太平洋戦争時のたばこ「金鵄」です。明治39年(1906年)に発売になり現在も売られている、息の長い「ゴールデンバット」のことです。戦時中は、敵国アメリカの言葉を使う事はまかりならん、ということで、改称されたようです。
ゴールデンバットの蝙蝠は、中国では幸運の象徴で、最初中国向けの輸出用ブランドとして発売されました。戦時中変えられた金鵄という名称は、古事記の逸話から採用されました。
神武天皇の東征の際に、紀伊半島で、長髄彦と苦しい戦いを強いられました。その時一羽の金色の鵄(とび)が天皇の弓の上にとまり輝かしい光を発し、長髄彦の軍勢は眼がくらんでしまい、天皇が勝利しました。つまり勝利の象徴で、縁起がいい名前です。
芥川龍之介、太宰治、中原中也なども愛煙し、長年「バット」の愛称で親しまれています。