原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

春が咲いた!

2013年04月12日 07時38分47秒 | 自然/動植物

 

誰が名付けたのだろうか?フクジュソウ(福寿草)とは随分「めでたい名前」だ。旧暦の2月頃に咲くので、旧正月にちなんで元日草とか朔日(ついたち)草と呼ばれていたとか。そんなところからめでたい名前が付けられたのだろう。他の地域では違うのかもしれないが、道東では春のいちばん先に花を開くのがこのフクジュソウ。続くのがコブシであり、エンレイソウやエゾカンゾウそしてエゾヤマザクラと続く。他に先駆け、春を真っ先に知らせる花である。一年中咲くタンポポより早い。北国の人はフクジュソウを見ると、長い冬の終わりを知り、ホッと息をつく。

 

4月初めの爆弾低気圧がもたらした大雨が降り積もった雪を大幅に減少させた。雪が消えると顔を出したのがフクジュソウ。地中で雪が消えるのを待ちかねていたのであろう。あちこちで一斉に芽を出し、花を開いた。

 

同じような顔をしている花弁であるが、人間同様、一輪一輪に個性がある。わずかな違いなのだが、その違いが微妙で面白い。楽しんでいるうちに、あることに気付いた。どうも種類の違うフクジュソウがあるようだ。調べてみると、一般的にフクジュソウと呼んでいるが、ミチノクフクジュソウとキタミフクジュソウがあるらしい。福寿草と呼ばれるものもあるという話だが、どう違うのかよく分からない。北海道は土地柄キタミフクジュソウが当然多い。これを普通に福寿草と詠んでいる例も多いと聞いた。キタミフクジュソウは北海道だけではなく本州各地に結構広く分布しているということだ。

キタミフクジュソウとミチノクフクジュソウの見分け方は、萼片(がくへん)という花弁の外側(花弁の付け根)にあるものものが大きくて目立つどうかによる。大きいのがキタミとなる。しかし、微妙でよく分からない。萼が全く見えないものもある。これがミチノクフクジュソウなのだろうか、それともただのフクジュソウなのだろうか。あくまで推測だが、別種類たちは時をかけて混合していったのではないだろうか。だからよく分からなくなっているのでは。結局、キタミでもミチノクでもどちらでもいいということに落ち着く。

(左がミチノクフクジュソウ、右がキタミフクジュソウとなるのか)

 

とはいいながら、この花の根には人間を死に至らしめるほどの毒が潜んでいる。もちろん漢方薬としての役割もある。要は使い方次第ということか。毒にも薬にもなるフクジュソウ。春を象徴し幸福を呼ぶフクジュソウ。いろいろな顔を持つの花が、今年もさりげなく野に咲いている。

 

*福寿草:キンポウゲ科の多年草


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