6月9日、関東地方は梅雨入りの日でした。
川口駅前も雨が降り続いています。
でも、そんな陰鬱な空気を払拭するパワーあふれるコンサートが川口リリアのメインホールでありました。
埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部と東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部のジョイントコンサートです。
17:30に開演して終了したのが21:00少し前。
休憩はあったものの3時間を超える熱演に圧倒されっぱなしでした。(というか少々、疲れました。)
伊奈学園と高輪台は皆さん、ご存知のとおり、日本の吹奏楽界の中では超有名校です。
いかなる接点があってジョイントコンサートが開催されたのか?
その答えはプログラムの伊奈学園、宇畑先生のコメントの中にありました。
なんでも、10数年前の三重県、合歓の郷で行われた吹奏楽の講習会で同部屋になったのが知り合ったキッカケだそうです。
それ以来、伊奈学園顧問、宇畑知樹先生、高輪台顧問、畠田貴生先生を通じて両校の交流が始まりました。
高輪台は去年、一昨年と定期演奏会に伺いましたが、伊奈学園に関しては昨年の全国大会の演奏を普門館で聴いただけです。
じっくりと聴かせて頂くのは初めてなので楽しみでした。
開場になり席に着きました。
全席自由席ということもあり、皆さん早目に着席されています。
御父兄の方が数多くお越しになっているようですね。
大盛況です。
コンサートは3部構成になっており、第一部はそれぞれの中学校や1年生部員、それとゲストの東海大学付属仰星高校の演奏。
第二部は、それぞれの学校の演奏、第三部は学年ごとの合同演奏。
まず、第一部から。
プログラムは以下のとおりです。
1.東海大学付属高輪台高等学校中等部 [指揮]坂井翔太朗
「ガリバー旅行記」(B.アッペルモント)
2.埼玉県立伊奈学園中学校 [指揮]石井友貴
2012年度吹奏楽コンクール課題曲
「Ⅲ 吹奏楽のための綺想曲“じゅげむ”」(足立 正)
「バレエ音楽“ガイーヌ”」(A.ハチャトゥリアン)
3.東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部(1年生) [指揮]畠田貴生
「セドナ」(S.ライニキー)
4.埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部(1年生) [指揮]宇畑知樹
「ロイヤルエンパイヤ序曲」(E.ハックビー)
「世界に一つだけの花」(槇原敬之/山里佐和子)
5.東海大学付属仰星高等学校吹奏楽部 [指揮]藤本佳宏
2012年度吹奏楽コンクール課題曲
「Ⅳ 行進曲“希望の空”」(和田 信)
「交響的序曲」(J.バーンズ)
高輪台中等部は、微笑ましかった。
まだまだ未熟な演奏ですが26名という少人数での必死さが伝わってきて好感が持てた。
伊奈学園中学校は50名体制。
荒削りですが、元気な演奏です。
以前には全国大会に出てたような気がしますが、最近はどうなんでしょうか?
中学生とは違い、両校の1年生の演奏はグッと完成度が高くなっていました。
高輪台は明るい音色、伊奈学園はマイルドなサウンドです。
(私の好みだと伊奈学園でしょうか…。)
この若者たちが切磋琢磨して全国大会常連校の実力に達するのでしょう。
頑張って下さい。
第一部の最後の団体は大阪・枚方の東海大学付属仰星高校です。
何でも兄弟校である高輪台と合同練習のため上京中の出演となったそうです。
関西支部大会の常連で、あと少しで全国大会も狙える実力校です。
気合いの入った演奏でした。
課題曲1曲とバーンズの曲。(バーンズ、懐かしいですね。)
もしかして、これでコンクールに臨まれるのでしょうか?
当然ですが、それまでの演者よりも完成された演奏でした。
ただ、会場のせいか打楽器の鳴らしすぎ?が気になりました。
ここで演奏を聴かして頂いたのも何かの縁です。
早く、全国大会の舞台に立つことができるよう遠く埼玉の地より応援致します。
10分の休憩後、第二部です。
1.東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部 [指揮]畠田貴生
2012年度吹奏楽コンクール課題曲
「Ⅱ 行進曲“よろこびへ歩きだせ”」(土井康司)
2012年度吹奏楽コンクール課題曲
「Ⅰ さくらのうた」(福田洋介)
「エル・カミーノ・レアル」(A.リード)
「夜桜お七」(原田大雪 編曲)
「ラテンスペシャル21!!」(畠田貴生 構成)
2.埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部 [指揮]宇畑知樹
「アニヴァーサリーファンファーレ~マーチ・エイプリル・メイ」(森田一浩/矢部政男)
2012年度吹奏楽コンクール課題曲
「Ⅴ 香り立つ刹那」(長生 淳)
「パガニーニ・ヴァリエーション」(P.ウィルビー)
「ヒットメドレー」
両校ともコンクール前のコンディションは、どうなのかなという感覚で聴かせて頂きました。
高輪台は、課題曲2曲、特にⅡはスローテンポのマーチですが、明るい音色の高輪台が演奏する事によって、曲が生きてくるように思いました。
「エル・カミーノ・レアル」は圧巻でした。
高輪台のサウンドはアルフレッド・リードに非常にあっている。(まるで往年の神奈川県立野庭高校のように…。個人的意見です。)
いい演奏でした。
そのあとは、日舞あり、歌あり、ダンスありの楽しいステージを繰り広げてくれました。
吹奏楽に余りなじみのない方々でも十分に楽しめるパフォーマンスの連続です。
一昨年、昨年と定期演奏会にお邪魔させて頂いた時も思いましたが、高輪台はエンターテイメントに関しては非常に考えられた構成だと感心しました。
伊奈学園の最初の曲、「アニヴァーサリーファンファーレ~マーチ・エイプリル・メイ」は定期演奏会の定番のようですね。
(1993年度課題曲マーチ・エイプリル・メイは懐かしい。)
課題曲Ⅴは良かった。
今日、演奏された課題曲の中では(個人的に)、イチバンでした。
伊奈学園というとオケの編曲モノを演奏する印象が強いですが、このようなオリジナルの現代曲っぽいもGOOD!です。
「パガニーニ・ヴァリエーション」も良かったですし、最後はアニメソング等の曲で少々、退屈気味だった小さな子供たちが目を輝かせていたのは印象的でした。
それにしてもリリア大ホールの残響がすごい。
100人前後くらいの演奏者がいっせいにフォルテシモを奏でるとメロディラインが埋もれたり、訳がわからなくなる一瞬が何回かあったように思います。(特に打楽器。)
ホールの特性に配慮した演奏も考えてほしかった気がします。
(同じホールで川口市アンサンブルリベルテの演奏を聴いた時は、響くとは思いましたが、ウルサイとは思わなかったので…。)
第三部は合同演奏でした。
今回の東日本大震災を被災された方を励ましの意味で書かれた、日本でも人気の作曲家フィリップ・スパークの「陽はまた昇る」を2年生が、伊奈学園定番の曲「オーメンズ・オブ・ラブ」(和泉宏隆/真島俊夫編曲)を3年生がそれぞれ演奏し会場を盛り上げました。(畠田先生が演奏に参加されたりして楽しかった。)
そして、そのままアンコールになだれ込み、最後は合唱曲「あすという日が」(だと思う。自信がない。間違っていたらごめんなさい。)を演奏者全員で歌い大盛況の中、コンサートは終了しました。(それにしても最近の高校の吹奏楽のコンサートでは合唱曲がはやっているのだろうか?そういえば春日部共栄でもやってたような…。その他でも聞いた事がある様な気がする。)
正直言うと第三部の頃には(ホールのせいもあり)、自分の耳が疲労しており、演奏の内容を判断しづらい状況でした。
逆にいうとそれだけ、中身が盛りだくさんであったということです。
埼玉県立伊奈学園総合高等学校、東海大学付属高輪台高等学校、埼玉県立伊奈学園中学校、東海大学付属高輪台高等学校中等部、そして東海大学付属仰星高等学校の皆さん、本当に御苦労さまでした。
今年もチケットが手に入れば、普門館に行くつもりでしたが、耐震性の問題で名古屋国際会議場になったようです。
名古屋だと行くのが無理なので埼玉より皆さんのご健闘をお祈りしております。