過剰請求事案の回想(修理費協定まで約4ヶ月間を要した事案)
1.本件事故状況と問題点など
契約車両は新車登録後8カ月、走行2千キロ弱と極新しいベンツ500SLの車両単独事故である。損傷は路面段差を高速で乗り越え車両がジャンプ着地した際に、車両下面の各部を擦過損傷したというものである。
立会した結果は、ホイールの変形(左前後2本)の他、車両下部のマフラー、アンダーカバー、前後左右のスポイラーカ . . . 本文を読む
交渉事案の思い出 その10・過失割合2
またまた、過失割合の折衝事例としてて紹介してみたい。これは、対物事故事案ですので、やはり対損保との戦いということにになる。
本件の思い出は、この事故は乗用車とバスが交差点で出合い頭に激突しているものだが、衝突後バスは30m近くも空走し、道路右手のフェンスを突き破り敷地内法面に乗り上げたものだ。なんで、衝突後に、こんな長い距離を空走するのだというのが最初 . . . 本文を読む
交渉事例 その10・車両火災求償の棄却
初稿:H15年5月20日
今回は、ある意味で保険会社同士の戦いともなる案件として紹介してみたい。
事案は、ある整備工場で車検整備が行われ、整備完了し納車後、約2ヶ月間で納車時点から累計走行30キロしか経てないクルマでエンジンルーム内から出火し全損となり、某損害保険会社で車両火災保険が支払われたことによる。当該損害保険会社において車両火災の支払いが行われ . . . 本文を読む
交渉事案の思い出 その9・過失割合
今回の事例では、修理費のことではなく、過失割合の争いについての事例を紹介してみたい。
具体的には、損保間の過失割合事案において、過失割合および時価額の争いから、その後相手損保で弁護士を入れる対応に移行したものだった。
しかし、私は都合20数年の損害調査員としての実務活動の中、今回の紹介案件のごとく相手方から弁護士を代理人に立てられると云う案件は何度かあり . . . 本文を読む
交渉事案の思い出 その7・フェラーリ3
またまた、フェラーリ360モデナの高額修理費の案件として紹介したい。
1.担当者と工場との交渉決裂
損傷状態は添付写真に示す通りで、担当者としては当初の見込み損害額100万円程度と想定していたのに対し、総額260万円余の工場見積が提示されるに至ったのだった。 添付ファイル(1)&(2)
その見積見積の項目には、問題点として指摘せざるを得ない多数 . . . 本文を読む
交渉事案の思い出その7・フェラーリ2
今回もフェラーリ360モデナの修理費協定案件です。若干長文となるが、興味を感じる方のみ見て欲しい。
損傷状態は、損傷写真を見てもらいたいが、結構酷い状態であるのが判ってもらえるだろう。ちなみに、このモデナ(現行のF430も同様)は、オールアルミボデー構造(米アルコア社製)らしいが、それに関わらずだが、この手のスポーツカーは衝突事故に対しては華奢なボデー構 . . . 本文を読む
交渉事案の思い出 その6・フェラーリ
初稿2003年8月4日
フェラーリ・360モデナの修理費協定に関わる事例として紹介したい。この様な少量生産の高級スポーツカーの事故例としては、多頻度に生ずるものではないだろう。しかし、生じた場合は、通常の常識を遙かに超えるとの思いを持つ高額修理費の主張を受けることもあり、戸惑いも多かろうと思うが参考になれば幸いだ。
今回の場合も、損傷写真と当初工場見積を . . . 本文を読む
交渉事案の思い出(その5)・ベンツ3
何時もの通り工場経営者と打ち合わせを開始するが、当方が一言発すれば、それに対する反論が10言以上返されるという様な強い自己主張の工場経営者なのだ。双方のボルテージは上昇し、とうとう工場経営者は「もうあんたとは話さない。契約者と修理費協定してくれ! 」との発言を最後に電話を一方的に切られたのだった。本項では、このような交渉の始まりから完了までを紹介してみたい。 . . . 本文を読む
交渉事案の思い出(その3)・ベンツ修理費2
初稿2002/11/3
修理費の攻防を巡る交渉事例として、またまた紹介するものだ。今回もベンツだが、Eクラス(210型だが当時は現行販売車)となる。
先回もお伝えしたところだが、正しい交渉とは、損傷車や修理環境等をよく見て、修理者の意見を良く聞き、その上で自らの意見を表明することであると思っている。
なお、今回の事案は、自損保の損害調査ではなく . . . 本文を読む
賠償交渉の思い出(その3)【ベンツ修理費】
初稿2008/11/25
【はじめに】
損害調査担当者(アジャスター)が仕事を進める上で、種々の困難たる壁に突き当たるのは日常的に生じる問題だろう。そんな時に頼りになるのは上位職位者となるだが、なかなかその様な頼れる方が少ないと感じられのが現実かもしれない。
では、この様な困った時の拠り所となるところとは、どんなことなのだろうか。その様なテーマで . . . 本文を読む
賠償交渉の思い出(その2)
初稿2008/11/21
アジャスターが行う賠償交渉の技術論として、その経験年数が約24年と比較的長いものの、まだまだ未熟と認識する先輩たる私から後輩へ向けた交渉技術の伝承という命題の第2回目として記したい。
さて、今回紹介する対物賠償の物品はクルマではなく、特殊な精密機械となるものだ。その特殊性を、もう少し具体的に記してみると、ある会社が顧客となるユーザーの要請 . . . 本文を読む
交渉の思い出(その1)
【はじめに】
ここでは、十余年前以前、ある損保に所属し、様々な困難解決をある程度果たしたとして記憶に残る案件を過去に「アジャスター時代の交渉事例」の表題で記していたのだが、改めて内容を加筆、追加、等修正して、新たな表題を「交渉の思い出」として再掲していきたい。
しかし、昨今繰り返し思うことだが、企業経営者は業務を極力マニュアル化とか平準化しつつ、あまりに労働者に思考 . . . 本文を読む
アジャスターと示談の正当性に関すること
2021年現在、各保険会社に所属するアジャスター(物損事故調査員)が損害調査会社という保険会社本体と別会社に所属するのは、「東京海上日動」と「あいおい」の2社だけで、その他はすべて別会社を廃止し保険会社本体の所属員となっている。(アジャスターの直接雇用)
しかし、たからといってアジャスターの給与体系が本体(総合職だとか全国型と云われる者)と同様になった . . . 本文を読む
【再掲】疑似議案との闘い(その12)
初稿2008-10-08
今回は、車両盗難事故にまつわるモラルリスク事案として取り上げてみたい。
まず、盗難事故絡みの案件は、そもそもアジャスターとしては余り関わりを持つ経験がないという方も多いのかもしれない。これも会社により部署により、差異も大きいものと想像される。私自身も、それ程関わった件数が多いともいえぬが関わった経験も含め、多少なりとも感じること . . . 本文を読む
【再掲】疑義事案との闘い(その11)
初稿2008-10-03
今回は、いわゆる「当たり屋」の話題を取り上げてみたい。
当たり屋情報と云うと、どこからとも流れてくる「なにわナンバーや姫路ナンバーの当たり屋グループがこの地域に乗り込んで来ているので注意されたい」等と云う記事と、一連の登録番号リストが記された怪文書が流れて来ることがあるが、こんなものはまったく根拠のない流言飛語の一種だろう。
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