ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ギャバンの帽子、アルヌールのコート』を読んで

2018年02月21日 | 本(小説ほか)

『ギャバンの帽子、アルヌールのコート』(川本三郎著、春秋社、2013年)を読んだ。

題名が『ヘッドライト』(アンリ・ヴェルヌイユ監督、1955年)を連想して洒落ているし、
副題も「懐かしのヨーロッパ映画」だから、何はともあれ、これは読まずにいられないと手に取った。

内容的には、著者自身の十代のころの映画体験を基にした、1950年代から60年代のヨーロッパ映画の作品が中心となっている。
その数は32作品。その中で、フランス映画が17本。
監督としてはジュリアン・デュヴィヴィエ、アンドレ・カイヤットの作品が4本ずつある。

国別で、次に多いのがイギリスで、ただその数はグッと少なくなって6本。
それも『第三の男』の監督、キャロル・リード作品が3本も占めている。

じゃ、お前はどれだけ観ているかと問われると、やはりちょっと心細い。
その数、わずか13本である。
そして、『バラ色の人生』(ジャン・フォレ監督、1948年)、『謎の要人・悠々逃亡!』(ケン・アナキン監督、1960年)に至っては、初めて聞く題名であったりする。

でも、この本を読んでみて嬉しいのは、フランソワーズ・アルヌールに関する作品が3本も紹介されているところ。
アルヌールに対する想いがなければ、『禁断の木の実』(アンリ・ヴェルヌイユ監督、1952年)、『ヘッドライト』、『女猫』(アンリ・ドコアン監督、1958年)と、
3本も紹介されるはずはない。
やはり、アルヌールに対する想いは、私一人ではないと心強くなる。

いずれにしてもこれらの作品に対する、著者川本三郎氏の熱い想いが文章の行間に表れていて、見逃している作品をどうにかして観たいと、流行る気持ちを抑えられなくなる。
映画好きと言うことも絡んでか、これは、読むことを夢中にさせる本であった。


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