自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

ミミズ

2013年06月02日 | Weblog

 これから暑くなるとミミズが道の上に出て来る。理由は定かではないが、雨水が巣穴に流れ込み、避難して路上に出て来るという説がある。
 どちらかというと、ミミズは嫌われ者の生き物かもしれない。だが、ミミズたちは農業の縁の下の力持ちである。土中を縦横無尽に動き回ることで土が柔らかくなり、酸素も行き渡る。土と有機物を体内に通し団粒をつくる。その糞はカルシウムに富み、弱アルカリ性の土壌を生む。肥えた土にはミミズがいるというのは、多くの人が知るところである。(要らぬことを言えば、ミミズのような役割をする人々が居てこそ、社会は維持される。そういう人々の役割が十二分に認められる社会であってほしい。)
 ものの本によると、かつて東京の某デパートでミミズが売り出され、長野県産の5万匹のミミズがあっという間に売り切れたという。買った人々は家庭菜園に放したに違いないが、ミミズたちは元気に活躍しただろうか。
 進化論のダーウィンの晩年の研究テーマは「ミミズと土壌の形成」(1881)だった。ミミズの棲む畑に産出される有機成分と量を算出し、その有用性を説いている。ダーウィンを持ち出すまでもなく、古くから世界各地でミミズの能力は知られていた。土や植物に関わる神話や伝承も多い。
 稀有壮大な神話の一つに、台湾の創世神話がある。大洪水の後ミミズが無数に現れ土を食らい、糞を出して肥沃な大地をつくったというものだ。おそるべきミミズの能力。
 さて、僕はと言えば、ミミズは嫌いではないが、好きだと言うほどでもない。だが、ミミズには感謝しなければならない。