政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

一般財源化は終わった問題ではない

2008-06-10 08:21:30 | 自民党
与党、野党との道路財源協議中断へ 内部調整を先行  (NIKKEI NET 6/8)

与党は道路特定財源の一般財源化に関する野党との協議をいったん打ち切り、与党内の調整を先行させる方針を固めた。

結局と言おうかやっぱりと言おうか、自民党は与野党協議を打ち切った。こんな話にうかうか乗った民主党が甘かった。

9日にも野党側に与野党協議会の中断を通告。
中断を決めて一方的な通告でチョン!

今国会閉会直後に道路政策や税制の抜本改革を検討する与党協議会を立ち上げ、今秋までに具体策の骨格をまとめて野党側に提示したい考えだ。

国会閉会後ということは、表向き民主の追求の場がないということ。その間に自民・公明であらかた固めてしまおう、という企み。民主に提示するときにはすっかり骨抜きになっている。

自民党の大島理森国会対策委員長は日本経済新聞の取材に「与野党協議会はいったん句読点を打ち、政府・与党の考えを固めてから年内のそれほど遅くないうちに提示する。もう一度与野党協議の場をつくることが絶対必要だ」と語った。
与野党協議を否定するものではなく、しっかり協議を行う意志があることを表明しているが、もちろん嘘っぱち。単なる言い訳。
もともとのシナリオ通り。


道路財源で協議、与野党進展せず  (NIKKEI NET 5/28)
与野党は(5月)28日、道路特定財源問題に関する協議会を約1カ月ぶりに再開した。民主党が高速道路を除く道路整備の権限を国から地方に移すよう訴えたが、与党は難色を示し、議論はかみ合わなかった。
……次回会合は国会対策委員長間で改めて調整するが、全くめどが立っていない。

もともと野党の意見など聞く気はないのだから話が進展するわけはなかった。”協議をした”というアリバイが欲しかっただけ。行き詰まりは予定通り。
とにかく自民党としては、協議の場へ民主党を引き出せばそれでよかった。そこで猫なで声で、


伊吹幹事長 一般財源化「与野党協議を」  (産経ニュース 5/18)
自民党の伊吹文明幹事長は(5月)18日、NHKの「日曜討論」で道路特定財源の平成21年度からの一般財源化に関連し「民主党の意見も参考にしながら予算編成に臨むのが2大政党として果たすべき責任だ」と述べ、与野党協議を改めて呼びかけた。

心にもないことをぬけぬけと……というほかない。民主党もこんな言葉に乗せられて与野党協議なんてものにのこのこ出ていくから虚仮にされる。
伊吹の発言の4日も前に、福田は次のように言っていた。

一般財源化へ調整に着手 首相、与野党協議を指示  (西日本新聞  5/14)
福田首相は(5月)14日、自民党の谷垣禎一政調会長らと官邸で会談し、与野党間の協議も進めるよう指示。首相は同日夜、記者団に「まず与党で考え方を整理し、その上で与野党協議をする。両方大事だ」と述べた。

「まず与党で考え方を整理し、その上で与野党協議をする。両方大事だ」
その通りになっちゃったじゃないか。
秋まで自民は国民の目に触れないところで好きなように作業を進める。民主党も口出しできない。それからやおら与野党協議再開を持ちかける。「両方大事だ」というのは単なるお愛想。
もしかすると福田が書いた筋書きなのか。福田にそんな知恵があったとも思えないが……。
前日、例の”10年間道路特定財源を維持するという法案”を成立させたばかり。

道路整備特措法が成立、福田政権で3度目の衆院再可決  (NIKKEI NET 5/13)

それを受けて民主党は、
民主幹事長「道路の与野党協議難しい」  (NIKKEI NET 5/13)
民主党の鳩山由紀夫幹事長は(5月)13日午前、記者団に道路特定財源問題に関する与野党協議会について「政府・与党が閣議決定と法案の矛盾を残したままの状況で、冷静に政策協議に応じられる局面ではない」と述べ、当面は再開は困難だとの認識を示した。
それが簡単に伊吹の呼びかけに応じてしまう見通しの甘さ。

福田康夫首相の問責決議案の提出については「しかるべき時に視野に入れて行動したい」と語った。

出すぞだすぞと言いながら、それからでももう1ケ月過ぎてしまった。今頃問責決議など出してもだれも驚かない。




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