浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

東京音楽大学 シンフォニック ウインド アンサンブル 第45回定期演奏会

2014-07-28 03:29:15 | 吹奏楽

毎年7月、東京音大の“シンフォニック ウインド アンサンブル”のコンサートに伺わせて頂くようになってから、今年で“3度目の夏”となりました。(時の経つのは早いものです。)
音楽大学の吹奏楽団は、それぞれに個性があり、また、高い技術力を持っていますので、聴きごたえがあります。
アマチュアとは違う表現力で聴かせて頂くのを非常に楽しみにしております…。

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特に今回の演奏会は、個人的に楽しみにしていることがあります。
それは、スミスの「華麗なる舞曲」が演奏されると言う事です。
この曲は、吹奏楽をかじったことのある方はご存知だと思うのですが、難曲中の難曲でもあり、と同時に演奏すれば、もっとも観客を虜に出来る曲です。(まるで、ジェットコースターに乗ってるような感じがしますよね。)
実力のあるバンドに演奏して頂けるのは、この上ない幸せですよ。

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指揮は、東京音大の津堅直弘教授です。
今でも、私には、NHK交響楽団のトランペット奏者という印象が強いですね。
それと、東京音大の演奏会に伺わせて頂くようになってから、知ったのですが、マルセル・ケンツビッチのペンネームで多くの楽曲を作曲されているんですね。

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2014年(平成26年)7月14日、月曜日、16:30開演。
場所は、東京・池袋の東京芸術劇場コンサートホールです。
このホール、今年に入って8回目の訪問になるんですねぇ。
我ながら、よく来ていると思います…。

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こんな、くだらない事を考えていましたら、開演が近づいて来たようです。
団員の皆さんが次々とステージに入って来ます。
ずいぶん、人数が多いですね。
少なくとも。百数十人はいるでしょうか?
壮観です。

さあ、演奏会を楽しみましょう!

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[演奏]東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル
[指揮]津堅 直弘
[ユーフォニアム]外囿 祥一郎

G.ホルスト/吹奏楽のための第1組曲
G.Holst/First Suite for Military Band in E frat major Op.28 No.1
        1.シャコンヌ Chaconne
        2.インテルメッツオ Intermezzo
        3.マーチ March

C.T.スミス/華麗なる舞曲
C.T.Smith/Danse Folâtre

M.ケンツビッチ/レジェンド
M.Kentsubitsch/“Legend”:Euphonium and Wind Ensemble for Shoichiro Hokazono

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【休憩】

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2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲
   Ⅰ.中西 英介/最果ての城のゼビア
        Eisuke Nakanishi/The Farthest Castle
   Ⅱ.高橋 宏樹/行進曲「勇気のトビラ」
      Hiroki Takahashi/Courageous Entry
   Ⅲ.合田 佳代子/「斎太郎節」の主題による幻想
      Kayoko Goda/Saitara Bushi Fantasy
   Ⅳ.小林 武夫/コンサートマーチ「青葉の街で」
        Takeo Kobayashi/Concert March“At the Verdurous Town”
   Ⅴ.谷地村 博人/きみは林檎の樹を植える
        Hiroto Yachimura/Even till the end, sew new appleseed

O.レスピーギ(荻原 明 編曲)/交響詩「ローマの祭」
O.Respighi(arr. by A.Ogiwara)/Feste Romane
      1.チルチェンセス  Circenses
      2.50年祭  Il Giubileo
      3.10月祭  L'Ottobrate
      4.主顕祭  La Befana

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最初の曲は、名曲ホルストの第1組曲。
さすが音大の皆さんだけあって、キッチリとした演奏でした。
でも、本音で言うならば、少人数での演奏を聴きたかった…。
そうじゃないと、この曲の持つ素朴さが失われてしまうような気が…。

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次は、楽しみにしていた「華麗なる舞曲」です。
最初の一音目が発せられるのを固唾を呑んで待ちます。
始まりました!
何たるスピード感!
この曲の持つ魅力を引き出してくれる演奏です!
少し、金管楽器と木管楽器のバランスが悪くなった瞬間もありましたが、そのド迫力に大満足でした。(人数の多さが前の曲とは違い、“功を奏した”と思います。)
ブラヴォーです!
それにしても、この曲は、本当に盛り上がります。
吹奏楽のオリジナル曲ではイチバンではないでしょうか?!

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「華麗なる舞曲」の興奮も収まらない私でしたが、次の曲に移ります。
津堅先生の作品(もちろん、マルセル・ケンツビッチの作です!)、「レジェンド」です。
この曲は、この日のユーフォニアムソリストで東京音大の客員教授でもある外囿祥一郎氏のために1998年に作曲されたそうです。
津堅先生の故郷、沖縄の“ド・ミ・ファ・ソ・シ・ド”と言う琉球音階を使ったメロディは、大変美しかった。
もちろん、外囿先生の超絶技巧は素晴らしく、音色も温かくて、心に染みました…。
(外囿先生は演奏後、観客の拍手に応えてアンコール曲を演奏されました。)

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前半が終わりました。
それにしても「華麗なる舞曲」は素晴らしかった。
“キカセテヤルゾ”という気迫に満ちた演奏でした。
この演奏を聴いただけでも、この日の演奏会に来た甲斐があったというものです。
ただ、やはり、人数がネックになる曲があったのが残念だった。(後半の曲にも、同じ印象を持ちました。特に課題曲が。)

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後半が始まりました。
まずは、今年の吹奏楽コンクール課題曲5曲です。
最初に申し上げておきますが、課題曲Ⅲの合田佳代子氏を除く、残り4人の作曲者が会場にお見えになっており、観客へ挨拶をして下さいました。
(去年もたくさんの課題曲作曲者がお見えになっておられましたね。)

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まずは課題曲Ⅰです。
少し、演奏に任意のテンポがあるように感じました。
津堅先生が独特の“解釈”をされたのでしょうか?
しかし、それがために今まで聴いた課題曲Ⅰとは違う世界を作っていました。(より、音楽性が高まったように感じました…。)

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課題曲Ⅱ。
大好きな曲なんですが、やっぱり演奏人数がネックかなぁ。
諧謔味のあるメロディラインとか、ポップなリズムとかが、100人を超える演奏者では大味な演奏になってしまったような…。(個人的意見です。)
少し、重い感じがしました…。

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課題曲Ⅲ。
去年の課題曲Ⅲ、故岩井直溥先生の“復興への序曲「夢の明日へ」”はポップス曲という特性から課題曲として演奏する団体は少ないだろうなと思っておりました。
しかし、蓋を開けてみると課題曲5曲の中でトップを争うような人気ぶり。
そして、今年の課題曲Ⅲも個人的に同じような“匂い”を感じています。
ただ、最初は、そう思いませんでした。
だって、「斎太郎節」は、コテコテの民謡ですし、私のようなオヤジは、メロディを聴くと静岡・伊東の温泉旅館ハトヤの大漁苑のCMの替え歌を思い出してしまうし…。
でも、聴き込んでみると曲が見事なんですよねぇ。
各団体の個別のサウンドを表現しやすいし、何よりも意識に入って来るんです。
何回も聴くと無意識に鼻歌で口ずさんだりしている…(笑)。
そんな曲を東京音大は感情豊かにスケールの大きな演奏をしていました。
表現力が光ったパフォーマンスでした。
だから、ある程度の技術があると自負している団体は、現代曲っぽい課題曲を指向していない限り、Ⅲは狙い目じゃないかと思います。(個人的意見です。)

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課題曲Ⅳ。
今年の課題曲は、個性的な曲が多いと思いますが、その中ではイチバン、オーソドックスな曲に感じます。
だから、演奏しやすいし、聴きやすい。
ファゴットのソロとか多少の特異なところはありますが、コンクールの課題曲としては無難な曲だと思います。
そして、東京音大はそういう意味で最高の演奏をしてくれました。
ただ、人数のせいか、少し音量過多かな。(個人的意見です。)

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課題曲Ⅴ。
ウーン、私のような素人の吹奏楽ファンには難しい曲です。
でも、この難解な曲を東京音大は、空間の広がりを感じる演奏として、見事に表現してくれました。
楽曲として独特の世界が存在していたような。

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課題曲5曲が終わりました。
個人的な感想ですが、こういうコンクール前の状況では、見本演奏になってしまいがちだと思います。
ですが、課題曲という枠を超えて、新しい解釈で楽曲を聴かせて頂けたのが嬉しかった。

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最後の曲は、「ローマの祭」ですね。
“チルチェンセス”、トランペットのバンダの皆さんがカッコよかったです。
良く響きます!
“50年祭”、華やかでした。
“10月祭”は、プログラムの解説にも載っていましたが、通常、マンドリンで奏でられるセレナードの部分をトランペットがテューバのベルの中に音を出し演奏すると言う“テクニック”を使って聴かせてくれたのが、非常に興味深かった。
“主顕祭”は、豪華絢爛ってカンジですかね。
オーケストラに負けない迫力で楽しませて頂きました。

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アンコール曲は以下の通りです。

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とても楽しい演奏会でした。
そして、スケールやパワーに圧倒されました。
東京音楽大学シンフォニックウィンドアンサンブルの個性が遺憾なく発揮されていたように思います。
来年も楽しみですね。