僕はこの年初めて原爆死没者慰霊式並びに平和記念式に臨んだ。遅きに失したが、学ぶところが多かった。平和については学ぶのみである。その時の「平和宣言」の冒頭部分を復習しておく。
「戦争の世紀だった20世紀は、悪魔の武器、核兵器を生み、私たち人類はいまだにその呪縛から逃れることができません。しかしながら広島・長崎への原爆投下後54年間、私たちは、原爆によって非業の死を遂げられた数十万の皆さんに、そしてすべての戦争の犠牲者に思いを馳せながら、核兵器を廃絶するために闘ってきました。
この闘いの先頭を切ったのは多くの被爆者であり、また自らを被爆者の魂と重ね合わせて生きてきた人々でした。なかんずく、多くの被爆者が世界のために残した足跡を顧みるとき、私たちは感謝の気持ちを表さざるにはいられません。
大きな足跡は三つあります。
一つ目は、原爆のもたらした地獄の惨苦や絶望を乗り越えて、人間であり続けた事実です。・・・家族も学校も街も一瞬にして消え去り、死屍累々たる瓦礫の中、生死の間をさまよい、死を選んだとしてもだれにも非難できないような状況下にあって、それでも生を選び人間であり続けた意志と勇気を、共に胸に刻みたいと思います。・・・」
このように始まる平和への祈りを僕は聴いていた。今年はどのような宣言が謳われるのであろうか。言葉は違っても主旨は同じであるはずだと想像している。