30日、東京都議会第2回臨時会で、小池知事が提出した豊洲移転推進の「補正予算」並びに知事発言に対する各会派の本会議質疑が行われました。
都議選後、本会議で各会派から質疑が行われるのは初めてです。日本共産党都議団は、曽根はじめ都議団長が質疑を行いました(参考:31日付、赤旗「豊洲移転「無害化」約束破るのか曽根都議質問 小池知事答えられず」)。
■知事答弁に拍手喝采、都議会としてのチェック機能はどこに?
質問と答弁を書き留めていましたが、都民ファーストの会の質問は小池知事を天まで持ち上げる発言が何度も繰り返されました。二元代表制、都議会としてのチェック機能はどこに行ったのかと感じましたが、「毎日」(30日電子版)も「都民ファーストが初質問 知事持ち上げに終始」と見出しをはり、「都民ファーストは知事の施策を持ち上げる発言に終始。第1党が行政をチェックできるのか不透明なスタートとなった」「『私たちは知事が進める「東京大改革」を掲げ55人が当選した。都民の期待は東京大改革の実現』と述べ、知事と一体となって都政を進める姿勢を強調。『(小池知事の政策を)高く評価する』を連発」と評しています。
さらに、私がびっくりしたのは、小池知事の答弁が終わるたびに都民ファーストの会の議員から拍手がくり返されたことです。
都議会では、自分の所属する会派の議員の質問の際に拍手することはありますが、知事答弁に対して拍手をすることはこれまでなかったことだと聞きました。しかも、都民ファーストの会の質問に対する答弁だけでなく、他の会派の質問に知事が答弁した際にも拍手するという状況でした。
今後の議会でこうした状況がどう変わるのか、また変わらないのか見ていきたいと思います。
■共産党都議団 知事の姿勢を真正面から問うも知事の答弁はそれに答えず
日本共産党都議団は、曽根はじめ都議団長が代表して質疑に立ち、①小池知事の市場移転問題の基本方針について、②豊洲新市場予定地の追加対策について、③補正予算案について、④築地市場について──という4つの柱で42の質問を行いました。
質問全文はコチラをご覧いただければと思います。私はこの質問を何度も読み返しましたが、築地市場の豊洲移転問題についての経過が詳細にわかり、到達点として何が大切なのかがとてもよくわかりました。
例えば、「無害化」(=環境基準以下にする)方針についてです。
小池知事は、都議会から付帯決議が出されたことは法的拘束力はないものの重いものだと考えるという趣旨の答弁を行いましたが、これは単に都議会に言われたというものではないのです。
曽根質問でも、
2011年2月の都議会で、「汚染土壌が無害化された安全な状態とは、技術会議により有効性が確認された土壌汚染対策を確実に行うことで、操業に由来いたします汚染物質がすべて除去、浄化され、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になることである」と明確に答弁したのです。
2012年の3月の都議会でも市場長が、「食の安全確保は、卸売市場の基本的使命であり、豊洲新市場の開場に当たっては、あくまで汚染された土壌が無害化され、安全な状態になっていることが前提である」と答弁しています。
土壌も地下水も環境基準以下にするという方針は、都議会の付帯決議であるだけでなく、東京都として、市場関係者や都民と約束してきたものです。この約束は果たされていません。
ところが「関係局長会議」では、今回の補正予算案に盛り込まれた追加対策が、土壌も地下水も環境基準以下にするという方針にかわる「新しい方針」だとされました。これは、東京都と市場業者、都民、消費者との約束を、一方的に反故にするものです。知事は、約束を守れなかったことを陳謝したから、約束は反故にしてよいと考えているのですか。
と指摘している通り、東京都自身が自らの約束としてきたのです。
曽根都議は、まともに答えない小池知事に対して、再質問で次のように問い直しました。
百条委員会で石原元知事が、私の『無害化』についての尋問に対して、「ハードルが高すぎたかもしれない」と言ったことについて、知事は「びっくりした」と言われました。しかし28日の本会議で知事は土壌も地下水も環境基準以下とするハードルは現実的ではなかった、と言いました。これには私がびっくりしました。
小池知事の発言は、「無害化」は現実的でなかったから一方的に約束を反故にして「無害化に代わる新たな方針」を出すことが許されるのかというのは根本問題です。
築地はロケーションがいいから再開発をすると言い、「築地を守る」という立場もどこかに置いてきてしまったようです。小池知事の案は、築地を更地にしてまずはオリンピックのための駐車場にするというものであることにも示されています。
知事が出してきた豊洲移転の補正予算に、25日の尾崎、畔上の委員会質疑に続いて本日私の本会議代表質問。本気で知事に詰め寄る思いで42問。小池答弁は逃げと言い訳ばかり。「市場業者の合意無しの強行するな」と言っても答えなし!情けない。
— そねはじめ 東京都議会議員 (@sone_hajime) 2017年8月30日
■経済港湾委員会──知事と関係局長の出席も求めず、審議日程も縮小するというやり方に厳しく抗議
すべての会派の質疑終了後、日本共産党都議団は補正予算を審議するための予算特別委員会の設置について動議を提出。原田あきら都議が「議長、33番」と発言し、「今日の質疑も通じていよいよ一問一答の質疑が必要になった」と。
この動議は、都民ファーストの会、公明党、新風自民党、生活者ネットワークの反対で否決されました。
さらに、重大な問題が起こりました。
経済港湾委員会の理事会で合意されていた審議日程を縮小するというのです。しかも、本会議を通じて明らかにならなかった問題について一問一答で小池知事並びに関係局長の出席の必要性は誰もが認めるところだと思いますが、それも都民ファーストの会や公明党が拒否したというのです。
日本共産党都議団は大山とも子幹事長が「知事と関係局長の出席を求めず審議日程も縮小するやり方に厳しく抗議します-30日の経済・港湾委員会理事会の協議結果について-」を発表しました。
情報公開は、公開された情報を徹底的に議論することと一体であるにもかかわらず、今回の場合、情報も「公開」が不十分、議論についてはとにかく避けるという二重に問題があると思います。 一方的にこれまでの方針を変更しておきながら「問題なし」とは絶対になりません。
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