遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

かくらん

2021-07-15 16:50:39 | 日記

令和3年7月15日(木)

霍 乱 : かくらん

もがき苦しみ手を激しく振り回す意味の「揮霍撩乱」(きかく

りょうらん)の略語である。

江戸時代、漢方で用いられた病名であるが、食中毒や暑気中り

によって起きるとされる。吐いたり下したりする諸病の総称。

コレラやチフス、細菌性の食中毒も含まれていただろうが現在

では、飲食物が原因で激しい嘔吐や下痢を伴う急性胃腸カタル

のことをいう。吐き気、嘔吐等から日射病(熱中症)等も。

よく使われる言葉に「鬼の霍乱」がある。この言葉は、平常は

とても壮健な人が病気になる事の例えをいう。

 

俳人・夏井いつきさんの著書「絶滅寸前季語辞典」に「霍乱」

が記述されていた。私(ヤギ爺)初めて「霍乱」が夏の季語に

あることを知った。

絶滅寸前季語辞典:夏井いつき

 

「霍 乱」 (夏井いつき著:絶滅寸前季語辞典より引用した)

暑気中り、食中毒によって起る。吐いたり、下したりする症状

の総称。

「大歳時記」によると、江戸時代に漢方で用いられた病名、、、

国宝、病草紙・霍乱の女(京都国立博物館)

平安時代に描かれたもの。 六道(仏が善悪の業に依っておもむき住む

六つの迷界、地獄・餓鬼等の絵が「地獄草子」等にこの霍乱の絵が似る

事から、これを六道の苦しみ、人道の苦しみの一つとし霍乱を挙げた)

 

ほーほーナルホドと思いながら、ついでに「大辞典」も引いて

見る。暑気中りによって起る諸病の総称、現在では普通日射病

を指す。おいおい、私の信頼してきた「大歳時記」と「大辞典」

よ、 こんな所に違った見解なんて出さないでくれ、、、

困惑しながらも冷静に読み比べて見ると、どちらも「現在では」

の一言が問題のようである。

「日本国語大辞典」(全ニ十巻)は、教員時代最初のボーナス

をはたいて買ったもの。

かたや「カラー版新日本大歳時記」(全五巻)は昨年待望の改

訂版が出たということで、直ぐに注文した新品のお品。

どちらの記述も正しいとすれば、江戸時代には原因はともかく

吐いたり、下したりするもの全てが霍乱であったが、昭和55

年頃、つまり私(いつき)が「大辞典」を買った頃は霍乱は、

日射病であった。が、平成も五年を過ぎるあたりになると、急

性胃腸カタルが主流を占め、今に至るということか、、、、。

そんな正体すら確定出来ない季語をどう詠めばいいのか? と、

と困惑しつつ例句探せば、さすが大虚子、こんな手が在った

かと, 口あんぐりの一句、、、

 

字が違うが、俗にいう「撹乱」は、かき乱すという意味。

世の中を、、、。治安を、、、、。

トランプが世界を攪乱した。

 中国が世界を攪乱している等。

 

俳人の名句

霍乱にかからんと思ひつつ歩く   高濱 虚子