「誰も寝てはならぬ~ プッチーニ」
「トゥーランドット」より
アルバム「One Chance」より(2007年)
Paul Potts/ポール・ポッツ
何より下記のYoutubeの映像をご覧下さい。
(↓右クリックで「リンクを新しいウィンドウで開く」で開いてください)
イギリスのタレント・オーディション番組「Britain's Got Talent」から誕生した新しい「タレント(才能)」です。普段は携帯電話の販売員をしているいじめられっ子だった正直見た目冴えない(失礼!)男が、この番組でプッチーニのアリアを唄い、観客やもちろん審査員の度肝を抜くシーンです。
彼はこれを契機にレコード契約を成立させ、このアルバムデビューとなりました。確か英国のチャートで一位?を獲得している今話題のアルバムでありアーティストです。アルバムタイトル「One Chance」にはそんな意味合いで付けられたものだと思います。それにしても彼の歌は本当に素晴らしいと思います。この時の観客の涙からもわかりますが、人を圧倒する何かを感じます。それはきっと、生粋のクラシックの人が厳しい鍛錬の過程でなぜか失なってしまう「歌・唄の本質」みたいなものが、未だここ(彼)に残っているからだと私は思いました・・
※このストーリーは、一説には彼は全くの素人ではなくやらせという話もありますが、ここではそれはおいておきます(^^;
ところで日本ではこんなオーディション番組はもう成立しないでしょうね。それは、今の日本の音楽のシステムでは「審査員」サイドにきちんとタレント・才能を見極める人材がいないと思われるからです。こんな番組が始まるとしても、例えば、つんくさんとか秋元康さんのような、”本質的なタレント(才能)”というより、”メディア受けして金儲けになるか人材かどうか”という視点を優先する人達が登場する番組しか出てこないことは明白だから・・・。悲しい事だけど、これが今の日本のメジャーな音楽業界・TV業界の現状でしょう・・・
また音楽業界のオーディションもいろいろ行われているようで、申し込み資格には年齢性別不問となってはいますが、未だかつて、例えばこのような人材がデビューしたという話は聞いたことがありません。それは、おそらく応募サイドの問題ではなく 、審査サイドが”売れる・金儲けになるかどうか”のビジネスだけの視点しか持ち合わせていないからでしょう・・・。だから今のようにどんどん新人が若年齢化し、使い捨てされていくのだと思います。もちろんこんな状況はユーザー側(マーケットの未熟さ)にも責任はあります。悲しい悪循環でもあると言えます。
それはともかく、このPual Pottsさんもこれからが大変でしょうね・・・。いやもちろんこのアルバムは成功でしょうが、一度「プロ」になってしまえば彼のデビューに至る意外性はもう「売り」にはならず、プロの土俵で評価される事になるのですから・・・。つまり素人さでブレイクしても、今度はその素人さがマイナスにみえてくることが多くなってしまうでしょう・・・。所作の素人さが目に付いたりして・・・。でも私には、そんなハードルも何とか乗り越えて、末永く頑張って欲しいと思わせるタレント・才能の方です。
ワン・チャンス BMG JAPAN このアイテムの詳細を見る |
パッシオーネ~アメイジング・グレイス デラックス・エディション(DVD付) SMJ このアイテムの詳細を見る |