ウォーキングコースの途中にあるお寺の境内で「ハナイカダ(花筏)」を見つけた。
日も当たらず、鬱蒼とした木々の中、よほど注意して見なければ気が付かないような場所だった。
「ハナイカダ」はちょっと異色な花で、葉の上に花が咲く。
葉を筏に、花をその筏を漕ぐ人に見立ててその名が付いたとか。
そして雌雄異株の木、雄株は葉の上に多くの花や実を付け、雌株では1個の花しか付かない。
見つけたのは雄株だった。
葉の中央に花が咲くのは、どうしてだろうと調べてみた。
この花の花粉を運ぶのはアリ、花が葉の上にあるためアリが歩いて近寄りやすくなっているということが分かった。
花粉を運んでもらうために、もともと葉の付け根から伸びた花柄が葉にくっついたものらしい。
いずれにしても珍しい花だと思う。
学名:Helwingia japonica
英名:Japan helwingia
別名: ヨメノナミダ(嫁の涙)
科名・属名:ミズキ科 ハナイカダ属
原産地:日本
別名「ヨメノナミダ」には地方によって様々な説がある。
その中の一つには、花が終わると黒い実が生り、嫁ぎ先の家でいじめられた嫁が隠れて流した涙が葉の上に落ちたものと思われたから、というものもある。
------ もう一つの花筏(ハナイカダ) ------
日本語にはもう一つ「花筏」と言われているものがある。
それは、水面に散った桜の花びらが流れていく時の様子のこと。
言葉を聞いただけでもその情景を思い浮かべることができる、まさに日本語らしいとてもきれいな響きだと思う。
[花筏]