浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第20回記念“吹奏楽の響き”(第44回川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団定期演奏会)埼玉県中学校選

2012-06-25 19:33:42 | 吹奏楽

2012年6月17日(日)に開催された川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団の演奏会の表題は非常に長いものでした。
「東日本大震災 復興応援チャリティー 第20回記念“吹奏楽の響き”(第44回定期演奏会) 埼玉県中学校選抜吹奏楽団 創団記念」
どうです、長いでしょう!
しかし、長い分だけ、満足させてくれる素晴らしい演奏会でした。
蛇足ながら申し上げますと本当は他の高校吹奏楽部の演奏会に伺う事を予定していたのですが、前回の演奏会が素晴らしかったので、急遽、予定を変更したのです。

Dsc_0202

演奏会は3部構成になっていました。
Ⅰ部は、常任指揮者の福本信太郎氏の指揮で。
Ⅱ部は、埼玉県中学校選抜吹奏楽団の演奏です。
Ⅲ部は、客演指揮者の時任康文氏の指揮で。

まず、Ⅰ部から。プログラムは以下のとおりです。
[Ⅰ部]
1.マーキュリー(J.ヴァンデルロースト)
2.パッサカリアとトッカータ[第15回“響宴”平成24年度JBA下谷奨励賞受賞作品](福島弘和)
3.香り立つ刹那[2012年度全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅴ](長生 淳)
4.ロスト・ベガス(M.ドアティ)
    (以上 指揮 福本 信太郎)
初っ端の曲、「マーキュリー」。
軽やかでいい演奏です。
J.ヴァンデルローストの行進曲と言えば「アルセナール」が有名ですが、この曲も素敵な曲ですね。
それにしても、アンサンブルリベルテは、どんな曲でも、そつなくこなす。
脱帽です。
2曲目は福島先生の曲です。
初めて聴かせて頂きましたが、ここ最近の春日部共栄高校の委嘱作品とは少し、趣が違う曲のように思いました。
もっと、激しくて現代曲っぽい。
アンサンブルリベルテにあっていると思いました。
演奏はブラボーです。
序盤のパッサカリアの部分では、音の安定感、特に金管を中心とした低音部には背中がゾクゾクしました。
また、トッカータの早いパッセージの演奏の見事な事!
この日の全ての曲の演奏の中で(私の個人的意見では)、最高の演奏でした。
次は課題曲Ⅴです。
演奏する前から、まるでアンサンブルリベルテの委嘱作品のような雰囲気のする曲だと思っていましたが(それだけ、この曲にフィット感がある楽団だと言う意味です)、思った以上に私を満足させてくれました。
今年、様々な演奏会で何回も課題曲Ⅴの演奏を聴きましたが(この前日も大宮ソニックシティで埼玉栄を聴きました)、間違いなくイチバンの演奏でした。
(ハプニングとして課題曲Ⅴの作曲者、長生淳先生が会場にお見えになっている事が指揮の福本先生から案内があり、紹介して頂くと会場が非常に盛り上がりました。)
Ⅰ部最後の曲は、吹奏楽の世界では「ストコフスキーの鐘」の作曲者として有名なドアティの作品「ロスト・ベガス」。
初めて聴きましたが、楽器の使い方も面白いし、ジャズテイストも入った楽しい曲でした。
このように会場を盛り上げるのに打ってつけの曲をアンサンブルリベルテは大人の演奏で観客を魅了していました…。

Dsc_0210

吹奏楽王国埼玉県でも近年、吹奏楽指導者の世代交代が進んでいるとのことで、新しい指導者育成のために考えられたのが、「埼玉県中学校選抜吹奏楽団」の構想なのだそうです。
今回は準備期間がなかったため、越谷市立北中学校、志木市立志木中学校、川口市立芝東中学校の3校の3年生で1期生としてのスタートです。
ゆくゆくは、団員を全県オーディションにて選抜し、技術力のアップ、情報交換等をしながら、指導者を育てていくのだそうです。
そんな「埼玉県中学校選抜吹奏楽団」1期生の皆さんが演奏したのがⅡ部のプログラムです。
[Ⅱ部]
1.アルセナール(J.ヴァンデルロースト) [指揮:鈴木直樹(志木市立志木中顧問)]
2.デリー地方のアイルランド民謡(ロンドンデリーの歌)(P.グレインジャー) [指揮:外﨑三吉(川口市立芝東中顧問)]
3.春の猟犬(A.リード) [指揮:田中秀和(越谷市立北中顧問)]

ヴァンデルローストの有名な行進曲「アルセナール」が始まりました。
ん?え?なんでこんなにうまいの?
2週間前に同じリリアで聴いた中学生の演奏は元気よくて、心を打つものがありましたが、はっきり言って未熟でした。
しかし、この演奏は格段に完成度が違う。
現在の中学校吹奏楽界には疎い私ですが、Ⅱ部の司会をされていた芝東中の外﨑先生によると越谷北中は全国大会3年連続出場で今年は3出。
志木中と芝東中は去年、西関東大会で金賞を受賞されたとのこと。
そりゃあ、ウマいはずだと納得した次第。
ただ、2曲目の「デリー地方の―」はスローなテンポの曲のせいかアンサンブルが少し崩れ、ピッチも気になりました。
3曲目の「春の猟犬」は中学生らしく溌剌とした元気な演奏でした。
少し、合同練習の時間が足りなかったのかなと思わせる部分もありましたが、さすが埼玉県の選抜の皆さんです。
他県には無いレベルの高さを感じさせてくれる、ひと時でした。

Dsc_0208

Ⅲ部はアンサンブルリベルテの演奏にもどり、客演指揮の時任先生のタクトに代わります。
[Ⅲ部]
1.ウィークエンド・イン・ニューヨーク(P.スパーク)
2.イギリス民謡組曲(R.V.ウィリアムズ)
  Ⅰ.行進曲「日曜日には17歳」
  Ⅱ.間奏曲「私の素敵な人」
  Ⅲ.行進曲「サマーセットの民謡」
3.カルメン組曲(G.ビゼー/高橋徹)
    Ⅰ.闘牛士
  Ⅱ.前奏曲
  Ⅲ.アラゴネーズ
  Ⅳ.衛兵の交代
  Ⅴ.間奏曲
  Ⅵ.アルカラの竜騎兵
  Ⅶ.闘牛士の歌
  Ⅷ.ハバネラ
  Ⅸ.ロマの踊り(ジプシーの踊り)

1曲目の「ウィークエンド・イン・ニューヨーク」は指揮の時任先生もおっしゃっておられましたが、イギリス人フィリップ・スパークの感じるニューヨークです。
だから、ジャズテイスト満載なのだけれど、ジャズ特有の陰気なところの少ない(ある意味、生真面目な)素敵な曲です。
リズムにのった素晴らしい大人の演奏でした。
でも、もっと泥臭いのが私の好みでしたケド。
「イギリス民謡組曲」懐かしいですね。
私は演奏したことはないけれど、昔はケッコウ、流行った曲だと思います。(似た感じのするホルストの組曲は有名ですが、私はこちらの曲の方が好きです。)
実にセンスのいい上品な演奏でした。
各個人の技術力の高さを感じました。
最後は、「カルメン組曲」。
妖艶な曲を見事に表現していました。
実に色っぽいですね。
弦の響きにも負けない音楽を堪能させて頂きました。

Dsc_0206

アンコールは福本先生のサックスソロで「Saving all my love for you」(だと思う。違ってたら、ごめんなさい。)。
ほんとに最後は中学生の皆さんも交えて「翼をください」の合唱でした。

それにしてもほんの8日前にこのリリアホールで聴いた東海大高輪台と伊奈学園総合のジョイントコンサートで感じた音の不快感(音がウルサイと感じた気持ち)は今回、全くなかった。(前回より前の席で聴いたのに。)
やっぱり、技量の差なのでしょうか?

Dsc_0203

今年も普門館で高校の部の全国大会を聴くつもりでしたが、名古屋に会場が移ったので行けそうにありません。
そのかわり、一般・職場の部が宇都宮であるようですので、チケットが取れれば、伺おうかと思っています。
とにかく、また、演奏会があるときは必ず、お邪魔させて頂きますので。
すごく、期待しています。