原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

永遠の未成熟。

2013年12月20日 10時25分25秒 | 社会・文化

 

「永遠の未成熟」、この言葉を初めて聞いたのは、中学校の卒業式であった。その時の校長先生というのが大変ユニークな人で、卒業式も従来の方式をがらりと変え、全校生徒によるシュプレヒコールによる送辞と答辞という方法を取り入れていた(当時としては破格に珍しかった)。卒業する我々に送られた言葉がこれであった。これから大人に成長する過程で、慢心することなく、常に未熟の考え方で精進を怠るな、という教えであった。この言葉が心に残った。社会人となってからも座右の銘としていた。ところが昨今、どうやらこれはもう使っちゃいけない言葉だなと、思い始めている。日本や周辺では、とんでもない未成熟が蔓延していることを感じるからだ。

 

もっとも酷いのはテレビ界のようだ。幼児化した番組のオンパレード。真面目にテレビをつくる人がいなくなったのか。そうした中での、特定秘密保護法に対するマスメディアの狂乱的反対運動。あの法案の条文を読んでどうして、「治安維持法に似ている。知る権利が奪われる。自由に意見が言えなくなる。はたまた憲法改正で徴兵制度が実現する」、などの判断ができるのか(具体的な指摘は一切ない。ある政治家などはただ怪しいとしか言わない。世論操作もここまでくるとうんざりだ)。これほどの偏向報道が各社いっせいで行うほど、頭脳が未成熟、というより思考が停止してしまっているとしか言いようがない。60年と70年に日本で盛り上がった安保闘争時代の思考がそのまま蘇ってくる。あの時の未熟な論理の反省がまるでない。マスメディアの論客(もっともほとんどが安保を知らないかも)をみていると、これはまさに永遠の未成熟と思ってしまった。テレビによる幼児化戦略にのって、一つの方向に誘導する陰謀ではと思うほど、偏向している。この法案によって、どれほど国益が守られるのか、国民の安全がどれほど担保されるのか、政府の説明不足もあったが、もう少し「利」を語るメディアが登場すべきであった(サンケイ、読売は多少あったが)。

 

たしか心理学の用語だと思うが、「ネオテニー」という言葉を思い出した。Wikipediaによると、動物において、性的に完全に成熟した固体でありながら非生殖器官に未成熟な、つまり幼生や幼体の性質が残る現象のことを幼生成熟、幼態成熟をネオテニーと呼ぶらしい。結婚をしたくない男女、恋愛経験がない男女が増えていることと、相通じる。都知事を辞任した方のように「傲慢」になることはまずいが、未成熟でいることの心地よさに甘えていてはやはりまずい。マスメディアというのは、日本人の心の中にネオテニーの病原菌を養殖させていたのではないのだろうか。一時、一億総白痴化という言葉が躍った時代がある。それが現実になったような気がして背筋がちょっぴり寒くなる。

 

かつて、あのアドルフ・ヒットラーが「東方が巨大な実験場となり、同時に永遠に大人になれない『未成年集団の国』が現れる」、と予言したと、何かの本で読んだこと(聞いた話かも)がある。本当にヒットラーの言葉かどうかは定かではない、が、何やらその予言は巨大大陸とその半島に的中したように思う。北朝鮮ではNo2が粛清され、南朝鮮では異常な大統領の告げ口外交が行われている。世界中があきれている現状はどうやらこの南北の政治家には聞こえていないらしい。慰安婦の銅像をアメリカ各地に建てる計画など、尋常な神経の人間にできることではない。明らかに未成年国家そのものならではの所業である。21世紀を迎える長い歴史の中で、この国の人たちは何を学んできたのだろうか。

国防識別圏を設定してきた某国も世界の笑いものになっている。少しの国際的な判断があれば恥ずかしい話のはず。だが、どうやらこの国はそこまでの成熟度はないらしい。この先にあるのは、悲惨な戦争しかない。そしてそれを防ぐための一つとして特定秘密法案の制定が必要であった事は言うまでもない。

 

日本はいま大きな分岐点にいる。いつまでも永遠の未成熟と言っている場合ではない。わが座右の銘からこの言葉は削除された。


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2 コメント

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ピーターパン症候群! (numapy)
2013-12-21 09:53:57
日本ばかりかと思ってましたが、世界中に増殖してますね、ピーターパンシンドローム!
粛清で体制の維持を必死で守りたい30歳の子供、
識別圏で喧嘩を吹っ掛ける人口大国の指導者、
大国の味方に裏切られて右往左往する先の妄信的女首領、
さらには、アマチュアでしたとエクスキューズする辞任知事、
いやはやあげればきりがない…。
さて、われらが日本はどこへ向かうのか?
それにしても中学の校長氏はなかなかですね。
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ユニークな校長でした。 (原野人)
2013-12-22 10:21:15
授業時間を減らして、学校で農作業を生徒にさせていました。今こんなことをしたら大問題となったでしょう。そんな校長先生でした。もうすでに他界しておりますが、地域の発展つくした人で、もう少し行政がきちんとしていたら、名士として名を残せた人でした。もっとも本人はそんなことをまったく気にしていませんでしたが。塘路の自宅で静かに世を去ったと聞いてます。晩年は少し寂しかったようです。
私は子供のころから先生には恵まれていたのかもしれません。こういう人に出会えたのですから。
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