自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

2013年06月16日 | Weblog

 蛍について伝聞する季節になってきました。
 ものの本によると蛍は世界に広く分布し、およそ二千種、日本にはそのうち四十種が生息しているそうだ。日本のように蛍を愛でる習慣は欧米にはなく、単に”光るウジ”と呼ばれる気味悪いだけの昆虫のようだ。蛍は光るものと思われるが、光らない種も多く、日本にいる蛍で光るのは十種ほどである。その光は発熱しないので冷光と言われる。何故光るのかというと、言うまでもなく恋のシグナルで、まれに威嚇の場合もあるそうだ。面白いことに、その光り方、交信のパターンは複雑で、種ごと、地域ごとの発光パターンをもつそうだ。ゲンジボタルは東日本では四秒間隔、西日本では二秒間隔で点滅するという。
 平安の昔から、歌や物語の恋愛の場面に蛍はしばしば登場する。また人の怨霊が蛍に化すという伝説も各地に残る。
 高倉健が主演した映画『ホタル』では、特攻隊で生き残った主人公が、特攻で不帰の人になった青年の遺品を韓国の家族のもとに返しに行く話である。遺品を入れた包みを開けると、夕闇にホタルが一匹飛び出す。青年がホタルの姿を借りて帰って来たのだ。映画館に行かない僕はビデオを買って観た。物語はもっと複雑なのだが、ホタルに身を化すという独特の味わいが印象に残っている。
 残念ながら、僕んちの近くのコンクリート壁に覆われた秋篠川では蛍は見られない。