遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

散紅葉

2021-11-20 16:30:14 | 日記

令和3年11月20日(土)

紅葉散る :散紅葉

野山を彩った紅葉は晩秋から初冬にかけて散り始める。

冬が深まると樹上の紅葉がすっかり散り、地面を覆い隠す程

になるが、やがてそれも朽ちて土に還る。

秋の「紅葉かつ散る」は、紅葉しつつも散る状態を指す。

冬の「紅葉散る」「散る紅葉」は、盛りを過ぎた紅葉の葉が

冷たい風雨に曝されて散る情景が詠まれる。

風に舞う紅葉、渓流を流れていく紅葉、静かに庭に散り敷か

れた紅葉などは、日本古来から在るその美しさは一色に留ま

ない。

 

白鳥庭園の紅葉も見頃を迎えている。

ヤマモミジ、イロハモミジ等、役1500本が、中部地方の

地形をモチーフとした「池泉廻遊式庭園」の白鳥庭園を散策

すると、池の畔をはじめに、とりどりの紅葉が色づいている。

真っ赤に色づいた紅葉が池に写る水鏡、敷き詰められた石畳

や山道をゆっくり、音を踏みしめ散策する、、、、、

「日本に生まれて本当に良かった!」 を実感する、、、、

 

間も無く庭園内の雪吊も完成し、ライトアップが始まる。

ライトアップの間は、夜8時まで開園している。

(普段、ライトアップが無い時は、夕刻5時に閉館となる、)

ライトアップ予定日

11月20日、21日、23日、26日 ~ 28日

12月3日 ~5 日、10日 ~ 12日 迄

 

今日の1句

散紅葉落日のとき燃え尽きる   ヤギ爺


一茶忌

2021-11-19 16:34:27 | 日記

令和3年11月19日(金)

一茶忌

信濃の俳人、小林一茶の忌日。陰暦の11月19日(陽暦1月5日)

一茶は、文政10年(1827年)65歳で逝去した。

近年「一茶忌」は陽暦の11月19日に行われているが、本来は

初冬(11月19日)ではなく、寒中(陽暦1月5日)である事

を承知しておくべきであろう。

一茶は宝暦3年(1763年)6月15日に信濃の国柏原で中農の

父弥五兵衛と母くにの長男として生まれた。3歳の時に母と死別、

継母と折り合いが悪く、15歳の時江戸へ奉公に出る。

この時、葛飾「糀の俳諧」を学ぶ。後6年間、九州・四国の西国

行脚をし江戸に戻り、流浪する。

51歳の時、故郷の柏原帰り翌年28歳の菊と結婚。3男1女を

授かる。 妻は37歳で亡くなり、62歳で再婚するが夫婦仲は

悪く僅か半年で離婚。64歳で3度目の結婚したがその頃柏原で

大火に遇い家屋を消失。 

焼け残った土蔵で暮らし翌年65歳でその生涯を終えた。 

(波乱万丈の人生であった。)

冬木立むかしむかしの音すなり、一茶句碑(葛飾八幡宮)

 

 

今朝、11月19日の中日新聞のコラム「中日春秋」に小林一茶

忌の記事が在ったので紹介したい。

【木枯らしが吹き立冬も過ぎたのに、今日もまた穏やかな天気に

なった。そんな小春日和を思わせる日々が本州各地で続いている

ようだ。 この先待っているのは暖冬だろうか、厳冬か。

気になるころに巡って来る一茶忌日は今日。 旧暦の1827年

11月19日が小林一茶の命日である。

恵まれない境遇の中で、平明な言葉で多くの句を残した俳人は、

小春日和の日々も詠んでいる。

けふもけふもけふも小春の雉子哉、 雉子きぎす、雉の古称

人の名前を思わせる「小春」の可憐な響きも、厳しさの前の平穏

な日々を想像させようか。

この冬は穏やかなままかと思えばそうでもないらしい。報道に依

ると、南米ペルー沖の海面水温が低くなり、世界的な異常気象の

原因に指摘されるラニーニョ現象が発生したとみられる。

スペイン語で「幼子イエス」を表すエルニーニョとは反対の現象

で、「女の子」がラニーニョの意味である。ラニーニャの冬は

我国の気温も低くなる傾向があるという。

日本海側の雪や西日本を中心とした寒さも見込まれるらしい。

小春さんの後に訪れるのは冷たい「女の子」か。ラニーニャ現象

は昨冬も起きている。北陸などの大雪が記憶に新しい。

燃料の値上がりも気になるこの冬である。寒さも雪も極端では

ないのがよさそうだ。

十日程おいて一日小春哉   一茶

どんな顔をして真冬はやってくるだろうか 】

(中日新聞朝刊コラム:中日春明より引用した)


潮路句会

2021-11-18 16:39:03 | 日記

令和3年11月18日(木)

潮路句会(10月例会より)

里の日に翅輝かせ蜻蛉飛ぶ    玲 子

 

10月例会(10月9日)

出席者 : 7名、不在投句 : 1名、欠席者 : 1名

たれかれに虫籠の中見せたがる      玲 子

 

月光に包まれきって町眠る        勝

 

秋茄子をきゅきゅっと鳴かし洗ひをり   美保子

 

通草の実秘めたる腹の内みせず      魚 青

 

落鮎や色づき初めし山高し        輝 子

 

通草の実仰ぎて潜る茶屋庇        美智子

 

かさり落つ風のいだずら桐一葉      政 子

 

友垣の新蕎麦たぐる宴締め        ヤギ爺

 

 

※通草とは、アケビのこと

 アケビ科の蔓性落葉低木で、春に淡紫色の小花が咲き、

 秋になると凡そ6cmの楕円形の実が成る。

 熟すと果肉が裂け、黒い種子を一杯に含んだ白い果肉

 は、とても甘くなる。昔は山遊びをする子等の恰好の

 オヤツとして親しまれた。

 アケビを漢字で書くと「木通」「通草」と書く。その

 由来は、アケビの蔓は中が空洞で空気が通っている事

 から「木通」と書き、「通草」も蔓を草と見立て同様

 の表現となった。


柳家緑也落語会3

2021-11-17 16:15:07 | 日記

令和3年11月17日(水)

柳家緑也緑也、不動坊火焔

不動坊火焔とは講釈師の芸名で、今で言う落語家の柳家、古今亭や

講談の一龍齋の様な名前、、。

この演目の不動坊火焔では、火焔を背にした「不動明王」を祀った

「不動の滝」から、不動坊火焔とその女房の名が「お滝】と付けた。

不動明王、

 

また、この噺に出て来る「遊芸稼人」とは、遊芸(遊びごとに関した

芸能で、謡曲・茶の湯・生花・舞踊・琴・三味線・尺八・笛の他に、

講談・浪花節・落語・俗謡等)を生業として金を稼ぐ人を言う。

明治以降、芸人は鑑札料を払い鑑札を貰わないと営業が出来なくなっ

た様である。 其処から「遊芸稼人」が職業に、、、。

 

この「不動坊火焔」は元々上方落語の演目で、二代目林家菊丸との作

と言われる。

二代目桂米朝、三代目笑福亭仁鶴等が得意ネタとしていたが、後に

三代目柳家小さんが東京へ持ってきたと言われている。

この時、最後の落ネタの部分を東京風に「幽霊の真似して銭取ったり

するのか、」「へえ、幽霊(遊芸)稼人です。」と言い変えた様。

柳家小さんの持ちネタとなり、弟子の柳家小三治が得意とした。

 

不動坊火焔(あらすじ)

やもめ暮らしの利吉の所へ長屋の家主が訪ね来て「嫁を貰わないか」

という。 長屋に住んで居る、お滝さんの亭主の講釈師不動坊火焔

(遊芸稼人)が、地方巡業先でチフスに掛かり死んだ」との事。

「遺骨を取りに行っったりした費用がかさみ、不動坊の残した借金が

35円。お滝さんはこの借金を結納替わりに払って下さる人の所へ縁

づきたい」という。以前からまんざらでもなかった利吉は、二つ返事

で「喜んでお滝さんを嫁にとります」

利吉は、お滝さんが嫁に来てくれるというので、さっぱり小ぎれいに

するため銭湯へ行く。

洗い場で一人、お滝さんを思い浮かべながら長屋に住む他のやもめ

3人の悪口等をしゃべり始める、、、。

これを聞いていたのが3人のうちの一人、徳さん。「鰐皮の瓢箪の顔

のようだ」といわれ、、利吉に詰め寄る。利吉はその場を何とか取り

繕い、風呂から上がって行った。

修まらなのが徳さん。長屋に帰りやもめ仲間の3人を集め、利吉に仕

返しをしようと相談を始める。

「今晩、不動坊火焔の幽霊を出して二人を脅してやろう。」幽霊役に

は講釈師の軽田胴斎を引っ張り込む事にする。

幽霊を出す時の太鼓、幽霊火のアルコールの買い出し等の段取りを付

け出かける。

利吉の家に梯子をかけて上がり、天窓から幽霊役を降ろす。

太鼓はチンドン屋から借受け、、、。

遅れて来たアルコールは、餡コロと聞き間違えて火が付かない。

徳さんからぼろ糞に言われた裕さんが言い返し、屋根の上で内輪もめ

が始まる、、、、、。

途中で宙吊りになったままの幽霊(胴斎)は、ふんどしが腹に食い

込み喚きだす。仕方なく太鼓を打ち鳴らし幽霊を下の部屋に下す。

「恨めしい、、不動坊火焔や、ワシが死んで直ぐに余所へ嫁入り

とは、あんまり胴欲な。それが恨めしいて、浮かばれん。二人共

髪を下して坊主になれー」

二人で帰ってきた利吉は、「お滝さん、怖がることはおまへん、

私ら恨まれるような事してませんで、、あんたが死んだ後でちゃ

んと仲人立ててもろた嫁はんです。それにお前さんが残した借金

35円、一体、誰が払ったと思います、、、」

真、もっともな事で、幽霊の胴斎はたじたじで返す言葉もない。

利吉は、金で話をつけようと、一人前5円、4人で20円で手

を打つことにする。

金を受け取った幽霊の胴斎は金勘定をし、二人に幾久しゅう睦ま

じくなんて言っている。これを見ていた屋根の上の連中は急いで

幽霊を上げようと、ふんどしを手繰ったが結び目が天窓の角へ食

い込んで解けてしまう。上の3人は地面に、幽霊は利吉の家の中

に落っこちる。

利吉は、「なんじゃ、お前は、?」

幽霊の胴斎は「隣裏に住んで居ります軽田胴斎という講釈師で、」

利吉は、「講釈師、講釈師が幽霊の真似して銭取ったりするんか」

幽霊(胴斎)「へえ、、幽霊稼人(遊芸稼人)でおます、、、」

この噺、幽霊等の数々の所作がフンダンに必要不可欠で、、、、、

やはり、「マスクをした幽霊じゃ噺になんねー、、」

柳家緑也さん、身振り手振りの熱演、、、、

我々、観客はマスクを着用して、捧腹絶倒、、楽しいネ、、、

 

今日の1句

冬あたたか抱腹絶倒与太話   ヤギ爺


柳家緑也落語会 2

2021-11-16 16:24:19 | 日記

令和3年11月16日(火)

柳家緑也落語会:小言念仏

今回の落語会はすっかり様変わりである。

コロナ感染予防の緊急事態宣言が解除され、名古屋市の感染者数

は0(愛知県は5人)とほぼ沈静化したようだが、、、、、、

信興寺の落語会は例年定員50名だが、今回は午前、午後の2回

とし、それぞれ20名に限定される。

入口で検温・消毒の後、会場(本堂)へ上がると、正面の演者の

前には透明の衝立がある。噺家は話すだけではなく、その所作に

より落語の面白さを伝えるのが話芸で、顔の表情も必要とされ、

マスクを付けない。また、観客(我々)は発声禁止、笑いは制限

ナシ、当たり前のこと。

さぞかし柳家緑也さん、やり難かろうと思いきやそこはプロ、、

その所作を含め、思う存分笑わせてくれた。

やはり、顔の表情が判らなければ、、、、つまらない、、、

 

落語 : 小言念仏

小言とは、不平不満」をこと細かく取立てて叱る事。

念仏とは、仏を念じ、南無阿弥陀仏(ナムアミダブツ)と唱えると

自然と頭が下がり下を向く。法華経では南無妙法蓮華経(ナムミョ

ウホウレンゲキョウ)とうちわ太鼓を叩きながら賑やかに唱える。

小言念仏は、信心深く神棚或いは仏壇の前で念仏を唱えながら絶え

ず小言を言っている人の噺。

この噺に出て来る、南無阿弥陀仏(ナミアミダブツ)は、阿弥陀仏

に帰名するという意で、これを唱えるのを念仏といいそれにより、

極楽に往生できるという。南無阿弥陀仏とは、「私は計り知れな

い光明計り知れない寿命の阿弥陀仏に帰依致します」という意味。

この噺では「ナムアミダ」、「ナンマイダ」とも発音する。

今朝も家の者に小言を言いながら、念仏を唱えている。

ナムアミダブツ、ナムアミダ、、おい婆さん仏壇の天井に蜘蛛の巣が

張ってるヨ。ナムアミダ、ナムアミダ、お花を取替なきゃ枯れてるヨ。

ナムアミダ、ナムアミダ、、見ろよ線香の灰がこぼれてきたないヨ。

たまには灰をふるいにかけなきゃ、、、。

ナムアミダ、ナムアミダ、、子供起こして学校にやらないと遅刻だヨ。

ナムアミダ、ナムアミダ、ナムアミダ、、鉄瓶がたぎってるヨ、、、

ナムアミダ、ナムアミダ、、赤ん坊カラカッテちゃダメ,、、オイ、

赤ん坊が這って来ちゃったじゃないか、、そっちへ連れて来な、、

ナムアミダ、ナムアミダ、、飯が焦げくさいぞ、、「お隣です。」

ナムアミダ、ナムアミダ、、赤ん坊からかって、、何喰ってるんだ、

旨いか、半分おくれ、、(念仏唱えながら菓子を喰っている、、)

ナムアミダ、ナムアミダ、、(赤ん坊に向かって)、アカンベ、、

バー、、、ナムアミダ、ナムアミダ、、おい赤ん坊が変な顔して

何か考え込んでるヨ、ナムアミダ、ナムアミダ、、何かあるんだ

から気を付けろ、ナムアミダ、ナムアミダ、、何かあるから、アッ、

やっちゃった。言わないこっちゃない。鉄瓶の湯をこぼして雑巾で

拭きなヨ、、、ナムアミダ、ナムアミダ、、、「お付けの実を何

にしますか、」今頃そんな事やってるのか、寝る前に考えとけヨ

、ナムアミダ、ナムアミダ、表に泥鰌屋が通るから呼べ、、、、

泥鰌屋を入れるんじゃない、泥鰌をいれるんだ、、、、、

ナムアミダ、ナムアミダ、、早くしないと泥鰌屋が言っちゃうヨ、

ナムアミダ、ナムアミダ、、もっと大きな声で呼ばなきゃ行っちゃ

うゾ、、ナムアミダ、ナムアミダ、、表に向かって、オーイ泥鰌屋

こっちだ、こっちだ、、細かいのがいいんだ柳ッぱという所が良い

んだヨ、、100匁いくらか聞いて、、ナムアミダ、、、12銭、

高いヨ、、2銭負けときな、、、ナムアミダ、ナムアミダ、、、、

負けたか、、もう少し負けさしゃよかったか、、ナムアミダ、、

ナムアミダ、ナムアミダ、、洗ったらこっち持って来な、、鍋に入

れるんだヨ、、、ナムアミダ、ナムアミダ、、酒をいれて、、

泥鰌が苦しがってます、、ナムアミダ、、構う事はないそのまま火

にかけろ、、ナムアミダ、ナムアミダ、、ゴトゴトいってます、、

ナムアミダ、ナムアミダ、それは苦しがってるんだ、はは面白い、

ナムアミダ、ナムアミダ、ナムアミダ、ナムアミダ、、大分静かに

なったな、蓋を取って見ろヨ、「腹を出してみんな死んじゃった」

ハ、ハ、ハざまあみろ、、、、ナムアミダ、ナムアミダ、、、、

ひどい奴が有るもんで、、、、、小言念仏という噺でした、、、。

三遊亭金馬の小言念仏

次回は、「不動坊火焔」を紹介します。

 

今日の1句

ほのぼのと小噺一つ冬ぬくし   ヤギ爺