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花守

四季の花はそれぞれやさしく咲きこころなごみます
折々に咲く花を守りこころかすめる思い出など綴ってみたいです

旅の終わりに

2018年02月11日 11時39分24秒 | 母を想う
母は旅を愛していたなと折に触れ思い出します
旅行から帰ると出発から順序を追って鮮明にしかも何度でも
繰り返して旅の記憶を話してくれていました

いつかは長寿で有名だった泉種千代さんのお住まいを訪れて
お酒を酌んでいただいたそうです
そして帰りに“旅の傘”をもって帰ってきました
そして私に云うのです その傘に「何か書いて欲しい」と
その時には平素から室生犀星の詩を好んでいた母のために
詩の一節
  「ふるさとはと遠きにありておもふもの」と書きましたら
母は殊の外の喜びようでした

その次に旅行から“旅の傘”を持って帰ったときに
母のために書いた言葉は
  「人間盛りは105歳」 でした
それは当時清水寺の貫主で長寿の記録保持者だった大西良慶の言葉です
母の長寿を願って私はこころを込めて書いたのです
でも母は78歳でこの世の旅を終えてしまいました
母を亡くして30年になりますがいまでもその旅の傘を私は玄関に飾っています
母から与えられた多くの恩愛にいつも感謝の気持ちでいることができますから




寒さの中でことしも侘助よく咲いています

よかったですか

2017年07月07日 09時50分26秒 | 母を想う
母は亡くなる1週間位前に自分の部屋の置物を少し替えたり模様替えを
していました
後で気ついたのですが
母の友人が親切に母の肖像画を描いて下さっていたのですが
その絵がベッドの傍近くに置かれていました
そしてよく海外出張していた私の兄がロシア出張の際のお土産として母に贈った
マトリョーシカ人形も見えやすい場所に出されていました
またこれまでも時折に母の部屋で見かけていたものですが
仲睦まじい感じの老夫婦の人形が出ていました

私 想うのです
父の戦死後私たち兄弟を慈しんでくれましたが
母は自分の老後を共にこころ分かり合える夫婦で過ごすことが夢だったのでしょうか
父につぐ心を分かち合える人には遭遇できなかったのかしら
もしもそんな人に母が逢えていたのならきっと私達兄弟は快く賛同できたのですよ

仲睦まじい老夫婦の人形は若しかしたら
お母さん
“あなたの夢”だったのではと思って
あの時のまま
大切にずっと同じ場所に置いてありますよ

でも老夫婦の人形のようにではなくて
あなたの傍にいつもそしていつまでも私がいても
お母さん これでもよかったですか





仲睦まじい様子の老夫婦人形





留守中のこと

2017年06月03日 10時17分26秒 | 母を想う


昨年は鹿の子草の大きい株が枯れてしまったので
今年は小さくて頼りない花を咲かせています

この花が咲く頃になるとよく思い出すのです
以前よく3日間の定期の出張と重なる頃で出張から帰宅する頃には咲いているかしら
と思って鹿の子草を眺めていたものです
そしてある年のことです
3日間もは体力が衰えた母と主人では困るからと思って遠方に住んでいる
兄嫁に留守中のことを早くからお願いして兄も勤務が終えたら新幹線で
母の元に来る手筈を組んでいました
出張の前夜になって母に話しました
私が家を留守にするけど兄と兄嫁が来ますから何も心配は要らないからと
すると母は
「知らないのは私だけだったね」と
少し寂しそうでしたが直ぐに兄と兄嫁の来訪を喜んで
気持ちの切り替えをしたようでした
それはそれで母は幸せだったかもと

母が亡くなって30年も経った今頃になって少し寂しくそして懐かしく思うのです



やさしく言っては駄目

2017年05月19日 11時00分01秒 | 母を想う
母はもう30年前に亡くなりましたが亡くなる少し前から入浴をだんだん
渋るようになっていました
そして私が入浴を促すと
「そんなやさしく言っては駄目」
入らなくてもいいのかという気分になるから「お風呂に入んなさい」と
厳しく言って欲しいと要望するのです
そんなことを繰り返しても矢張りサッとは入浴できないのです
私が「最後に入浴する人は拭いて出るんですよ」と言うと
母は言ったのです
「拭くくらい拭いて出ます」
私は「自分の身体を拭くことではなくて風炉の壁を拭くんですよ」と言うと
母は「そんな事はしません」

でも私は時にそっと母の後から入って背中を流してあげると母はまるで別人の
ように元気になって時間も長く遊び心地になっていました
今頃はそんなこと懐かしく思い出しながらそしてもっと親孝行出来ることが他にも
いろいろあったであろうにと悔やまれるのです
爽やかな五月の風は昔を優しく包んでくれるようです



白山吹の花最後の一輪でしょうか
もう実がたくさんついていますのに



ぞうきんがけ

2017年04月14日 14時27分38秒 | 母を想う
朝刊の詩の欄に掲載されていました
96歳の男性の方が朝おきると雑巾がけをされるそうです

お勝手や廊下そして階段も
汚れたらすすぎなおして
幼い時に教えてもらったように
やっていますよ
おっかさん
(このような意味でかかれていました)

女性の私なのに雑巾がけは特別のとき
普段はワイパーで何度でも
でもね 幼い時に母から教えられたこと
山ほどもありますよ
教えを守っていることも沢山に
だから思い出しては幸せを感じられるのですね
ありがとう お母さん
もう少しで母の日ですね



白山吹の花がたくさん咲きましたよ
お母さんの好きな花でしたね