今日の出来事

どこへでも風の吹くままに。 http://www.geocities.jp/syanagio/index.html

桜無残

2006-04-10 | 

 先日、近くのダム湖まで出かけました。標高が高い場所なので、桜はまだなのは当然ですが、大雪による道中の山の荒れようには痛ましいものがありました。
 まだ若い杉林は半数近くが折れて、まるで爪楊枝のように立っています。緑の間に白い傷跡も生々しい幹の下には、折れた枝や梢が散乱しているのがうかがえます。道が山中に入っていくと、遠目の被害が目の前に広がっていて、この荒れた山が元に戻るには何十年もかかるな、と実感されました。この山林の持ち主の心痛はいかほどか。
 更に進んで、ダムに着きました。ダム湖の周囲はいつもの春なら美しい桜に囲まれており、緑の水面に淡い色が映って、それは美しい景色なのです。それが、今年はまだ背丈以上の雪の残っているところも多く、雪折れの木々が目立ちました。大枝が根元から折れて、道にまでかかって、通り抜けるのもできないほどの所が何箇所もありました。
 それなのに、折れた枝には無数の芽がふくらんでいるのです。悲しいかな、すべて葉の芽でした。こんな状態では生殖成長はできないのでしょう。傷ついた木は、花を咲かすことを諦めて、持てる力のすべてを葉へと振り向けていました。この写真の桜もそうです。

 このダム湖と周辺の山々も、夏になれば、おそらく旺盛な生命力で、雪による傷跡を、緑の中に覆い隠してしまうのでしょう。でも、美しい桜が元のように一面に咲き誇るのは、ずっと先のような気がします。



最新の画像もっと見る