浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

神奈川大学吹奏楽部 第49回 定期演奏会

2014-01-06 19:24:41 | 吹奏楽

2014年(平成26年)1月5日、日曜日。
私にとって年が替わって初めての演奏会です。
昨年同様、神奈川大学吹奏楽部の定期演奏会に行かせて頂きました。
今年で49回になるのだそうです。
しかも昨年とは違い、場所は、東京芸術劇場です。(いつもの“みなとみらいホール”は、とても良いホールなのだけれど、埼玉県民としては横浜まで行くのは、チトしんどい。芸劇で神大を聴けるなんて大変ウレシイデス。)

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東京芸術劇場のアクセスの点で良いのは、駅に降り立ってから地下に入ってしまえば、外気に触れることなく行けるところです。(この寒い時期には有難い。)
例えば、私の場合、JR池袋駅埼京線ホームで電車を降りたら階段を下り、地下1階にある改札を出ます。
そのあと西口方面(東武百貨店方面)に向かうと東京メトロの経営する「池袋エチカ」という商業施設(地下街)の途中に東京芸術劇場の地下の入り口があります。
地下はシアター・イースト、シアター・ウエストと呼ばれる小ホールになっており、その入り口前にあるエスカレーターを上がっていくと東京芸術劇場のエントランスです。

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建物は、地上10階、地下4階で、エントランス部分は吹き抜けになっています。
しかも外壁にあたる部分はガラス張りです。
外から見ても、内側からみても、とてもステキな建物ですね。
コンサートホール(大ホール)は、7階から9階部分に位置しています。(何でも地下鉄有楽町線の音や振動を嫌って高層階にホールを持って来たんだとか…。)
ですから、長い長いエスカレーターに乗らなければなりません。
そういう工程?を踏まえてこの日もコンサートホールに到着いたしました。

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ホワイエから、自分の席に一番近いホールへのドアを探しておりましたら、目の前を見たような方が横切って行かれました。
あれ、真島先生だ。
吹奏楽をやっている人間だった知らぬ者はいないと言っても過言ではない作曲家の真島俊夫先生です。
真島先生は神奈川大吹奏学部OBでいらっしゃるし、この日、先生の作品「レント・ラメントーソ」が演奏される事もあって、おいでになったのだと推察されました。

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ホール内に入って自分の席に着きました。
おやおや、今日は珍しくパイプオルガンが姿を現しています。
東京芸術劇場には何度も足を運んでいますが、ほとんどの場合、観客席から見て舞台正面に鎮座しているパイプオルガンは反響板に隠されていて見る事ができませんでした。(今まで、その姿を目の当たりにしたのは1~2回でしょうか?)
しかし、この日は違います。
パイプオルガンが演奏に加わるのかなと勝手に思いながら開演を待ちました。(この予想は、当たりました。)

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長々と余計な事を書きすぎたでしょうか?
本題に入ります。

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[演奏]神奈川大学吹奏楽部
[指揮]小澤 俊朗〈音楽監督〉

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◆ 1964東京オリンピック・ファンファーレ、オリンピック・マーチ 
                                                                   (今井 光也、古関 裕而)

◆ 魁響の譜 (三善 晃)

◆ レント・ラメントーソ -すべての涙のなかに、希望がある(ボーヴォワール)- (真島 俊夫)

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=休憩=

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◆ アルプス交響曲 作品64 (リヒャルト・シュトラウス)
   

    日の出
    山登り
    森に入る
    小川に沿って歩む
    滝
    幻影
    花の咲く草原で
    山の牧場で
    林で道に迷う
    氷河にて
    危険な瞬間
    頂上にて
    景観
    霧が湧いてくる
    次第に陽がかげる
    哀歌
    嵐の前の静けさ
    雷雨と嵐、下山
    日没
    エピローグ
    夜

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シンプルなプログラムです。
しかし、何といってもアルプス交響曲の全曲演奏が興味を惹かれます。
ますます楽しみです。

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まずは1964年に行なわれた東京オリンピックのファンファーレとオリンピック・マーチです。
最初にファンファーレ・トランペットの一団が舞台上部のパイプオルガン前に勢揃い。
格調高いオリンピック・ファンファーレを奏でて頂きました。
続いて古関裕而先生の名曲オリンピック・マーチです。
神奈川大学、いい響きです。
“みなとみらい”で聴くよりもすごくノーブルに聴こえる。
心地よいひと時でした…。
次は今年のコンクール自由曲でもあった三善晃先生の「魁響の譜」。(神奈川県大会、東関東大会で聴かせて頂き、いたく感動致しました。)
プログラムの解説によりますと1991年に岡山シンフォニーホールの開館記念のための委嘱作品なのだそうです。
それと私の勘違いかも知れませんが、この演奏会で演奏されたのはノーカット版でしょうか?
コンクールより、少し、演奏時間が長かったような…。(コンクールでは、時間的に制限されているため、カットされたものでした。)
すざましい演奏でした。
コンクールの時は、実に完成度の高い“華麗な”演奏に思えましたが、今回の演奏は説得力がすごかった。
胸に迫ってくるような“音の嵐”が間断なく感じられ、否応なしに観客を演奏の中へ引きずり込んでいくような錯覚に陥りました。
しかし、強引そうに見える“音楽”でしたが、ちっとも不快じゃなかった。
前よりも完成度が増している…。
驚きでした。
プログラムに書いてありましたが、三善先生は、この曲でのコンクール出場やこの日の演奏会での吹奏楽版アレンジについて快諾されていらしたとのこと。
もしかしたら、この演奏会で神奈川大学の演奏を聴かれる可能性があったかもしれませんね…。(残念なことに三善先生は昨年〔2013〕の10月4日にご逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。)
さて、前半最後の曲は、「レント・ラメントーソ」。
先程も申し上げましたが、神大OBの真島俊夫先生の作品です。
この曲は昨年、グラール・ウインドオーケストラによって委嘱された作品で同団のコンクール自由曲にもなりました。(残念ながら、全国大会での演奏は叶いませんでした。)
私もグラールの定期演奏会(昭和女子大学人見記念講堂)での“初演”を聴かせて頂きました。
ボーヴォワールの言葉に象徴されるテーマを音楽と言う形で表現するのは演奏者の力量が問われる難曲ですよね。
神奈川大学の演奏について。
グラールも素晴らしい演奏でしたが、神奈川大学は、それを上回る熱演でした。
表現力が際立っています。
ダイナミクスの差が実に効果的であり、とても心地よい。
「静」と「動」をハッキリ感じられる演奏でした。(真島先生も曲が終わった後、客席にて観客の拍手を受けておられました。)

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前半終了。
どの楽曲も素晴らしいパフォーマンスでした。
それと神大は、このホールと相性がいいんでしょうか?
何だか、“みなとみらい”で聴くより、ずっと良く聴こえるような…。(“みなとみらい”での演奏が良くないと言っているのではありません。)

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後半は「アルプス交響曲」全曲。
簡単に言うとリヒャルト・シュトラウスの登山の話の音楽なんですが、これがまた、彼の優れたオーケストレーションが冴えわたり、実に格調高いものになっている。
通常の交響曲のように複数の楽章に分かれているわけではなく、単一楽章という形式をとっていますが、そのかわり22の標題が付いています。(舞台の天井から、横断幕のような真っ黒い看板が吊るされており、22の標題がその音楽の時に、看板に投影されていました。これは、とても良い演出でした。)
私の勝手な印象ですが、交響曲というよりもバレエ音楽に近いのでは。
とにかく、1時間近い(司会をされていた岩崎里衣さんは、“50分”と言ってました。)オーケストラ編曲ものを飽きさせずに聴かせるのには相当の技量が必要ですね。
結論から申し上げますとアッと言う間の“50分”でした。
アルプスの山々を連想させるスケール感も出ていたし、ソロパートもなかなかのものでした。
予想通り使用されたパイプオルガンも効果的な役割を果たしていました。
何よりも“音楽”に流れがあった。
そして、個人のテクニックはもちろん、楽団のとしてのレベルの高さをあらためて感じた次第。
もちろん、100%といわけではありませんが、アマチュアでは最高のレベルの演奏だと思いました。(アマチュアで神奈川大学を同等か上回れるのは、ヤマハとかリベルテとかホンの2~3の職場一般の団体しか思い浮かびません。大学では圧倒的です。…、あくまでも個人的意見です。)
ブラヴォー!

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アンコールは以下のとおりです。(神奈川大アンコール定番の“ひばりメドレー”は相変わらず素晴らしかった!)

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来年、記念すべき50回目の定期演奏会は「サントリーホール」で行なうとのこと。
あのステキなホールでどんな演奏をしてくれるのか、今から楽しみでなりません!(その前にサマーコンサートにも行きますよ!)

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正月から、とってもいいものを聴いたと大満足の浦和のオヤジは、埼京線に乗って家路についたのでした…。


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