政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

歴史認識をめぐって…枝野幸男と平沼赳夫の場合

2010-04-04 21:21:53 | 民主党
まず枝野幸男行政刷新相。
二つの意味で、なんとも愚かな発言である。
一つは浅薄な歴史認識である。
もう一つは、政治的な影響を量れない愚かさである。

小沢辞めろなどと叫んでいる場合ではない。

「中国や朝鮮半島の植民地化、歴史の必然」講演で枝野氏 (asahi.com 3/27)
枝野幸男行政刷新相は27日、松江市で講演し、「日本は明治維新ができ、近代化したが、中国や朝鮮半島は近代化できなかった。日本は植民地を広げる側で、中国や朝鮮半島は植民地として侵略される側になったというのは、歴史的な必然だった」と述べた。植民地支配を正当化したとも受け取られかねない発言だ。

 枝野氏は政権交代を契機に「新しい政治をつくらないと大変になる」と述べ、明治維新を引き合いに出した。


どいつもこいつも、「歴史」といえば「明治維新」を持ち出す。
NHKの大河ドラマだけが歴史だと思っている。

「歴史の必然」?
馬鹿も休み休み言え!

歴史には、確かに原因があり結果がある。
だからといってその結果が必然と言うわけではない。
歴史に if は禁句であると言われる。
しかし、数多くの if のうちの一つが選ばれた結果の積み重ねが歴史なのである。
歴史は、あらかじめ敷かれたレールの上をたどっているわけではない。

「歴史の必然」という言い方は、この場合は、侵略の責任を回避することを意味するだろう。
いわゆる近代化をしなかった中国や朝鮮が日本から侵略を受けたのは、自己責任というわけだ。

日本が中国や朝鮮を侵略し植民地化したのは、日本列島ができたときから定められた運命である、とでもいいたいのか。
あるいは地球が誕生したときからの定めであったのか。

ましてこんな微妙な問題に関して、現職閣僚として発言する”必然性”があったのか?
その発言もまた「歴史的必然」であるとでも言うのか!

現在から過去を見ると、確かに歴史は一本道を歩いてきたかのように見えるが、それは結果論であろう。
あり得べき他の道も、あったのだ。
今後、歴史がどのような道を歩むかは、必然性の問題ではなく、選択の問題なのである。

平沼・与謝野の新党立ち上げが具体的になってきたようだ。
しかし平沼赳夫、与謝野馨を繋ぐものは何なのかが見えてこない。
鳩山邦夫の参加まで取り沙汰されているが、ますます彼等の新党結成の理念は分からなくなる。
自民党と協働して民主党をやっつける、と言っているがそれが彼等の共通理念ではあまりに低次元に過ぎるだろう。

中山氏参院選出馬へ 比例代表「新党に保守再結集」 (宮崎日々新聞 4/4)

しかし、ここにこの中山成彬が参加すると、新党の性格はかなりはっきりしてくる。
「右翼政党」である。

中山成彬元国土交通相(66)が、平沼赳夫元経済産業相らと結成する新党から、夏の参院選に比例代表で出馬する意向であることが3日、分かった。

 中山氏は宮崎日日新聞の取材に「新党結成後に比例代表の候補を擁立していく。私もその1人に入る」と明言した。

 中山氏は「民主党には絶対に参院選で過半数を取らせてはいけない。今さら自民党に頼ることはない。『真正保守』を再結集する以外に日本を救う道はない」などと意欲を述べた。




こんな男が加わると、本人達は大まじめなのだろうが、にわかに喜劇じみてくる。
内閣発足わずか5日後に国交相辞任、麻生内閣のつまずき初めとなった。
その後も引退するのしないのと騒いでいたが、結局衆院選落選で事実上引退したのかと思ったら、どうやらまだまだやる気満々。
夫婦共に税金で食っていく生活を続けることを目指している。

彼の参加によってクローズアップされるのは、平沼赳夫の、保守というよりはその右翼体質である。

平沼赳夫に、「平沼グループ政策綱領」なるものがある。

その第一にあげられているのが次の文言である。

1 日本の「伝統・文化・歴史」の維持、「安全と平和」は自国の力で確保

○ 我が国の伝統・文化・歴史、その積み重ねのなかで「共に生き共に支え合う、助け合いの精神」がはぐくまれてきました。この日本の原点となる価値観が今、効率
至上主義のなかで見失われようとしています。それを見失ってしまうことは「日本人の誇り」のよりどころも失うことになります。


平沼の言う、「共に生き共に支え合う社会」は何時、どこに存在していたのか?
「助け合いの精神」によってどのような社会が作り上げられていたのか。
それを具体的に言ってもらわなければ、平沼赳夫が取り戻そうとしている社会の形は見えてこない。

彼等は二言目には「日本人の誇り」というが、それが何なのか、わたしにはどうしても理解できない。
「お国自慢」というような感情は多くの人が持っている。
しかし、彼等の言う「日本人の誇り」というのは、どうやらそれとは違うらしい。

平沼新党の性格は、今後はっきりしてくるのだろうが、民主党にとって脅威とはほど遠いものであろう。
「馬糞の川流れ」そのままに、自民党の消滅が加速していく。





民主主義の確立のために!
  人気ブログランキングへ
ご面倒でもクリックを↑

おすすめできない一冊
七人の政治家の七つの大罪
平沼 赳夫
講談社

このアイテムの詳細を見る


政治・社会関連図書へ


古書 那珂書房

特に歴史書が充実しています