浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

グラールウインドオーケストラ 第33回定期演奏会

2013-06-03 14:30:14 | 吹奏楽

昭和女子大学人見記念講堂。
懐かしいですね。
若かりし頃、数は多くありませんが何回か通ったことがあります。
以前より申し上げておりますが、私は学生時代、主に外国のオーケストラの来日コンサートが行われる場合のアルバイトスタッフとして、都内のいろいろなホールに行かせて頂きました。
その関係でここにも思い出があるわけです。

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当時は気にもしませんでしたが、座席数が2,008もあるんですね。
それじゃあ大きな演奏会が頻繁に行われたわけだと納得。
昭和55年(1980)完成とのことなので、もう30年を越えるのですか。
時の立つのは早いものです。

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さて、ここ人見記念講堂に来た理由は、グラールウインドオーケストラの第33回定期演奏会に伺うためです。

グラールウインドオーケストラは神奈川県川崎市を拠点に活躍されている一般吹奏楽団です。
1990年創団との事ですので20年以上の歴史ある団体です。
吹奏楽コンクールは全国大会常連ですので、吹奏楽ファンの方なら、名前はよくご存じだと思います。
昨年、私は職場一般の部の全国大会を聴かせて頂きましたが、残念なことにグラールウインドオーケストラは3出(さんしゅつ。3年連続全国大会に出場するとその次の年は1回だけコンクールに出場できないという規定)のため名誉の不参加で聴くことが出来ませんでした。
ですから、生演奏で聴かせて頂くのは初めてで、チケットの申し込みをしてから、この日を楽しみにしておりました。
特に真島俊夫先生の委嘱作品の初演が行われるとのことでワクワクです。

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建物の外観はなかなか立派ですね。
何となく覚えていますよ。
この日のコンサートでは入場料は無料でしたが、事前にネットで予約したチケット(いわば入場券)予約番号を申告し座席指定券と引き換えるという方法で入場します。
チケットの引き換えは若い男性スタッフ(あとでそのスタッフの方々が中央大学の吹奏楽部の皆さんとだとわかりました。)に丁寧にやって頂き、スムーズに会場に入ることが出来ました。

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ロビーでは団員によって開演前の“ウェルカムコンサート”「コントラバス四重奏」が行われようとしていました。
コントラバスのみの演奏とか私のような人間には滅多に聴く機会がありませんので非常に興味深かった。(それに続いて「サクソフォーン四重奏」「トロンボーン四重奏」が行われました。)

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2013年(平成25年)6月2日、日曜日。晴れ。

当日のプログラムは以下のとおりです。
何といっても第2部の〈真島俊夫の世界〉が楽しみです。

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[演奏]グラールウインドオーケストラ
[指揮]佐川 聖二

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◆第1部◆

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● キャンディード序曲  (L.バーンスタイン/arr.C.Grundman)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ“勇者のマズルカ”  (三澤 慶)
● バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より  (S.プロコフィエフ/arr.鈴木英史)
  ♪モンタギュー家とキャピュレット家
  ♪マドリガル
  ♪メヌエット
  ♪ローレンス僧
  ♪ティボルトの死

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【休 憩】

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◆第2部◆
<真島俊夫の世界>

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● 1997年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ“五月の風”
● Lento Lamentoso(レント・ラメントーソ)[本年度委嘱作品]
 ― Dans toutes les larmes s’attarde un espoir (Beauvoir) ―
● 三つのジャポニズム
  Ⅰ 鶴が舞う
  Ⅱ 雪の川
  Ⅲ 祭り
(第2部は全曲、真島俊夫先生の作品です。)

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コンサートが始まりました。
まずは、バーンスタインのキャンディード序曲。
初っ端、何だかハッキリとしない入り方。(トランペットに“雑音”が聴こえたような…。)
曲が進むにつれて修正されてきましたが、細かい部分のアンサンブルとかに違和感を感じた…。
そんなふうに思ったのは私だけだったのでしょうか?
2曲目は課題曲Ⅰ。
演奏会に多数行ってるせいで、この曲も何回聴いたことでしょう。
無難でいい演奏だと思いました。
ただ、強弱のメリハリが素人の私にはあまり、感じられなかった…。
それと、どの部分だか忘れてしまいましたがホルンのピッチが気になったところがありました。
前半、最後の曲はプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」。
一時期、コンクールなんかでも流行った曲ですね。
難しい曲です。
特にこういったオケの編曲ものは、素人なりに思うに表現力が大事なのではと感じています。
しかし、グラールの演奏は、その点が素晴らしかった。
まだ少し、細かいミスが多いようでしたが、それ以上に“歌って”いた、“表現して”いた、ように思いました。

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第1部が終わり、休憩が20分間。
まだ、エンジン全開になってないんだろうなあと思いながら、第2部の開演を待っておりました。
しかし、心配は杞憂に終わり、第2部は真島先生の曲によって、圧倒的なグラール・ワールドに誘って頂けたのでした!

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第2部の1曲目は1997年度の課題曲「五月の風」。
1990年代と言えば、残念なことに私がイチバン吹奏楽から離れていた時期なので、ほぼ聴いた事のない曲です。
爽やかな素敵な曲ですね。
そして、グラールの明るいサウンドにマッチしています。
会場に新緑の季節の風が吹き抜けたかのような錯覚に陥りました。
好演でした。
次はグラールが真島先生に委嘱した曲です。
サブタイトルのボーヴォワールの言葉、「Dans toutes les larmes s’attarde un espoir(全ての涙には希望がある)」がこの曲を端的に表現しています。
静かで美しい曲なのだけど、どこか悲しげで重苦しい。
しかし、苦悩する人間が努力して一筋の“希望”という光明を見出して行く…、そんな感じの曲に思えました。
プログラムの真島先生自身が書かれた解説に人と人との別れを強調された部分がありました。
司会の方の説明でも近しい方の死を経験されたようなお話をしていましたので、そう言った想いを曲として表現されたのでしょう。
演奏も素晴らしいものでした。
溢れ出たり、押さえ込まれたりする感情の波が音楽という手段によって十分に表現されておりました。(この曲の演奏が終わり、壇上に挨拶に上がられた真島先生は、少し涙ぐんでおられたようでした。)
こんな演奏を聴いておりますと30年近く扱っていない楽器というものを吹いてみたくなります…。
いよいよ最後の曲です。
皆様、ご存知「三つのジャポニズム」です。
日本情緒の塊のような曲で私も大好きです。
そして、グラールウインドオーケストラの本領発揮でした!
躍動感や叙情性を遺憾なく発揮し、まるで日本画を見ているかのような思いになりました。
特に「祭り」は、あまり実力のないバンドが演奏するとガチャガチャとした“騒音”になりがちですが、日本の祭りを楽しむ庶民の息吹が聴こえてくるようでした。
表現力の勝利ですね!ブラヴォー!

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アンコール曲は以下のとおりです。

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楽しい演奏会でした。(思い出の“人見記念講堂”にも行けたし…。)
今年の全日本吹奏楽コンクール、職場一般の部を見に行くために福岡行きを計画しております。
ただ、今年はヤマハ吹奏楽団が最後の3出で出場できないのが非常に残念に思っておりましたが、グラールウインドオーケストラという「今日出会ったばかりの団体」を聴かせて頂くという楽しみも出来ました。
「レント・ラメントーソ」が今年の自由曲になるのでしょうから、その素晴らしい演奏を福岡でも聴かせて下さい。
楽しみにしています!!

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