今年(平成26年)は、1月5日、東京芸術劇場で開催された『神奈川大学吹奏楽部第49回定期演奏会』に始まって、39のコンサートを拝見させて頂きました。
途中、仕事の関係で思うようにコンサートに行けなかったりしたのが残念でした。
その中でも毎年行っていた全日本吹奏楽コンクール、職場・一般の部(全国大会)に行けなかったのが悔やまれてなりません。
来年は必ず、何としても行くつもりです!
2014年(平成26年)12月26日、金曜日。
クリスマスも終わり、世の中は“年末年始モード”に切り替わったようですが、家族のいない“浦和のオヤジ”は、今年40回目のコンサートへと向かうのでした。
場所は、横浜・みなとみらいホールです。
東海大学吹奏楽研究会。
コンクールでの出場の軌跡を調べてみると…。
20世紀においては、1979年(昭和54年)、1983年(昭和58年)、1984年(昭和59年)の3回全国大会に出場してますね。(いずれも結果は“銀賞”。)
それから、長らく低迷期があって…。(支部で“銀賞”とか“ダメ金”とか。)
ところが、2010年(平成22年)に福本信太郎先生が常任指揮者に就任してから、様相は一変します。
2010年こそ、東京支部『金賞』どまりでしたが、翌年(2011年)は全国大会出場!(結果は“銀賞”。)
そして、ここからが快進撃です。
2012,13,14と『全国大会出場』&『全国“金賞”』!
そして、今、ノリにノッてると言っても過言ではない「東海大学吹奏楽研究会」の第53回定期演奏会に伺わせて頂きました!
実は、「東海大学吹奏楽研究会」の演奏会は初めてじゃないのです。
昨年の52回の定演にも行かせて頂いてるんですけど、うまいバンドだなあと思った記憶はあるものの、あまり強い印象は残っていません。(失礼!)
ところが今年は、とても強いインパクトを受けました!(内容はのちほど…。)
さあ、開演を告げる銅鑼の音が会場に響きわたりました。(一般的にホールで開演を知らせる『音』は、“ブザー”とか“ベル”“チャイム”だと思うのですが、“みなとみらいホール”は、現在は現役引退して、横浜港に係留されている帆船「日本丸」の銅鑼の音を使っています。もちろん、“録音”ですが…。)
コンサートの始まりです。
[演奏]東海大学吹奏楽研究会
[司会]桐田 咲智代
【Ⅰ部】
[指揮]福本 信太郎(常任指揮者)
古田土 彬宏(学生指揮)
◆ 東海大学校歌(松前紀男/作詞 松前重義)
◆ 夢のような庭(清水大輔)
Welcome to the imagination World:Daisuke Shimizu
◆ 輪廻の八魂(樽屋雅徳)
Soul of Eight to Samsara:Masanori Taruya
◆ 「エニグマ変奏曲」より“ニムロッド”(E.エルガー)
Nimrod from “ Enigma Variations”:Edward Elgar
◆ フェスティバル・ヴァリエーション(C.T.スミス)
Festival Variations:Claude Thomas Smith
【Ⅱ部】ドリルステージ
[ドリル講師・指導]松本 たか子
[ドラムメジャー]天野 穣
[ガードリーダー]柳下 生萌
[バッテリーリーダー]高橋 大優
[カラーガード指導]上杉 里枝
[バッテリー指導]阿部 忠昭
◆ Majesty of the Blues:Steve Barnett
◆ At a Dixieland Jazz Funeral:Jim Swearingen
◆ Jitters:Chris Crockarell
◆ St.Thomas:Sony Rollins
◆ It Don’t Mean a Thing:Duke Ellington
◆ Children of Sanchez:Chuck Mangione
【Ⅲ部】
[指揮]加養 浩幸(音楽アドバイザー)
◆ 歌劇「ムラダ」より“貴族たちの行列”(N.リムスキー=コルサコフ)
Procession of the Nobles from the opera “Mlada”:Nikolai Rimsky-Korsakov
◆ 序曲「1812年」(P.チャイコフスキー)
1812 Overture:Peter Ilyich Tchaikovsky
まず、最初は、古田土 彬宏(学生指揮)さんの指揮で“東海大学校歌”。
私、こういうの好きですね。(確か私が聴いた中では、演奏会で校歌を演奏するのは、東海大と埼玉栄くらいじゃないでしょうか?違ってたら、ゴメンナサイ。また、聴いてないところは、わからないのでゴメンナサイ。)
学校の名を背負っているのですから、自覚するためにも必要じゃないかと思います。
続いての曲は、同じく古田土さんの指揮で、清水大輔先生の「夢のような庭」。
この曲は、2008年の「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」の委嘱作品です。
何かで聞いたことがあるんですけど、曲名は「夢のよう、なにわ」と委嘱先の団体名にシャレをきかせたものであるとのこと。
ちなみに「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」とは、全国の主にオーケストラに所属するプロ管楽器奏者が一年に一回(ゴールデンウィークの頃)に一同に会して、吹奏楽の演奏会を開く催しです。
大阪フィルのクラリネット奏者、金井信之氏を中心に集まった全国の精鋭の演奏は、感動するほど、素晴らしい!
大阪公演と東京公演があり、私も毎年、東京公演の会場である東京芸術劇場に通わせて頂いております。
脱線気味なので話をもとに戻します。
清水先生の作品は常々、映画音楽の影響を受けていると耳にしますが、この曲もそういう意味では明るく、スケールの大きな楽曲だと思います。
また、東海大学の明るく厚みのあるサウンドに非常にマッチしています。
最初の曲としては、いい選曲だと思いました。
2曲目は、今年のコンクール自由曲である「輪廻の八魂」。
初めて聴く曲です。
何でも滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』をモチーフにした楽曲なのだそうです。(子供の頃、NHKで夕方やってた人形劇『新八犬伝』に夢中になったものです…。)
曲調は、同じ樽屋雅徳先生が作曲しただけあって、「白磁の月の輝宮夜」に似てるかなぁ。
でも、演奏がスゴカッタ!
こんなに素晴らしい演奏が出来る団体なんだと驚いてしまった!
圧巻のパフォーマンスでした!
続いて、エルガーの「ニムロッド」です。
「ニムロッド」は、「エニグマ変奏曲(正式曲名:独創主題による変奏曲)」の14の変奏の中から9番目の変奏曲ですね。
気高く、ゆったりとしたメロディは大変有名で、よく単独でも演奏されます。
そして、私も大好きな曲です。
出だし、微妙にズレました。
でも厚く優しいサウンドでカバーされているせいか、あまり、気にはなりませんでしたが。(通常は「第8変奏“N.W.”」から、第一バイオリンのロングトーンで繋がったまま「ニムロッド」に入るので、やりやすいと思うのですが、単独で「ニムロッド」を演奏するとなると非常に冒頭の入りが難しいと思う。)
いい演奏でした。
でも、やっぱり、この曲は弦楽器中心のゆったりした曲です。
息を通せばストレートに出てくる管楽器とは違い、弦の独特の“間(ま)”みたいなものが曲の味わいになっているのでは、と素人のオヤジは感じてしまいます…。
だから、吹奏楽では物足りないような…。
何か複雑な気持ちになってしまいますね。
それともう少し、ダイナミクスの“起伏”を感じられたら良かったと思います。
Ⅰ部、最後の曲は、ご存知、クロード・トーマス・スミスの「フェスティバル・ヴァリエーション」です。
これはまた、東海大学にドンピシャリの曲ですね。
サウンドといい、リズムといい恐ろしくハマっています。
うまく表現できないですけど、素晴らしい演奏でした。
ブラヴォーです!(最後の方でホルンとトランペットが少し、バテ気味だったのは、しょうがないです。だって、スミスの曲ですもの。)
休憩です。
それにしても、いつ聴いても“みなとみらいホール”の響きはステキです。
素晴らしい東海大学の演奏をより輝かせてくれます。
初めて知ったんですが、館長は、作曲家の池辺晋一郎先生なんですってね。
シューボックス型の2020の客席と舞台は、とても上品な空間を現出してくれます。
私の大好きなホールです。(蛇足ですが、数日前に聴かせて頂いた文教大学の演奏も、このようなクラシックコンサート専用ホールで聴きたかったかなと思いました。)
Ⅱ部は、“ドリルステージ”。
いわゆる“マーチング”ってヤツでしょうか?
私は、プロはもちろんですが、アマチュアも観客がいて舞台に立っている限りは、その時出来る“最高の音楽”を提供するべきだと思っています。
しかし、動きながら演奏して、果たして良い演奏が出来るものだろうかという疑問を待たざるを得ません。
だから、“マーチング”は好きではないです。
でもね、この日のドリルステージは楽しかった!
演奏した曲目がジャズぽい曲ばかりだったし、構成が面白かった。
でも、こういうふうに思ったのは初めてでした。
“マーチング”も「吹奏楽の演奏」として聴くのではなく、ミュージカルとか、そういう感覚で接するのが良いのかなと思った次第。
終わったあと、ドリル指導の松本たか子先生が舞台に出てらして、挨拶されたのを見て、“浦和のオヤジ”も少し、ウルウル来ちゃいましたね…。
アットホームです…。
2度目の休憩です。
それにしても、福本先生ってスゴイですよね。
短期間でこれだけの演奏の出来るバンドに仕上げちゃうんですから。
スポーツでも、そうでしょうけど、やっぱり、“指導者”は重要ですよね。
最後のⅢ部は、オーケストラのアレンジ曲ですね。
ここより、指揮は「土気シビックウインドオーケストラ」で有名な加養浩幸先生にかわります。
そして、Ⅲ部は部員全員での演奏でしょうか?(それまでは、曲によって演奏メンバーが変わっていました。)
最初の曲は、リムスキー=コルサコフ。
正直言って、私にとって馴染みのない曲名でした。
でも、演奏が始まると誰でも一度は聴いたことのあるメロディが流れて来ました…。
演奏もノーブルでいい感じです。
心が安らぐ演奏でした。
さあ、大トリの「1812年」です。
クラシックファンなら知らぬ人のいない名曲です。
冒頭は原曲だと確かチェロとビオラの合奏ですが、東海大学の演奏もサックスを中心とした木管楽器群でいい味出してましたねぇ。
ステキでした。
あとは、エンドに向かってまっしぐら。
ただただ、迫力の演奏を聴かせて頂きました。
大満足です!
鳴りやまぬ拍手にアンコール。
曲は以下のとおりです。
“定番”の福本先生のサックス・ソロもありました!
途中で司会の桐田さんによって指導されている先生方へのインタビューがありました。
福本先生、加養先生、松本先生の慈愛あふれるお言葉を聴いていると東海大学吹奏楽研究会の皆さんが如何に素晴らしい“時”を過ごしてらっしゃるか、わかるようでした。
全然、関係のない浦和のオヤジも大感動です。
そして、本当に最後にアンコール曲を学生指揮の古田土さんが指揮して演奏会が終了しました…。
本音で言うと東海大学吹奏楽研究会がこんなに素晴らしい演奏をして下さるとは思ってなかった。(ゴメンナサイ)
王者、神奈川大学にも引けをとらない実力の持ち主だと思います。
これからも、東海大学吹奏楽研究会に注目して行きます。
そして、“浦和のオヤジ”は、こう思いました。
「この演奏会が私の聴いた今年、最後の演奏会で良かった」と。
今年も、この「浦和河童便り」をご覧頂き、誠にありがとうございました。
もし、お許しを頂けるのならば、来年も、このブログを続けさせて下さい。
それでは、良いお年を!