遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

空 蝉

2021-07-31 11:49:54 | 日記

令和3年7月31日(土)

空 蝉 : 蝉の殻

蝉の抜け殻のこと。蝉の卵は木の幹や枝に産み付けられるが、

其処で孵化した幼虫は地中に潜り、木の根の汁を吸って成長

する。その地中生活は数年から十数年間に及ぶ物も在る様だ。

充分に成長した幼虫は、夏になると地上に這い出して来て樹

の幹や枝に六股を確り固定して脱皮する。

羽化を果たした蝉が翅び立った後には、抜け殻が其のまま樹

にしがみついたものや、風等で地表に落ちた物よくを見かけ

るが、その姿は人々にとって何かしら哀れをさそう。

古来、空しい事、儚い事の喩えにも使われて、詩歌にも多詠

われて来た。

俳句に「空蝉」が多く登場するのは、明治以降である。

現生、人の世を意味する「うつせみ」は、人の世の命にかか

る枕詞に伴って、人間存在の虚しさ、人の命の儚さ、無常さ

を滲ませる。

 

先日、私の句仲間のMさんからのメールで、蝉の脱皮する瞬

間の写真が贈られて来た。とても綺麗な画像で、半透明の緑

色の翅と樹木に残る茶色の抜け殻が強烈であった。

今日(7月31日)で7月も終り、、、、

この処の蝉たちは、自分たちの命の尽きるのを察しているか

の様で、、、その鳴き声は沸騰点となって、まさに断末魔の

様相である。

10階のベランダに迄、舞い降りた蝉は仰向けとなり、最後

の声を振り絞り、やがて六肢の動きが止まる、、、、、、

熊蝉も油蝉も、皆同じように仰向けとなり天を眺め居る。

 

今日の1句

しがみ付く空蝉の爪あらあらし    ヤギ爺

連なりて空蝉となる淋しさよ    ヤギ爺