サポーターを裏切った松田・・・大分戦観戦記?

2006-11-28 | 横浜F・マリノス

2006年、Jリーグ。
私達のホームでの闘いは、敗戦とともに、それとは別の大きな悲しみ
抱えながら終焉をむかえた。
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天皇杯で次戦の対戦相手となる大分との前哨戦。
巷では優勝争いに注目が集まる中、全くスポットの当たらない試合。
しかし我々にとっては大きな意味があったものだった。
前節、苦しみながらロスタイムでもぎ取った勝利、
選手達がひとつになり、選手達とともに喜びを共有した時間は今季、
今までで最高の一瞬だった。

ここへきて、やっとひとつになれた

そう思えた。
が、たった1試合でそれが崩れ去ろうとは思いもしなかったよ。
なぁマツ、闘う事を途中で投げ出したら、そこで試合は終了なんだよ。

試合は序盤からやはり大分ペースだった。
序盤から横浜は細かなコントロールミスを連発し、
大分にチャンスを与えていたという方が正しいだろうか。
監督は後のコメントで「コンディション不良の選手を起用してしまったと」
述べ、その選手に関しては前線の選手を指摘してはいるが、
G裏から見ていた印象は異なる。
個人的な目からは河合と虎の穴はあまりに大きく感じた。

大分は(大分の)右サイドを中心に攻撃をしかけてきた。
エースケのコンディション不良は明らかだった。試合勘の問題だろうか。
何度も破られ、ボールが通らない左サイドをCBが必死でカバーする。
大分の決定力不足にも助けられ、ゴールを許さない。
最終ラインの連携も比較的スムーズでラインコントロールもいい。
徐々に守備は落ちつきを取り戻していた。

しかしそこから前が繋がらない。
頼みは右サイドからの攻撃だったが、クロスの精度がね・・・(苦笑)
ポストが効き、前節までよりは復調の兆しが見えた大島だが
あいかわらずゴールは遠い
攻撃は、中盤も含めやはり前へ向くという意識に欠けている。
清水戦で坂田の見せた前へ行く姿勢、強引さがほとんど見られない。
決定力、決定力といっても、打たなければ始まらない。
綺麗に崩すよりもまずは前をむいてプレーする事、
とにかく自分がゴールしてやるんだという意識を持つこと、
まずはそこからはじめないと・・・。
攻撃陣で言えば、狩野の意識が徐々に変わり始めているんじゃないかと
思える積極的なプレーが何度か見えた事だけが希望と言えるだろうか。
途中投入された裕介も左SBながら積極的な姿勢には
見るべきものが多くあった。
若手の頑張りは今の横浜にとって大きなプラスになる。

失点はどんな形で決められたのかわからない。
公式の文字で事態は何となく理解できたが。
それでも逆転してくれると、あの時は信じていたんだけどなぁ。
正直、選手交代の意図も全く見えなかった。
交代の必要があると思われた部分は修正される事はなく。
明確に、リスクをかけて2点を奪い取りに行くという意思表示もなく。
監督のチャレンジにもし結果が伴わなくとも、
それが将来へのチャレンジであるなら受け入れたい。
だけど、この試合には何か「情」的なものを感じざるを得なかった。
ある選手達への監督の情。
それはもちろん個人的な推測に過ぎないのだけど。

後半も40分を過ぎた頃
いつものように前線に上がったマツがハイボールに、
明らかに遅れた形で大分GKに接触。
GKは抗議したが、その時審判は何も反応していなかったように思う。
が、その直後何が気に食わないのかマツが何やら手を叩き一人でエキサイト。
この日2枚目のイエローで退場処分を受けると、
腕からキャプテンマークをピッチに投げ捨て去っていった。
目の前の光景に何が起こったさえも理解できず、呆然とする。
ただピッチに残る10人の選手達は、最後まで勝利を信じて闘おうと
していた・・・その10人を懸命に応援することだけで精一杯だった。

ロスタイム、最後のCKでは哲也もゴール前へ。
こぼれ玉を哲がコントロールするとシュートの体勢へ。
しかし無常にも打つ前に、試合終了のホイッスル。
当然だ。審判も人間。しかもあの奥谷。
あんなことがあった直後、うちには得点をさせたくなかっただろう。
そういった意味では、相手はしっかり奥谷仕様のサッカーで勝利し、
うちはいつまでたっても審判のせいにして馬鹿をみる。
審判の癖を見抜く事も、大きな戦術の一つなんだけどね。

ホーム最終戦の挨拶。
残念ながら、最後の挨拶でもマツがマイクを手にする事はなく、
故障中の佑ニがマイクを握る。
佑ニ自身も戸惑いを隠せないようだった。
しかし天皇杯で国立へ行くと言葉にしてくれた、
それだけで冷え切った心は少し温められたような気がする。

終了後、改めて”こと”を振りかえる。
何が起こったのかわからない。
ただピッチに投げ捨てられたキャプテンマークの映像は
はっきりと頭の中に残っている。

キャプテンという存在はチームの中心であり、支えになっている。
そしてそれはチーム全体から認められたものにしかできない。
マツは間違いなく、横浜にとってそういう存在である。
でも、マツは自らそれを投げ捨てた。
信頼も、期待も、希望も。

マツは誰よりも勝ちたいという気持ちが強かったのかもしれない。
それは見ていたって十分過ぎるほどわかる。
前半から守備だって本当に良く頑張っていた。
故障しているなんて全く感じられないくらい、
必死でカバーし合い、見事にチームプレーを見せてくれたんだから。
さすがマツだなって何度も思ったよ。
でもそれだって一瞬で、一つの暴走で壊れてしまうんだよ。
あんなもの闘志でもなんでもない。

マツの暴走を止めなかった周囲にも責任はあるという人も多くいるだろう。
しかし、それ以前に、マツが暴走しても黙って見ているような(何も言えない)
チーム関係を周囲が、マツ自身が築け上げてしまったんじゃないか、と。
今チームの中に、マツと真っ向からぶつかれる選手はいるか。
お前一人で試合をしているんじゃないと言える監督はいるのか。
マツ自身、何か勘違いしてるんじゃないのか。

が、やはり愚行を繰り返す大きな原因は、自分自身にある。
若い頃は若気の至りと許してくれるかもしれない。
はじめての行為なら、目をつぶってくれるかもしれない。
でも違うんだよ。

マツが手を合わせて謝りながら、俯きファンの前を回る。
沸き起こった松田コールだが、正直あの時は呆然としていた。
やはりマツの暴走が治らない原因の一端は、我々が担っているのかな・・・。
帰り道、「直樹が逃げたから勝てなかった」と顔を真っ赤にして
泣きそうな子供が横を歩いていた。
彼が着ていたのは3番のユニホーム。
その時どんな想いであの子は、あのユニホームを着ていたか。
いつもどんな想いで、あのユニホームに袖を通すのか。
みんな、本当にマツを頼りにしてるし、応援してるんだよ。

どんなコールよりも、あの子の姿が一番マツにはになるかもしれない。
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