2014年(平成26年)7月11日、金曜日。
一昨年、昨年と7月の私個人的な恒例行事、在京3音大(国立音大、武蔵野音大、東京音大)のコンサート観戦?を今年も、やってます!
この日は第2弾、武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブルの演奏会にやって参りました。
場所は、今年初めての東京オペラシティコンサートホールです。
武蔵野音大のコンサートは、アメリカ人の指揮者で欧米の作曲家の吹奏楽オリジナル曲を演奏する事が多く、とても楽しみにしているコンサートのひとつです。
特にちょうど1年前に東京芸術劇場で行なわれたコンサートは、J.A.ジルーの作曲した“交響曲第4番「ブックマークス・フロム・ジャパン」という素晴らしい曲の世界初演に立ち会う事が出来、感慨深いものとなりました。
指揮は、武蔵野音楽大学客員教授のジェームズ・ランブレクト氏です。
全米で輝かしい実績を残されている吹奏楽の指導者のようです。
この日は、敢えて、吹奏楽の世界では超有名曲の“アルメニアン・ダンス パートⅠ”をトリにもってきてますね。
非常に演奏が楽しみです。
[演奏]武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブル
[指揮]ジェームス・ランブレクト
James M.Lambrecht
◆ M.マルコフスキ/リメンバー・ザ・モリキュール(日本初演)
Michael Markowski/Remember the Molecules
◆ D.グランサム/舞楽
Donald Grantham/Court Music
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ
All Japan Band Competition 2014“Required Piece”
高橋 宏樹/行進曲「勇気のトビラ」
Hiroki Takahashi/Courageous Entry
◆ P.スパーク/ダンス・ムーブメンツ
Philip Sparke/Dance Movements
Ritmico
Molto vivo
Lento
Molto ritmico
【休憩】
◆ J.P.スーザ/エル・カピタン
John Philip Sousa/El Capitan
◆ 八木澤 教司/「エディソンの光」~メンロパークの魔術師
Satoshi Yagisawa/The Inventions of Thomas Alva Edison-The Wizard of Menlo Park-
◆ P.A.グレインジャー/コロニアル・ソング
Percy Aldridge Grainger/Colonial Song
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ
All Japan Band Competition 2014“Required Piece”
合田 佳代子/「斎太郎節」の主題による幻想
Kayoko Goda/Saitara Bushi Fantasy
◆ A.リード/アルメニアン・ダンス パートⅠ
Alfred Reed/Armenian Dance PartⅠ
最初の曲は、作曲者も楽曲も存じ上げませんでした。
と思っていましたら、日本初演なのだそうです。
作曲者のマルコフスキ氏は、アリゾナ州立大学を2010年に卒業したばかりの若者です。(1986年生まれ28歳。)
しかも、驚いた事に大学の専攻が“映画芸術”で、作曲については、個人的に作曲家の方に習ってらっしゃるとの事。
異色の経歴ですね。
この日、演奏された「リメンバー・ザ・モリキュール」は、アメリカの作家、ノーマン・マクリーンの小説「ア・リヴァー・ランズ・スルー・イット」と、それをもとにした映画を題材に昨年(2013年)、作曲されました。
初めて聴かせて頂きましたが、実にアメリカ的で雰囲気の良い曲でした。
“動き”が強く感じられる演奏は表現力に長けていて、演奏会の口開けの曲として、非常に的確な選曲だと思いました。
2曲目は、「舞楽」という曲。(この題名は、東京佼成ウインドオーケストラが「コート・ミュージック[宮廷音楽]」という原題を「舞楽」と訳したそうです。)
アメリカ人である作曲者が「雅楽」に魅せられ、篳篥(ひちりき)、竜笛(りゅうてき)、笙(しょう)といった日本古来の楽器の音色を意識して作った曲のようです。
同時に日本人に大変馴染み深い「さくらさくら」の旋律を使って日本情緒を醸し出します。(ハープとファゴットによる「さくらさくら」の演奏の部分がとても美しかった。)
いわば、外国人から見た雅楽も含めた日本古謡の“印象”と言ったカンジの曲でしょうか?
演奏も曲も素晴らしかったのですが、最後の方で“日本的”な雰囲気がなくなったのが、ある意味、興味深かった。
3曲目は、課題曲Ⅱ。
明るくさわやかなマーチを表現してくれました。
中高生の皆さんにもお手本になる演奏でした。
前半、最後の曲はスパークです。
「ダンス・ムーブメンツ」は、ワシントン空軍バンドの委嘱で作曲されました。
日本でも、一時期ケッコウ流行りましたね。
御存じの方も多いと思います。
チョット脱線して、コンクールデータベースで調べて見ますと一番最初に吹奏楽コンクール全国大会でこの曲を演奏したのは、何と、かの有名な精華女子高なんですね。
これからも、聴き続けて行きたい名曲です。
武蔵野音大の演奏は、リズム感に長けていて、とても良かった。
特に金管楽器の音色が明るくて、素晴らしい。(特にトランペット。)
多少、メロディラインで微妙なズレを感じた部分もありましたが、躍動感のある演奏に拍手を送りたいと思います。
前半が終わりました。
こういうシャープな切れ味のある都会的な演奏は大好きです。
サウンドも“吹奏楽”って感じがして、私の耳にはとても心地よい。
素人の私が聴いても、とてもセンス良く感じます。
それに会場である東京オペラシティコンサートホールも大好きです。
気分が高揚せざるを得ません…。
後半の最初は、グッとオーソドックスにスーザのマーチです。
「エル・カピタン」。
遠い昔、私も吹いたことありますね。
武蔵野音大の上品な演奏に懐かしさとマーチの素晴らしさを再認識いたしました…。
次は、武蔵野音大OBでもある八木澤教司氏の「エディソンの光」。
この曲は愛工大名電高校の委嘱により、作曲されました。
“メンロパークの魔術師”と呼ばれた発明王トーマス・エディソンを描いた楽曲です。(エディソンは、ニュージャージー州メンロパークに研究所を持っていました。)
私も何度か生演奏を聴く機会があった楽曲で、聴くたびに好きになっていく味わい深い雰囲気を持っていますね。(特に途中で出てくるバロック調のようなメロディが好きです。)
華やかな演奏でした。
金管楽器、絶好調でした\(^o^)/
やっぱり、このバンドの金管のサウンドは個人的に好きだなぁ。
なお、作曲者の八木澤先生が会場にお見えになっており、ご挨拶されました。
3曲目は、グレインジャーの「コロニアル・ソング」です。
“植民地の歌”と題されたこの曲は、祖国オーストラリアの人々を讃えています。
最初は、1911年にグレインジャーの母親の誕生日プレゼントの歌曲として作曲されました。
その後、1918年に吹奏楽曲に編曲されたようです。
しっとりと素朴に仕上げた演奏は、心が安らぎました。
トランペットのソロ、素晴らしかった!
次は、課題曲Ⅲ。
前半2曲目の「舞楽」じゃないけど、この曲の冒頭のロングトーンに「雅楽」的なものを感じる私は、おかしいでしょうか?
アメリカ人の指揮者のせいか、スマートと言うか、ずいぶん、あっさりした演奏に聴こえました…。(私の先入観かもしれませんが…。)
トリの曲は、今まで何度、聴いたかわからないくらいメジャーな曲、「アルメニアン・ダンス パートⅠ」です。
本音で言うと、武蔵野音大のトリの曲としては少し物足りなく感じていました。
しかし、演奏を聴いて納得しました。
この聴き慣れた曲がとても優雅に、しかも表情豊かに聴こえたからです。
トリに選んだ訳がわかった気がしました…。
アンコール曲は以下の通りです。
(特に課題曲Ⅳは、とても良い演奏だったと思います。)
このようにして、盛会のうちに演奏会は終わりました。
それにしても、毎年7月、在京3音大の演奏会は聴きごたえがあります。
それぞれの特性を生かした演奏は聴衆を楽しませてくれる…。
次は、東京芸術劇場で東京音大ですか。
非常に楽しみです。
これまた、演奏会から10日以上経ってしまいました…、ゴメンナサイ…。