浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

春日部共栄中学高等学校吹奏楽部 第28回定期演奏会

2014-05-03 21:27:58 | 吹奏楽

昨年の東京芸術劇場での定期演奏会も伺わせて頂きました。
そして、今年も楽しみにしておりました。
2014年(平成26年)4月29日、火曜日、昭和の日。
場所は、大宮ソニックシティ大ホール。
仕事の関係で“夜の部”を見させて頂きます。

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昨年は、春日部共栄吹奏楽部の定期演奏会の後に岡山学芸館&東海大高輪台のジョイントコンサートに行きました。(もちろん、“同じ日”にです。池袋から、江東区まで…。)
つまり、コンサートのハシゴをしたんですね。
慌ただしかったけれど、懐かしい思い出です。

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まず、申し上げなければならないのは、私が何故、毎年、春日部共栄の定期演奏会に来ているかということです。
サウンドやアンサンブルと言った基本的な部分に真摯に向き合う態度、春日部共栄には、そういう意識を強く感じます。(演奏を聴いていれば、私のような素人にでもわかる気がします。)
だから、コンクールの場であろうと演奏会であろうとクオリティの高い演奏が聴けるのです。
多くの吹奏楽団(高校に限らず)で見られる傾向ですが、コンクールで素晴らしい演奏をしても定期演奏会で聴くと“ナンジャコリャ”と思う団体が数多くあります。(「“全国金賞”の名が泣くよ」と言いたくなった団体も過去にはありました。)
それが、春日部共栄にはないんです。
「音楽」をじっくりと聴かせてくれる団体、それが春日部共栄高等学校吹奏楽部だと思います。

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余計なおしゃべりが過ぎました。
本題に入りましょう。

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[演奏]春日部共栄中学高等学校吹奏楽部
[指揮]都賀 城太郎
    織戸 祥子
[ピアノ]西川 真子

◆ 行進曲「博奕岬の光」(酒井 格)
◆ 2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
  行進曲「勇気のトビラ」(高橋 宏樹)
  「斎太郎節」の主題による幻想(合田 佳代子)
◆ シンフォニック・ヴァリエーション[初演](福島 弘和)

◆ アルメニアンダンス パートⅠ(A.リード)[昼の部]

[客演指揮]須藤 卓眞(松戸市立松戸第四中学校吹奏楽部顧問)
◆ 交響的舞曲 作品45より 第一楽章(S.ラフマニノフ/arr.宍倉 晃)[夕の部]
[客演指揮]大滝 実(西関東吹奏楽連盟理事長)

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【休憩】

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◆ 雷神~ソロパーカッションと吹奏楽のための協奏曲(高 昌帥)

[パーカション]寺山 朋子
◆ アッフェローチェ[委嘱作品・初演](高 昌帥)
◆ 春に寄せて~風は光り、春はきらめく~(福島 弘和)
◆ 飛行の幻想(R.シェルドン)
◆ ビートルズメドレー(J.レノン&P.マッカートニー/arr.杉本 幸一)
◆ エル・クンバンチェロ(R.エルナンデス/arr.岩井 直溥)

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演奏会が始まりました。
生徒の皆さんも“昼の部”でお疲れでしょうが、頑張ってほしいものです。
まずは、酒井格先生の行進曲。
自衛隊の委嘱作品だけあって、明るく元気で、さわやかな曲です。
この曲は、今年の3月16日に文京シビックホールにて行われた“響宴”にて神奈川大学吹奏楽部の演奏で聴いたのが最初でしたが、春日部共栄も、それに負けないパフォーマンスを見せてくれました。(酒井先生も会場にお見えになっておられました。)
次は、本年度の課題曲ⅡとⅢですね。
どちらも明日、コンクールに出てもおかしくないくらいの完成された演奏でした。
ただ、少しだけ感じたこと。
Ⅱは、メロディラインから言っても、特に躍動感を表現してほしいマーチなのですが、わずかに大人しい感じがしたのは、私だけでしょうか?
Ⅲは、民謡をモチーフにしているのですから、旋律をもう少しだけ歌って欲しかったかな?(課題曲選曲の傾向から推察するに2曲とも春日部共栄がコンクールで演奏する曲ではないとは思いますが…。)
4曲目は、春日部共栄にとっては馴染み深い作曲家、福島弘和先生の作品「シンフォニック・ヴァリエーション」。
しかも“初演”なのだそうです。
そして、演奏の方は2年生主体で行うとのこと。
曲は、明るくて華やかな昔の“アメリカ的”な感じがしました。(私の好きなタイプの曲です。)
多少のアンサンブルの乱れやピッチの気になったところがあったものの、2年生とは言え、さすが春日部共栄と思わせる演奏でした。(2年生って言うのは、この4月に2年生になったばかりの新2年生ですよね。ということは、1年ちょっと前は、中学生だったわけです。それで、あのパフォーマンス。素晴らしいです。)
プログラムの曲目紹介では、ここで酒井根中を全国的に有名な吹奏楽部にし、現在でも大活躍の松戸四中の吹奏楽部顧問、須藤卓眞先生のゲスト指揮で「アルメニアンダンス パートⅠ」となってますが、これは“昼の部”だけらしいので…。(残念。)

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さて、前半最後は、吹奏楽界では知らぬ者のいない大滝実先生の登場です。
大滝先生と言えば、同じ埼玉県の高校吹奏楽界の名門、埼玉栄高校を率いていらっしゃることで有名です。
また、西関東吹奏楽連盟の理事長もされています。
その上、昨年より岩倉高校の特別顧問に就任されたとか。
ご多忙でしょうが、これからも吹奏楽界の発展のためにご尽力して頂ければ、一吹奏楽ファンとして、これ以上の喜びはありません。
さて、今回の春日部共栄とのコラボはラフマニノフですか。(夜の部のみ。)
大滝先生の指揮も冴えわたり、前半のトリに相応しいパフォーマンスでしたが、個人的な感想を言うと、やっぱり春日部共栄は、吹奏楽オリジナル曲の方が合うかなぁ…。

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さて、後半です。
まず、最初に春日部共栄OGでピアノで賛助出演した西川真子さんの紹介や大滝先生の楽しいインタビューのあと、高昌(こうちゃん)帥(す)先生の「雷神」。
都賀先生は、この曲をコンサート等で演奏するのは、今日で5回目だとおっしゃっておられましたが、私は、この内、4回に立ち会っていると思います。(第25回定期演奏会、全国大会三年連続出場記念 in サントリーホール〈東海大四高と合同開催〉、第17回“響宴”、第28回定期演奏会)
何度聴いても、寺山朋子氏のパフォーマンスは素晴らしいし、それに負けない春日部共栄も立派です。
堪能させて頂きました。
次は、ある意味、本日の目玉の曲かも知れません。
同じく、高昌帥先生への委嘱作品で初演の「アッフェローチェ」。
多分、この曲が今年のコンクール自由曲になるのでしょうか?
「“Afferoce”とは、愛情深くという意味の音楽用語、“Affettuoso”と、荒々しくという意味の“feroce”をつなげた造語」だそうで、「ゆったりとした優しい曲調」と「テンポの速い激しい曲調」が表現されている曲です。
高先生の魅力が満載の曲ですので、楽譜が出版されたら、流行るんじゃないかと推測できますね。
春日部共栄の演奏も素晴らしかった。
まだ、細部に整理する余地はあったものの、“雰囲気”は完成されていました。
もう少し、吹き込んで表現力を磨けば、かなりの演奏になると思います。
コンクールが楽しみです。(この曲が自由曲であればの話ですが…。)
やっぱり、春日部共栄は、「吹奏楽オリジナル新作委嘱作品」が似合います!

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後半3曲目は福島先生の作品。
しかも、春日部共栄中学の皆さんの演奏とのこと。
人数は少なめですね。
30名いないでしょうか?
指揮が顧問の織戸祥子先生に替わっての演奏開始です。
正直な感想を言いますと“コンナニウマイト、オモワナカッタ”。
まず、サウンドがキレイですね。
芯の通った音をしている。
まだ未熟な面も、たくさんあるけど、今後が楽しみです。
次も特別編成での演奏です。
今年、入学した新1年生だけの演奏。
数か月前は中学生だった皆さんの初々しいサウンドですね。
曲は「飛行の幻想」。
この曲は、春の定期演奏会で新1年生の演奏曲として、“定番”なんだそうです。(そう言えば、去年も演奏してましたな。)
さすがに春日部共栄吹奏楽部に入ってきた生徒の皆さんです。
まだまだ荒削りですが、どのように変貌を遂げて行くのか楽しみですよ。(余談ながら、少し金管楽器と木管楽器にレベルの差があるように思いました。)
最後は、全部員120名の演奏で“ビートルズ”と“ラテン音楽”の演奏。
大いに盛り上がりましたし、生徒の皆さんの“若さ”と“熱意”をこのくたびれたオヤジにも与えてくれました。
ありがとう!

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アンコール曲は以下の2曲です。
合唱曲で静かな雰囲気を作って、定番の「フーテナニー」でマトメタって感じですか。
楽しい演奏会でした。

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私は、春日部共栄高校吹奏楽部の音楽に対峙する姿に好感を持っています。
良いサウンドを聴いてもらいたい、素晴らしいテクニックを見てもらいたいと「音楽」で観客を楽しませようとしているからです。
だから、マーチングの大会にも出ないし、学芸会のような定期演奏会もやらないし、「音楽」のみ「演奏」のみで勝負している気がする。(マーチングを否定しているわけではありません。ただ、私は“動きながら”楽器を演奏することが、いい「音楽」を作りだせるとは、どうしても思えないだけなのです。)
とにかく、今後も春日部共栄高校吹奏楽部を勝手に注目して行きます!