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それが一番の問題

概要は後からついてくる

一人の男が飛行機から飛び降りる バリー ユアグロー

2010年04月11日 | 小説
一人の男が飛行機から飛び降りる (新潮文庫)
バリー ユアグロー
新潮社

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罰ゲームで牛の胃の中に入るとか、世界最後の煙草を持ってるけど火がない、とか。

寝ている間に見る夢に出てきそうな設定。

ただ、セックスのシーンとかちょっとセクシーな描写があるので
寝る前に読んでいた僕にはちょっと支障あり。

そのまま寝る訳にはいかないことになったり。

きれぎれ 町田 康

2010年04月04日 | 小説
きれぎれ (文春文庫)
町田 康
文藝春秋

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作者は、INUってバンドをやってた人らしい。
「メシ喰うな」ってタイトルはどこかで聞いたことがある。
そのまま覚えるくらいインパクトあった。

で、小説。
音楽系の人の文章。
桑田圭祐とか菊池成孔とか忌野清志郎とか。
なんかやっぱモノカキとは違うと思う。

文章自体は川上未映子に近い。
川上未映子が町田康に近いというのが正しいか。

売れない画家の話で、芥川賞もとってる。
男の心理が良く表れていると思う。

思考を口語で表現されてる、ような感じ。
ちゃんとに整えられているんだけどね。それを悟られないようにしてる。
そこがすごいんだと思う。

そして、ところどころで光る、教養の賜物とも言える一言達。

「人生の聖」という短編も収録されている。
語り方は、基本的につれづれと同じと行って良いと思う。

2つの作品に共通する、障害者っぽい行動。
これがキワドい。
こうゆうことしたくなく欲望は僕にもある、と思う。
意識してないけど、どこか眠ってるはず。
これをやってしまってる場面を読む体験は新鮮。

他の作品も読んでみたい。

退廃姉妹 島田 雅彦

2010年03月02日 | 小説
退廃姉妹 (文春文庫)
島田 雅彦
文藝春秋

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島田雅彦は生存している小説家の中では5本の指に入るほど好き。

無限カノンと同じモチーフ「戦争」がでてきた。
テーマは、日本という国のあり方、日本人のアイデンティティーについて考えている。
現状のそれを情けなく思っている。
実際に効果的な一手は模索中、
と勝手に想像。

戦後の話は飽きるほど聞くが大抵は同じ話。
焼け野原の写真、貧乏、チョコレート。

文学作品は、当時の光景を想像させる。
フィクションではあるが、当時の世相までも感じさせてくれる。
これは、ドキュメンタリーには出来ない芸当だ。

現代に、戦後の日本を伝えたがっているのかも知れない。
興味をそそられる形で語られることは少ないから。

ところで、島田雅彦の政治思想はなんだろうか。
ずーっと若い時分は左翼的だっと思うけど。
ちょっと右?朝日新聞に連載を持っていたし(まだやってるかな)、
右を通り越してやはり左?

どっちでもいいんだけど。

根底には、意識を高めることに他ならぬ気がする
「日本人として誇りをもっと持って生きるべきだが、そんなこと考えとるヤツおらんぞ。
まぁ国民なんてどこもそんなもんだろうが。」

って感じか。

エピローグの結びは強烈。

夜は短し歩けよ乙女 森見 登美彦

2010年02月27日 | 小説
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
森見 登美彦
角川グループパブリッシング

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面白い。表紙は、本書の世界感と上手に表していると思う。

この小説は、「私」と「私が心をよせる女性」の視点で構成されている。
僕の読書経験のなかでは、珍しいケース。2人の距離が離れていることが多い。

視点の他に、この小説には2点特筆すべきことがある。

一つはキャラ。
全員がきちんと立っている。
李白、樋口さん、羽貫さん、パンツ総番長など。皆、主人公たりえる濃さ。

もう一つの特筆するべきところはレトロな語り口、とくに「私」の意中の人。
「奇天烈」と感じで書いてしまう感じの。
その古い日本語は、京都という舞台にあう。


楽しめた。

圏外へ 吉田 篤弘

2010年02月19日 | 小説
圏外へ
吉田 篤弘
小学館

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カート・ヴォネガットの小説にもあった感じ。

著者らしい話、ソボフルとか蝙蝠とかエリナとかモリナとか、
さらに、「百鼠」のような語り口のエジンバラ先生だとか、
なつかしい世界を見ることができた。

しかも、「南」と「幸せ」とか「ミスター・サテ」、「だりむくる」、
「たわむ」「解す」など、小ネタ(僕の印象では)も味わえる。

つまり、今まで彼が書いた作品の色々な要素がこの一冊には詰まっていると言える
、、、と思う。

それは、同時に本書が著者の昔の作品ほど、個性が立っていないことも意味する
、、、と思う。

「圏外へ」は、作者自身へのメッセージが多くて、あまり引き込まれない部分も
少なからずあった。

僕が「針がとぶ」は大好きで、どうゆう風に書いているのか見当も
つかなかったが、ちょっと分かった気がした。

最後に、詩の定義は非常に良かった。

あと、男と一人称の使い分けも。

んー、吉田篤弘と言う人は、さぞかしモノゴトを注意深く見ることができる人なのだと感心する。

爪を煎じて呑ませて、、、いや、それはいいか。

のぼうの城 和田 竜

2009年12月18日 | 小説
のぼうの城
和田 竜
小学館

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先輩が大絶賛していたので読んでみた。
「まったく新しいタイプの時代小説」と聞いていたが、
そうでもないように思う。

かなり面白かったけど。

良い小説は視覚的な印象を残す。
この小説には強烈なシーンがいくつかあった。
「踊り」のシーンとか。

本の装丁デザインもすばらしいと思う。
この装丁に惹かれて読むことを決めたようなもんだ。
主人公のイメージをあますことなく表現している。

読んでよかったと思う。
本棚に入れておきたくなる作品。

范蠡―越王句践の名参謀 (PHP文庫) 立石 優

2009年10月25日 | 小説
范蠡―越王句践の名参謀 (PHP文庫)
立石 優
PHP研究所

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一冊読んでおくと会話の幅が広がって良い。

歴史ものを読むとワクワクすることがある。

自分が時代の大きな転換期に生きているかも知れないし。

なんつーか、「どうしようもなく強い力がモノゴトを動かしているのだから、
パーソナルなことなど忘れてしまえ」的モードになる。

これはたまには良いことだ。

特に月曜日の朝など。

この世の全部を敵に回して 白石 一文

2009年06月28日 | 小説
この世の全部を敵に回して
白石 一文
小学館

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知り合いが残した手記として、人間(死?)について延々と述べられている。

僕は、最後まで読まないことにした。
書かれていることは良くわかるんだけど、なんというか、
とめどなく書かれていて、まるで、酒に酔っている相手に一方的に主張を
聞かされているような気分になったから。

んー、小説用の言葉を使った人生論ってところか。

今の僕にはtoo much.

もう少し若ければ、自分と同じ考えを持つ著者に共鳴したかも知れない。
もっと歳をとっていれば、同年代の同士に出会った感動を味わえたかも知れない。

でも、今の僕の為にはならない。

箱崎ジャンクション 藤沢 周

2009年06月27日 | 小説
箱崎ャンクショジン
藤沢 周
文藝春秋

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最近は小説を読む気分になれないと書いたばかりだけど、休日の朝から読んだ。

ちょっと見てみるだけのつもりが、一気に読破した。
自分の未来を読んでいるような気がして、中断できなかった。

話は湿ってる。どうにもならない現実を生きる三十歳の男。
物語の起伏はあるが、恋愛や大事件、意外な終演もない。

どうしようもないし、どうでもいいし、誰を責めるわけでもない、
それでもどうにかしようともがく男。
過去に縛られ続ける男の話。

学生時代良く読んだ、暗めの小説を読み終えた後の読後感似たを覚えた。
似た境遇にある男の心の中を覗いたようなこの感触。

決してこうなりたいわけじゃない。
だけど、ジリジリと滑っていく気がする。

毎日毎日思う。

こうゆう話を書ける作家の精神力は凄い。
彼の人生の目標は何だろうか。

Story Seller 新潮社

2009年05月03日 | 小説
Story Seller (新潮文庫)

新潮社

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文庫にしては少し値が張るけど、金額以上の価値がある。

人気作家達だけあって、非常におもしろい話を書く。

文学論を学んだことはないけど、どこか文学的な作品が多いような気がする。
現代を映し出す心理描写と普遍的なテーマ、、、かな。

強いてナンバーワンを挙げるなら有川浩の「ストーリー•セラー」。
主人公の男への感情移入度は過去最高レベル。

僕は現実逃避をむさぼっただけなのか?
と思わせてくれた佐藤友哉の「333のテッペン」の台詞も好きだけど。

全ての作品に共通して言える唯一のことは、
一般の社会人として括られることの幸せさだと思う。