杉並公会堂に初めて行くことになりました。
そう言えば、私が子供の頃、ドリフの全員集合とかやってた気がするなぁ。
古びた公民館のようなホールなんだろうか?
という印象だったのですが、調べてみると2006年に建て替えたようですね。
どんなホールなんでしょう、実に楽しみです。
んっ?
これは、大変失礼いたしました…。
別に杉並公会堂を見学に来たわけじゃないんです。
2014年5月16日、金曜日。
そう、この日は、「ブリッツ フィルハーモニック ウィンズ」第18回定期演奏会におじゃまするために杉並公会堂までやって来たのでした。
荻窪って、何年振りでしょうか?
ずいぶん前に仕事で来たことがあるような…、もう忘れちゃうくらい前ですけどね。
荻窪駅を降りて、青梅街道を都心とは反対方向にしばらく歩くと杉並公会堂の近代的な外観が見えてきます。
建物の中に入ります。
なかなかステキな内装です。
そして、大ホール内に入ると…。
おお、シューボックス型(長方形)のホールじゃないですか!
見るからに響きそうです。
クラシック音楽には打ってつけです!
あとで、調べると大ホールの客席数は、1,190席と東京芸術劇場、オペラシティや文京シビックホールに比べて少なめですが、音楽を聴く環境としては良さそうな感じがします。(実際、演奏を聴いてみると非常に良いホールだと思いました。)
コンサートの前にこの日、指揮をされた三澤慶氏のプレトークがありました。(途中から、この日の“メインディッシュ”である「ローマの松」を“新”編曲された小野寺真氏もトークに参加されました。)
この日の演奏会は、三澤氏の『ミュージックパートナー就任記念』と銘打たれていましたが、その“ミュージックパートナー”とは何ぞやということを説明して下さいました。
まあ簡単に言ってしまうと堅苦しい立場(音楽監督とかアドバイザーとか)ではなく、もっと気楽な感じで一緒に音楽をやっていこうと言う事でしょうか?(このように言われていたように思ったのですが、間違っていたら、ゴメンナサイ…。)
さあ、いよいよコンサートの始まりです!
[演奏]ブリッツ フィルハーモニック ウィンズ
[指揮]三澤 慶(ミュージックパートナー)
◆ ミュージックパートナー就任記念委嘱作品
Overture “The BLITZ”(三澤 慶)
◆ ~2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲~
Ⅱ.行進曲「勇気のトビラ」(高橋 宏樹)
Ⅲ.「斎太郎節」の主題による幻想(合田 佳代子)
Ⅳ.コンサートマーチ「青葉の街で」(小林 武夫)
◆ パガニーニの主題による幻想変奏曲(J.バーンズ)
【休憩】
◆ 吹奏楽の為の「花の狂乱」(三澤 慶)
◆ ~2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲~
Ⅰ.最果ての城のゼビア(中西 英介)
Ⅴ.きみは林檎の樹を植える(谷地村 博人)
◆ 交響詩「ローマの松」《新編曲初演》(O.レスピーギ/arr.小野寺 真)
Ⅰ.ボルゲーゼ荘の松
Ⅱ.カタコンブ付近の松
Ⅲ.ジャニコロの松
Ⅳ.アッピア街道の松
まずは、トランペット奏者で作曲家でもある本日の指揮者、三澤先生の作品です。(ミュージックパートナー就任記念委嘱作品です。)
出だしが少し、ハッキリしない感じがしましたが、あとは素晴らしい“響き”に大満足!
なかなか素晴らしいバンドです。
私のような素人でも10秒聴いたら“わかる”明快なサウンドです。
曲もステキでした。
明るく華やかな曲調は、慶事に奏でられるには最高の曲だと思いました。
続いては、課題曲“3連発”です。
まずは、Ⅱ。
ほんの少しだけ、テンポが速いように感じましたが、素晴らしい演奏でした。
この日の10日前に聴いた「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」の演奏とは違う意味で見習うべきものがあると思いました。
各楽器のサウンドが融合しているという点では、私が聴いた中ではイチバンの演奏だと感じた次第。
次は、Ⅲ。
民謡という特殊な題材を扱った作品です。
メロディラインの歌い方が素晴らしかった。
決してクサくなく、あのように豊かな表情のあるメロディは、どうやったら吹けるのか…。
非常に心地よかったです。
最後は、Ⅳ。
これはもう、“お手本”です。
何も言う事もないし、私が何か言うのも、オコガマシイ。
課題曲3曲。
どれも、完成された演奏でしたが、個人的にⅣの演奏に惹かれました…。
前半最後は、バーンズの曲です。
この曲、どこかの演奏会で聴いたような気がするのですが…。(どうでもいいことですが。)
パガニーニの旋律を用いた変奏曲ですね。
下手なバンドがやると、変奏の流れの中に“隙間”が出来そうな曲です。
しかし、ブリッツの皆さんは、音楽に途切れる事のない美しい“連鎖”がありました。
こういうのってステキですよね。
(ところで、パガニーニで思い出したんですが、このサウンドで長生淳先生の「パガニーニ―・ロスト・イン・ウインド」を聴いてみたいなぁ…。)
休憩に入りました。
前半の演奏を思い返してみます。
まず、サウンドが素晴らしい。
明るく、若々しさも持ちながら、重厚でもある。
そして、何よりも艶っぽい音色なんです。
私が、ギャルドが好きなのも、アマチュアではアンサンブルリベルテが好きなのも、彼らの音が艶っぽいから。
ブリッツも、そういう系統のサウンドだと思いました。
特にクラリネットの皆さんが良かった。
“色気”さえ、ありました…。
後半の最初の曲は、指揮の三澤先生の曲です。
ずいぶん前に同じような題名の大河ドラマもありましたが、和テイストのメロディを持った安らぎを感ずる曲でした。
サウンドが艶っぽいから、この曲によく合いました…。
次は後半の課題曲コーナー?です。
課題曲、残りの2曲。
最初は、Ⅰから。
この曲は、もう何度も聴かせて頂きましたが、難しい曲ですよね。
作曲者が映画の予告編をイメージして作曲されたようですけど、それだけに展開が早い。
だから、うまく演奏しないとフレーズがブツブツ切れてしまう。
当たり前の話ですが、ブリッツの演奏は、素晴らしい“流れ”があった。
聴いていた中高生の皆さんは、Ⅰは、こう演奏すれば良いのかというお手本になったと思います。
続いて、Ⅴ。
上手いですねぇ。
ただ、技量の劣るバンドが、ただ機械的に演奏すると無味乾燥でつまらないものになってしまうのですが、ブリッツは違った。
サウンドもさることながら、例えば単純なロングトーンにさえ“表情”があるのです。
課題曲としては、難解な表現しづらい曲だと思っていましたが、この日の演奏で初めて楽曲として楽しめました。
素晴らしかった!
ちなみに個人的な意見ですが、この日、演奏された課題曲5曲の中でナンバーワンでした!
いよいよ、プログラム最後の曲です。
「ローマの松」ですね。
編曲は、小野寺真氏の新アレンジです。
ネットで調べてみますと、小野寺先生は、“我が”埼玉の名門、埼玉県立伊奈学園総合高校吹奏楽部の出身で東京芸大の作曲科、同大学院を出られています。
とても有能な方のようです。
そして、その編曲が功を奏してか、スケールの大きい演奏に聴こえました。
私は素人なので、技術的なことはわかりませんが、弦楽器を意識した演奏、編曲のように思いました。
そして、水面に反射する朝日のようにキラキラと輝くサウンドで私は、いつの間にか曲の世界に引き込まれてしまいました…。
“アッピア街道”の金管のバンダの皆さんも最高でした!
実に効果的なバンダ!
盛り上がりましたね。
鳴り止まない拍手の中で、アンコールが2曲。
1曲目は、三澤先生、ご自身の作で「See You Tomorrow!」。
この曲だけは、指揮者ではなく、演奏者として、フリューゲルホルンを演奏されました。
もちろん、素敵な演奏でした。
2曲目は、昨年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲Ⅲであった『復興への序曲「夢の明日に」』です。
この日から、6日前、作曲者の岩井直溥先生が亡くなられました。
追悼の意味を込めての心のこもった演奏でした。
沁み入りました…。
(2014年5月10日、吹奏楽ポップスの世界に多大な貢献をされた岩井直溥(いわいなおひろ)先生がご逝去されました。先生の吹奏楽界に残された影響は多大なものがあります。私も、先生の作曲された課題曲『ポップス・オーバーチュア「未来への展開」』で中学生の頃、コンクールに出たのを昨日のことのように思い出します。個人的に、課題曲では1976年度の『ポップス描写曲「メインストリートで」』が好きでした。心より、ご冥福をお祈りします。)
素敵な演奏会でした。
メンバーの皆さんも、HPのプロフィールで拝見しますと若手で実績のある方々のようです。
そして、今、聴いたばかりの演奏会をスマホにダウンロード出来るサービスをやったりと新しい試みもされているようですね。(その日も、この演奏会で演奏したばかりの課題曲5曲を販売していました。特に学生さんにとっては、とてもいい勉強になると思います。でも、私は購入しませんでした…、スミマセンm(__)m)
いずれにせよ、気になる吹奏楽団がひとつ増えました…。
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