浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

吹奏楽の祭典Ⅱ 4つの吹奏楽団が集結するコンサート 洗足学園音楽大学

2014-07-31 02:25:43 | 吹奏楽

2014年(平成26年)7月21日、月曜日、祝日(海の日)。
私は、ほぼ3週間振りに川崎市高津区にある武蔵溝ノ口の駅に降り立ちました。(今回、私はJRを使いましたので、この駅でしたが、渋谷から東急田園都市線を利用すると「溝の口駅」利用となります。)
ここから徒歩で、洗足学園音楽大学へ向かいます。
6月の終わりに「ブリティッシュブラス」と言う英国式ブラスバンドの素晴らしい演奏会に寄せて頂きました。
その時にこの日の演奏会があるのを知り、早速、拝見させて頂きに来た次第です。

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何でも、洗足学園音楽大学には、4つの吹奏楽団があるとのこと。
「フレッシュマン・ウィンド・アンサンブル」…1年生で構成。
「グリーン・タイ ウィンド・アンサンブル」…有志で構成。(吹奏楽オリジナル曲を中心に演奏)
「ブルー・タイ ウィンド・アンサンブル」…2~4年生で構成。
「ホワイト・タイ ウィンド・アンサンブル」…特別選抜学生で構成。
簡略化して書くと上記のような事になるみたいです。(ただ、「グリーン・タイ」の皆さんに関して、プログラムの説明だけでは、わかりにくい団体だなと少し思っちゃいましたけど…。)

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いずれにせよ、日頃は独自の活動している4つの団体が一堂に会するお祭りの日です。
だから、「吹奏楽の祭典Ⅱ」なんですね。
ちなみに何故、「Ⅱ」なのだろうと思っていたら、前日に洗足学園の教職員によるスペシャル吹奏楽団が演奏したらしいのです。
それが、「吹奏楽の祭典Ⅰ」で、この日が「Ⅱ」という次第です。

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それと、もうひとつの話題は、ゲスト指揮者の存在です。
全国の有名高校吹奏楽部を指導されている先生方を迎えての演奏会となりました。
精華女子高校の藤重佳久先生、埼玉栄高校の大滝実先生、幕張総合高校の佐藤博先生といった著名な方々と音大生とのコラボは、どんな“化学変化”を起こしてくれるのでしょう。
非常に楽しみです。

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各団体のプログラムは以下の通りです。
さあ、日本で最初に建てられた“シューボックス型”の前田ホールで1114席に座る観客の皆さんに、どんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょう…。
ちなみにコンサートの司会は、「ホワイト・タイ」の企画運営責任者、池上政人洗足学園音楽大学教授です。

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◆ フレッシュマン・ウィンド・アンサンブル
[指揮]藤重 佳久(精華女子高等学校吹奏楽部顧問)

  J.P.スーザ/美中の美
  John Philip Sousa(1854-1932)/The Fairest of the Fair
  A.リード/序曲「春の猟犬」
  Alfred Reed(1921-2005)/The Hounds of Spring

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◆ グリーン・タイ ウィンド・アンサンブル
[指揮]大滝 実(西関東吹奏楽連盟理事長、埼玉栄高等学校講師、岩倉高等学校吹奏楽部特別顧問)

  S.ラフマニノフ(伊藤 康英 編曲)/交響的舞曲 作品45aより 第1楽章
  Sergei Rachmaninoff(1873-1943):arr.ITO Yasuhide/1st movement from “Symphonic Dances”op.45a

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◆ ブルー・タイ ウィンド・アンサンブル
[指揮]佐藤 博(千葉県立幕張総合高等学校吹奏楽部顧問)

  D.R.ホルジンガー/春になって王達が戦いに出るに及んで…
  David R. Holsinger(b.1945)/In the Spring,at the Time When Kings Go Off to War

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【休憩】

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◆ ホワイト・タイ ウィンド・アンサンブル
[指揮]汐澤 安彦(東京音楽大学名誉教授)

  A.I.ハチャトゥリアン(稲垣 卓三 編曲)/バレエ組曲「ガイーヌ」より
  Aram Il’ich Khachaturyan (1903-78):arr.Takuzo Inagaki/Ballet Suite “Gayaneh”

      Ⅰ.剣の舞   Sabre Dance
     Ⅱ.子守唄   Lullaby
     Ⅴ.レスギンカ   Lezghinka

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◆ 合同演奏
[指揮]増井 信貴(洗足学園音楽大学客員教授・京都市芸術大学教授)

  A.リード/アルメニアン・ダンス パートⅠ
  Alfred Reed/Armenian Dances Part 1

       Ⅰ.杏の木   The Apricot Tree
      Ⅱ.ヤマウズラの歌   The Partridge’s Song
      Ⅲ.おーい、僕のナザン   Hoy, My Nazan
      Ⅳ.アラギャズ山   Alagyaz
      Ⅴ.行け、行け   Go, Go

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最初は、「フレッシュマン」の方々の演奏。
指揮は、精華女子高の藤重先生です。
精華女子高は最近、派手な活動してますね。(CDデビューしたり…)
でも、本音で言うとあまり好きなサウンドではないんです…。(個人の好みの問題です。)
最初の曲は、スーザの「美中の美」。
この曲、個人的に思い出があるんですよね。
忘れもしない、ん十年前、中学一年の私は、この曲がうまく吹けなかった。
確かに中学校に入ったばかりで譜面も早く読めなかったし、技術もありませんでしたので、簡単に吹けるはずはなかったのですが、それが以上に悔しくて、必死で練習したのを覚えています。
脱線は、これくらいにして、この日の演奏の話題に移りましょう。
「美中の美」を聴いて思ったこと。
1年生とは言え、さすが音大生です。
マーチをあんなに軽やかに演奏するテクニックは素晴らしい。
ただ、少し元気良すぎたかも。
サウンド的には硬質な音に聴こえた。
だから、音が大きなフレーズの方がより良く、聴こえたような気がしました。
全体的に金管楽器が他の楽器をリードしているように感じた次第…。
次は、「春の猟犬」。
一昔前は、さかんにどのバンドも演奏していましたよね。
この曲、「フレッシュマン」の皆さんのサウンドにすごく合っていて、とっても良い演奏だと思いました。
ただ、ほんの僅かに金管楽器が頑張り過ぎて、木管楽器のメロディを聴きづらくしてしまうところが、あったような…。
それにしても、このバンドの金管楽器は音色が華やかで私好みでした。
全体的に藤重先生が棒を振っていたせいか、精華女子高系統のサウンドに似ていたような気がしました。
多分、“先入観”だと思いますが…。
演奏が終わったあと、司会の池上先生によるインタビューがありました。
「高校生の指導で心がけている事はなんですか?」という質問に「生徒をやる気にさせること」「吹奏楽を楽しんで立派な社会人になってほしい」とおっしゃっておられました。
やっぱり、音楽を使っての人間教育が大切なんだなとあらためて実感しました。

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続いて、「グリーン・タイ」の皆さんです。
指揮は、大滝実先生に代わります。
大滝先生と言えば、全国屈指の吹奏楽強豪校、埼玉栄高校を長年指導され、一時代を築きあげられた方です。
昨年から、吹奏楽コンクールでの指揮を同じく同校顧問である奥章先生にまかされ、また新たに岩倉高校の特別顧問に就任されたとのこと。
その上、西関東吹奏楽連盟の理事長という要職にもお付きになり、ますます、ご多忙の事と思います。
その大滝先生が音大の学生を相手に指揮をして頂けるなんて嬉しい限りです。
曲は、ラフマニノフ「交響的舞曲」。
これは、最近、春日部共栄高校の演奏会で聴かせて頂きましたね。
しかも、大滝先生の指揮で。(大滝先生は、春日部共栄高校の定期演奏会にゲスト指揮者として、お見えになっておられました。)
ただ、今回の編曲は、伊藤康英先生がされています。
共栄の時の宍倉晃先生のアレンジとどう違うのでしょうか?(といっても、細部まで覚えてないので、よく、わからないと思いますが。)
演奏が始まりました。
木管の音がよく出ていますね。(特にクラリネット。)
前のバンドと比べて全体的な音のバランスが良くなったように感じました。
とても心地よい流れです。
ただ、もう少し、個人的な好みとして、メロディをクサく演奏して欲しかった気がします。(あくまでも、個人的好みです。)
大滝先生にもインタビューがありました。
「吹奏楽指導に気を付けているところは?」の質問に「以下にキレイな“p”を出すか。」
「目指す吹奏楽は?」に「部活動で立派な人間を作ること。その上で吹奏楽は、特に優れた手段である。」
藤重先生と同じく、何事も人材育成なのだと実感した次第。

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3団体目は、「ブルー・タイ」の演奏です。
指揮は、昨年の全国大会高校の部で素晴らしい演奏をして頂いた千葉県立幕張総合高等学校シンフォニックオーケストラ部顧問、佐藤博先生の登場です。
佐藤先生は、千葉県の光ウィンドオーケストラの音楽監督もされてますよね。
余談ですが、光ウィンドオーケストラと言えば昨年の全国大会でも素晴らしい演奏(「ガリレオの月」銀賞)を聴かせて頂きましたが、私は、それよりも一昨年の東関東大会、同点で最後は審査員の投票で敗れ去り、全国大会を逃してしまった「紺碧の波濤」の演奏の方が印象に残っています。
私は、光ウィンドの方が、もうひとつの団体より、優れた演奏だと思ったのですが…。
何の接点もない団体の事でしたが非常に残念でした。
…、“脱線”から修正します。
「ブルー・タイ」と佐藤先生との“共演”の曲は、ホルジンガーの曲です。
これは、難しそうな曲です。
めまぐるしく変わるリズムが面白い。
スキャット(人の声)を使った多彩な演奏です。
難解なリズムも、もともとのアンサンブルがしっかりしているせいか、非常にシャープに聴こえます。
私の好みの曲でしたし、とても楽しく聴かせて頂きました。
佐藤先生のインタビューでも吹奏楽指導においては、「人を育てる」、即ち人材育成の事を強調されておりました。
やはり、吹奏楽がうまくなるには、人間として、しっかりとした意識を持たなければならないのだなと思いました…。

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前半が終わりました。
各グループ、それぞれに個性があるサウンド、楽曲で楽しませて頂きました。
と、ここで、ふと、気付いたんですが、グループ名の最後に付く「― タイ」の“タイ”って何だろうと思っておりましたら、おそらく「ネクタイ」の事なんですね。
だって、それぞれの団体が演奏する時、名前に付いている色のネクタイを着用していましたもの。(今頃、気付くなんてマヌケですね…。)

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さあ、後半の最初は、「ホワイト・タイ」の皆さんです。
演奏して下さるのは、ハチャトゥリアンの「ガイーヌ」。
指揮は、東京音大名誉教授で吹奏楽の指揮者としても著名な汐澤安彦先生に代わります。(プログラムのプロフィールの欄を見ていて気付いたのですが、汐澤先生は、長い間、東京音楽大学シンフォニックウインドアンサンブルの指揮をされていたようですね。この日のちょうど、一週間前に同楽団の演奏会に行かせて頂いたばかりなので、感慨深い想いがあります。)
さあ、「ホワイト・タイ」の皆さんが舞台に登場して来ました…。
弦バスが6人いますね。
なかなか壮観な風景です。
やっぱり、オケの曲は低音部がしっかりしてないと演奏が不安定になりがちですので、これだけ弦バスがいると安心できます。
物語性のある表題音楽なので、やっぱり演奏には“表現力”がモノを言います。
期待を裏切らず、「ホワイト・タイ」の皆さんは、この“表現力”で見事な演奏を聴かせてくれました。
透明感のあるパフォーマンスだったと思います。

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最後のステージは、合同演奏となります。
指揮は、洗足学園音楽大学の客員教授でもあり、京都市芸術大学教授の増井信貴先生です。
曲は、リードの「アルメニアン・ダンス パートⅠ」。
吹奏楽ファンなら誰でも知ってる名曲です。
そして、最後の曲に相応しい華やかな演奏でした!
このところ、この曲を聴く機会が複数回ありましたが、この日の演奏も、あらためて、この曲の良さを認識させてくれました。
とても楽しかった…。

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アンコールに応えた曲は、以下のとおりです。

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こうして、演奏会は終わりました。
また、東京藝大から、始まった7月の音大吹奏楽団シリーズ(実際には、こういうシリーズはありません。私が勝手に名付けただけです。)は終わりました。
私にとって、とても有意義な時間を過ごせました。
各音大の皆さんには、お礼を言いたいくらいですよ。

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さあ、8月は、いよいよ吹奏楽コンクールのシーズンに入ります。
私もなるべく、聴かせて頂きたいと思います。
楽しみです!

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このところ、“遅筆”が続きました。
来月は、このようなことがないよう出来るだけ、努力いたします…。
誓う、浦和のオヤジでした。