自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

無常迅速

2007年07月04日 | Weblog
国語の時間です~。


   やがて死ぬけしきは見えず蝉の声    芭蕉

 蝉の幼虫の期間はきわめて長く、数年から十七年間も土中での生活を送る。ところが成虫期間はわずか十日間から二十日間。一夏だけの儚い命である。その間、さかんに鳴きたてる蝉の声に、人の世の無常を感じ取ったのがこの句である。「無常迅速」という前書がある。
 芭蕉の厭世観を表しているとも思われるが、厭世観というよりも、人間の死生観を自然の小動物に託す、その表現形式が日本人の本来の有り体を表しているのだと思う。
 志賀直哉の『城の崎にて』を読解したとき、同様の感慨を述べた。