下風呂温泉は室町時代から湯治場として栄え、硫黄の匂いが漂う小さな温泉街。
外湯には「大湯」と「新湯」があり、大湯は白濁した湯、新湯は透明に近く、どちらも少し熱めのお湯になっていて地元の人の憩いの場になっている。
そのほかにも海岸から湧いている浜湯というものがあるらしい。
そんな下風呂温泉の宿の一つに「まるほん旅館」がある。
民宿風だが歴史ある宿らしく、少し古い建物だったが、中はきれいに掃除されていた。
階段を降りたところにある温泉は小ぶりの湯船で源泉掛け流し、酸性の硫黄泉になっていた。
底からかき混ぜてみると白い湯の花が舞い上がってきて、湯船が真っ白になった。
これぞ温泉といった感じかな。
白濁していたので「大湯」の方と同じ温泉だと思う。
食事は部屋食で、やはり大間のマグロは欠かせなく、イカが不漁と聞いていたのにイカ刺しも付いていた。
他の物も手作り感がいっぱいの食事だった。
何よりも宿の皆さんがフレンドリーに対応してくれ、帰りは奥さんが買い物ついでに「むつバスターミナル」まで送ってくれたりもした。
その時に、冬には「アンコウ」を食べに来てください、と言っていた。
常連さんが多い宿だと思う。
宿の近くにある「鉄道アーチ橋メモリアルロード」
工事が中断された幻の大間鉄道橋が遊歩道として復活し、遊歩道の中央には足湯がある。
ここから遠く津軽海峡や北海道恵山岬を望むことができる。
井上靖の「海峡」の中に「本州の北の果ての海っぱた」というフレーズがあるが、まさにその通り、下風呂温泉は最果ての温泉といった感じだった。
たまたま日曜日だったので朝市があり、「活イカ備蓄センター前」で近所の奥さんたちが海藻や野菜などを売っていた。
海藻の松藻は珍しく、なかなか手に入らないと言われたので早速買ってきた。