を感じられる人間でありたい。
ならば、幸福を経済的だけで判断しないことだ。
両親を含めた回りと自分を比べないことだ。
そのためには、己を知ることだ。
己を知るとは、つまり他を多く知ることだ。
それでいて比較をしないこと。
矛盾に聞こえるかもしれないが、それしかないだろう。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫) 伊坂 幸太郎

2010年09月22日 | 小説
アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
伊坂 幸太郎
東京創元社


僕が読んだ伊坂さんの作品としては初期のもの。
そのせいか、ちょっとあどけなさがところどころに見られた気がする。
もちろんん、かなり楽しめましたが。

いつも思う、視点を切り替えながら進む小説って凄い。
すくなくとも日本文学では比較的最近始まったことだと思うけど、
こういう小説が増えてるのは、ニコラス・カーさんが言うように、僕らの注意力持続時間の関係か。
単純に面白いからだってこともあるだろうけど。

なんてことを勝手に思う。

浄土 町田康

2010年09月20日 | 小説
浄土
町田 康
講談社


性懲りなく読んでしまった。

この文体、源氏物語の時代から日本語の流れである。
翻訳日本語とは一線を画す高貴な文体である。

犬死、とぶさらえ、あぱぱ踊り、本音街、ギャオスの話、一言主の神、自分の群像

あいかわらずの洞察力もさることながら、「きれぎれ」と比べて心理描写・説明が格段に力強くなったと思う。
僕のようなダメ人間の心にささる。「ドキッ」としてしまう。

ところで、「ビバ、カッパ」よくわかる。ホントによくわかる。
でも、大企業のエリートには同じように伝わらんだろうと思うぜちきしょう。

夜想 貫井 徳郎

2010年09月03日 | 小説
夜想
貫井 徳郎
文藝春秋

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とても丁寧に上手に書かれている。

テーマも興味深い。
今までは読んだことがないテーマ。
この本を手に取るまで、自分で興味があると認識すらしていなかったテーマ。

ただ、僕はこの小説を味わうには少々せっかちすぎるようだ。

途中でなんとなく話が読めた気がしてしまったのが良くなかったのか。

Story Seller Vol 3

2010年08月29日 | 小説
Story Seller (ストーリー セラー) Vol3 2010年 05月号 [雑誌]

新潮社

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初回のStory Sellerの文庫版を読んだことがある。
お買い得だと思っていたところに第3弾が出てることに気がついて購入した。

沢木耕太郎、
以前、「バーボン・ストリート」とあと何冊か読んだことがある。
ちょっと文章が硬い気がしたけど、今回は違って感じた。
記憶よりもよっぽどシックリきた。
女に教わる派が男に教わる派か。この視点はおもしろい。

他の作品文字上に読み応えがあった。
「読み応えは長編並み、読みやすさは短編並み」といううたい文句に偽りなし。

特に、佐藤友哉さんの東京駅での事件と探偵、
そして、さだまさしさん!
こんな才能まで持ち合わせていたとのか!
秋葉原の事件に居合わせたジャーナリストとストーカー、、、。

んー、凄い。どんな思考回路だとこんな作品を思いつくのか。
いや、大切なのは、それを物語として紡ぎ上げる姿勢か、、、。

厭世フレーバー 三羽 省吾

2010年08月07日 | 小説
厭世フレーバー (文春文庫)
三羽 省吾
文藝春秋

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いくつもの視点を書きわける。
小説家にとっては当たり前のことかも知れないけど、素人の僕からすれば感嘆に値する。

それぞれの主人公の時系列が交錯するため、一つの行動への動機やそれに対する解釈の違い、ひいては人間の身勝手さと思いやりが描き出される。

やっぱそれってすごいことだよ。

メッセージ?も良い。
完璧じゃなくてもみなそれぞれの最善、言い換えれば自分をとりまくモノすべてのために頑張っているんだね、それぞれの事情を持って。

それが世の中ってものか。

ハル、ハル、ハル 古川 日出男

2010年08月07日 | 小説
ハル、ハル、ハル
古川 日出男
河出書房新社

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ミニシアターの映画のような世界。

著者はもう少し若いかと思った。
感性は若いのだろうけど。
創作活動を続けてきた緊張感と生き甲斐の仕業か。
とにかくすごい感性だ。芸術家が見せる異様性を構成するナニカの一部である。

僕が読んだことがある小説の世界のどれとも違う。
会話や登場人物の思考を書くときの呼吸は絶妙。
これは簡単に真似できるものではない。

古川日出男は芸術的な小説家/作家だと思う。

gift 古川日出男

2010年08月04日 | 小説
gift (集英社文庫)
古川 日出男
集英社

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1話づつが短いから隙間時間に読んだ。

そんな読み方は失敗。
長さと内容の濃さは比例しないから。

読んでいる内容が頭のなかで映像になった。
小説を読んでいるときは、そうならないとつまらない。

舞台が自分が見たことある世界だからかも知れないし、
文章が上手だからかも知れない。
当然、両方だろうけど比重は問わない。

「低い世界」、「あたしはあたしの映像のなかにいる」、
「鳥男の恐怖」が特に印象に残った。

発想の豊さに嫉妬するわ。

古川日出男さんの中編/長編を読みたく思います。

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ リリー・フランキー

2010年06月05日 | 小説
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
リリー・フランキー
扶桑社

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移動時間に読んだ。
家を出る前、買ったまま読んでいなかったこの本が目に入ったから。

おもしろい。
読んで損はない。
うかつにも泣きそうになった。

小説のような、自伝のような、それでいて現代批判も少し入ってる。
まったくの作り話ではないはず。

リリーさんによる母親の描写から、母に対する思いが伝わってくる。
相当好きだったんだね。
小説を読んでいるとその魅力まで伝わってくる、素敵な母親。
ちーとよそ行きの化粧してると思うがそんなことはどうでもいい。
父もカッコイイ人だと思う、、、日本海的な意味で。

リリー・フランキー本人もジャンルに囚われない人だし、この本もジャンルでくくるべきではないと思う。


母ちゃんは大切にしないといけない。
でも親孝行はしてもしきれないんだな。
結局のところ、日々をしっかりと生きるしかない訳だ。

プリズンホテル 浅田 次郎

2010年06月05日 | 小説
夏 プリズンホテル(1) (集英社文庫)
浅田 次郎
集英社

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浅田次郎、、、母親に買ってもらった辞書を大切に使って、、、、
大変な苦労をして、、、という話をどこかでしていたのを読んだことがある。

「エラそうなヤツだ」と思って敬遠していたが、職場の先輩に借りて読んでみた。

そうとう面白い。

小説家はこうゆう話を頭の中で作り上げるのかぁと感心した。
この話はミステリではないけど、ミステリ作家も似た作業をするんだろうなぁと感心。

おもしろいんだけど、読むのは「夏」だけにしておこう。
直ぐにでも血と骨になる本を読むべき時期だから。

中国行きのスロウ・ボート 村上 春樹

2010年05月30日 | 小説
中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)
村上 春樹
中央公論社

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1Q84を読もうと思ったがかさばる。
そこで、代わりに本書を手に取った。

満足。村上春樹の作品は2、3年ぶりに読んだ。
印象は同じ、良い意味で。好きな世界。

とくに、思考明晰な主人公の主張などは好きだな。

それだけじゃ世の中は渡れないけど。

もっとモノゴトを落ち着いて見つめようと思った。

漠然と。