浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

広島ウインドオーケストラ 結成20周年記念 東京公演

2013-04-25 21:21:10 | 吹奏楽

昨年のことだったでしょうか?
渋谷のタワーレコード6Fのクラシック音楽のフロアでCDを物色していましたところ、吹奏楽のコーナーで“その”CDを発見しました。
「兼田敏:ウインドオーケストラのための交響曲」。
演奏が広島ウインドオーケストラで指揮(音楽監督)が話題の下野竜也氏。
しかも“レコード芸術”誌の2011年度第49回レコード・アカデミー賞(特別部門吹奏楽)を受賞したディスクだとのこと。
広島ウインドオーケストラという名前に馴染みはありませんでしたが、早速、購入いたしました。(選曲も意欲的で大変満足したCDでした。)

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その広島ウインドオーケストラの東京公演が東京オペラシティであると聴き、お伺いした次第です。
2013年(平成25年)4月21日、日曜日、13:40。
私が行ったことのある中でイチバン好きなコンサートホールである「東京オペラシティ コンサートホール タケミツメモリアル」に到着しました。
ホワイエには音楽監督の下野氏の記事が紹介されているボードがあったりしてにぎやかです。

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それにしても、このホールは素敵ですよね。
響きはもちろん、木材をふんだんに使い、温かみを感じます。
舞台の上の天窓なんかも素晴らしい。
視覚的にも十分、満足させてくれるホールです。
そして、この素敵なホールで結成20周年という節目を迎えた広島ウインドオーケストラがどんな演奏を聴かせてくれるか興味津々です。

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開演はもう間もなくです。
席に着きます。
今回は、最前列に陣取ることとなりました!
よく響くホールなので、舞台に近すぎることが不安材料でしたが、それは全くの杞憂であることを思い知らされました…。(以前、下手[しもて]側の舞台を覗き込むようなかたちの3階席で聴いたことがありましたが、それより1階最前列のほうがはるかにヨカッタ。あたり前でしょうけど…。)

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プログラムは以下のとおりです。

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[演奏] 広島ウインドオーケストラ
[指揮] 下野 竜也

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1.木下牧子:シンフォニア(1988)
2.北爪道夫:風の国(1985)
3.平石博一:時の記憶は反射する(2012-2013)
 -広島ウインドオーケストラ結成20周年記念委嘱作品-[初演]

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〈休憩〉

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4.デイヴィッド・マスランカ:交響曲第3番(1991)
 第1楽章 モデラート
 第2楽章 
 第3楽章 非常に速く
 第4楽章 ラメント
 第5楽章 ラメント

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なかなかシブい選曲です。
私の好みの内容ですね。
期待大です。

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演奏会が始まりました。
舞台とは、目の前にいるクラリネットの方のキイの開閉音まで聴こえてきそうな近距離です。

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1曲目は「シンフォニア」。
作曲者の木下牧子氏と言えば私のような素人でも、第54回全日本吹奏楽コンクール(2006年、平成18年)の課題曲Ⅲ「パルセイション」が思い出されます。
パルセイション(pulsation:鼓動、脈拍)は鼓動をイメージさせる一定のリズムを刻みながら進行する名曲です。
素人が上から目線で大変、恐縮ですが、当時、実にセンスのいい曲だなあと感じたのを覚えています。
今回、演奏された「シンフォニア」は随分、前に作曲されたようですが、現在でも新鮮さを感じるいい曲でした。
広島ウインドオーケストラの演奏も素晴らしかった。
特に金管楽器がグッときましたね。
ファンファーレのようなところがキレイだった。

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2曲目の「風の国」は、1985年にヤマハ吹奏楽団の委嘱で作曲されたとのこと。
素人のオヤジが感じるにバリバリの“現代曲”ですなあ。
でも、個人的に好きです、この曲。
こういう曲が得意なんですかね、それにしても見事な演奏です。

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前半、最後の曲は「時の記憶は反射する」。
この曲は舞台上の楽器の配置が特殊なため、配置転換に時間がかかりました。
その時間を利用して舞台上では、広島ウインドオーケストラのプログラミングアドヴァイザー、国塩哲紀氏と作曲者の平石博一氏の対談が行われました。
しかし、客席最前列が災いしてか、舞台上の配置転換の作業音が大きく、お二人の会話が聞き辛かったのが残念でした。(マイクは使われていたのですが…。)
この曲の楽器の配置図がプログラムにものっていましたが、全ての楽器が指揮者と舞台の真中奥に配置されたピアノを結ぶ線を軸としてシンメトリーになっているというものでした。
曲はメロディというよりも“音”といい表わした方が的確な短いフレーズを各楽器が演奏し、まるで点描画のように点(ひとつひとつの楽器の“音”)の集合で音楽を作り上げていているように感じました。
とても面白い曲で初めて聴くジャンルの音楽でした。
あっという間にこの曲の世界に引き摺り込まれました(失礼!)。
ただ、惜しむらくは楽器配置をシンメトリーにした意図が(私のいた場所が悪かったため)、あまり感じられなかったことです。
空間的広がりを演出したのでしょうが、私がいた最前列の席では、よくわからなかった。(素人のオヤジの私には…。)
この時だけ、この席を選んだことに後悔しました。
しかし、新鮮な驚きを頂きました!素晴らしかった!

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休憩のあとは、マスランカの交響曲第3番です。
細かい印象はさておいて、非常に素晴らしい演奏でした。
表現力が秀逸で、すべての楽器の音が一体化したかのような気がしました。
今まで聴いてきた佼成やシエナとは違う独自のサウンドは興味深く、音楽監督下野竜也氏の意図する“音楽の世界”が私のような素人にも伝わってくるような感じがしました。
気迫のこもった演奏でした。

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とても満足した演奏会でした。
東京での演奏会は、どれくらいの頻度であるのでしょうか?
滅多に聴けないなんて、そんな事ないでしょうね?
さすがに広島までは通えないので…。
いずれにせよ、お愛想ではなく、私が“本当に聴きたい”ウインドオーケストラがひとつ増えました!!

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